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ランニングやトレーニングにおいて”呼吸”が大切と言われる理由

近年ランニングやトレーニングにおいて”呼吸”に焦点が当てられることが増えてきました。

様々な呼吸法と呼ばれるものが散見される中でここでは方法では無く”なぜ呼吸が大切なのか”をお伝えします。


● なぜ呼吸が大切なのか

結論からお伝えすると、

正しく呼吸することによって正しく腹腔内圧(IAP)を高めることが出来る!

これが理由です。

腹腔内圧は一般的には”腹圧”と呼ばれるものですが、正しく呼吸することによってこの腹圧を高めることが出来ます。

● 呼吸による身体(動き)の変化

正しく呼吸が出来ている(腹圧が高まる)ことで、

  • 体幹が安定して肩周りの力みがなくなる

  • 正しい姿勢が取れることでトレーニング・走りの効率が良くなる 

などポジティブな変化を与えます。
逆に出来ていないと、

  • 肋骨や肩甲骨周りが力み酸素を取り込みにくい

  • 体幹(脊柱)が不安定になるので腰痛の原因になる

  • 脚に過剰に負担がかかるので大腿が異常に発達したり、膝や脛(シンスプ)にストレスが集中して痛みの原因になる 

などネガティブな変化を与えます。

このように正しく呼吸し、正しく腹圧が高まることで様々なポジティブな効果を得ることが出来ます。

呼吸の指導

● ドローインとブレーシング

 呼吸によって腹圧をコントロールするトレーニングとしてドローイン・ブレーシングというものがあります。
 それぞれ役割はこちらです。

◆ ドローイン
インナー(腹横筋・内腹斜筋・大腰筋・多裂筋など)の活動を高めて体幹の位置関係を整える

  1. 息を遠くへ吐いて、下腹部を凹み(収縮)を感じる

  2. 息を吸うときも収縮を維持する

  3. 頭部鉛直方向へ身体を伸ばす

ドローイン

ドローインだけでも腹圧は高まりますがトレーニングや走りの負荷に対しては不十分です。

ドローイン(右)とブレーシング(左)による腹圧の状態を比べた研究によるとプレーシングによってさらに腹圧が高まることが分かっています。

ブレーシング(左)ドローイング(右)時のIAP

◆ ブレーシング
横隔膜の上下動やアウター(外腹斜筋・腹直筋など)も使い腹圧を高めることで体幹の強度を高める

  1. ドローインにて体幹を整える

  2. お腹を膨らませた状態で呼吸をする

ブレーシング

※ドローインによって位置関係が整っていない状態でブレーシングをしていまうと十分な効果を得られないのでまずはドローインを練習する必要があります

● 正しく呼吸する為の準備(コンディショニング)

 身体が以下のような状態になっていると正しく呼吸をしようとしても上手くいきません。

  • 横隔膜が下がらない(体幹の位置関係がズレている)

  • インナーの力の入れ方が分からない

  • 腹直筋や背筋の緊張が高い

  • 胸郭が動かない

  • 腹筋群・背筋群が硬い           など

 呼吸が上手くはまらない場合にはパーソナルでのトレーニングが最適だと思います。FIRST TRACKでは一般の方向けのパーソナルトレーニングも行っております。

● より精度を上げていく為に

呼吸が上手く出来たら、腹圧を高めた状態で体幹が崩れないように脚を動かしたり、姿勢を変えて行うことで安定した体幹を獲得することが出来ます。
そこから様々なトレーニングやランニングドリルにも応用することで精度・強度を上げていき、最終的には無意識で出来ている状態を目指していきます。

引用:K Tayashiki et al, Intra-abdominal Pressure and Trunk Muscular Activities during Abdominal Bracing and Hollowing Int J Sports Med.2016 

FIRST TRACK 理学療法士 佐橋


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