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vol.2 先に勝ちを確定させて大勝負をキメる!チャケウピーさんの華麗なる不動産投資手腕 ~富山の天才大家シリーズ~

チャケウピーさん サウザーの白熱教室
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※試聴版。オリジナル版(57:47)は購入後に視聴可能。

第二話(全四話)
「マーケットインの徹底」
チャケウピーさん流の商売を一言で表せば、こうなる。

商売は大別すると、マーケットイン型とプロダクトアウト型がある。マーケットイン型とは、市場つまり顧客が欲する商品に応えていく、商品を供給していくという商売のスタイルだ。顧客には「こういうものが、これくらいの値段で欲しい」という明確な需要、ニーズがある。これに的確に応えることにより、商品は売れる。この商売は、既にマーケットが生成されていて、その市場規模や市況感がある程度わかるため参入にあたっての計画や作戦が立てやすい。例えば先行している商品のクオリティや価格設定を見ることができる。これを基に自分でもできそうか、商売になるかを予測ができる。消費者は価格に敏感だから、同クオリティの商品を、少しでも安く提供できればシェアを奪うことができると皮算用が立てられる。もちろん、全てが価格だけで決まるわけではない。しかしそれでも、商品の出口の規模感やターゲット(目標)がわかりやすい商売だと言える。世の中のほとんどの商材は、このマーケットイン型の商売だ。

もう一方のプロダクトアウト型の商売。これはマーケットの意見はそこまで重視をしない。

マーケットとは、言い方を変えれば一般消費者、一般大衆だ。その平均もしくは最大ボリューム層を狙って商品を企画する。最大公約数を狙う。そのためシェア争いになりやすく価格競争も激化しやすい。マーケットインは、とにかく市場の声を聞くことから始まる。

対してプロダクトアウト型の商売は、ひとまずこの平均的・最大ボリュームという層のことは置いておく。プロダクトとは和訳するとまず第一に「製品」という和訳になるが、その他にも「産物」「生成物」「工芸品」「作品」という意味を持つ。語源のDNAとしては「産物」「作品」が色濃くなるであろう。つまりは作者が意図を持って企画して、カタチを与えて編み出した「作品」。それがプロダクトであり現代ではそれを「製品」とも呼ぶ。

もちろんマーケットイン型の商品も「製品」を売るのであるが、これは市場の要請に応えて生まれてくる製品なので、市場に受け入れられやすい。これに対して、プロダクトアウト型の商品は作者がまさに「産み出した」製品で、マーケットに受け入れられるかどうかは未知数なのだ。

プロダクトアウト型の商品は、その作り手の熱意が起点となる。市場にまだ存在していないが、きっと欲しい人がいるはずであると。根拠もデータも無いが、売れると確信して作品を世に問う試み。これがプロダクトアウト型の商売である。事実、このように一種の独りよがりでプロダクトを生み出して世に問うていくわけだから、全くの空振りに終わることも多い…というかほとんどはそうだろう。こだわりのコーヒー店や無名のハンドメイドアクセサリー店が生まれては潰れていくのは、この芸術家的な熱意から全てがスタートし、そして残念ながら市場に受け入れてもらえなかったということだ。

プロダクトアウト型の商品の成功例で最もわかりやすいのは、iPhoneだろう。それまで物理ボタンだった携帯電話という機械に敢然とNOを突きつけ、従来の要望に迎合することなくiPhoneというプロダクトを生み出したのは故スティーブ・ジョブズの熱意であった。このプロダクトを世に問うたのは2007年のことである。

またこの白熱教室シリーズも、作者(聖丁)の「こんなものがあったら良いな、聴きたいな」という純粋な想いから始まっている作品である。

「なかなか会えない凄腕ナンパ師にインタビューをして、それを何度も聴きたい」

そう純粋に思った若き日の聖丁。しかし他人が欲しがるかの確証はない、いやしかしきっと欲しがるはずだと。そういう予測でもって、経費を先払いし、労力をかけて、売れるか売れないかわからないものを世に問うて発売して今日に至る。これがプロダクトアウトの商売だ。

前置きが長くなった。本作のゲスト講師、チャケウピーさんはこれとは正反対のスタイルを徹底して商売をしておられる。つまりプロダクトアウトの要素ゼロで、マーケットインに徹しているということだ。チャケウピーさんはこう言う。

「確実に売れるものしか扱わない」

「安いものは確実に買う」

非常にシンプルな考え方で、当たり前じゃないか、と思える。しかし、この戦い方を徹底するにはそれを裏支えする強固な土台が要る。その土台とはマーケットの調査力(リサーチ力)である。チャケウピーさんは現在では不動産をメインの商材としているが、学生時代からネット物販をしていた。新品を買うお金がなかったため、致し方なく中古のサッカー用品を買って、そして売っていた。今のこの、スマホが普及した令和の世であればフリマアプリやネットオークションが一般的なものであるが、当時のツールはパソコンやガラケーであった。

一般人は量販店で新品を買って終了であるところを、学生の頃から中古品の売買をしていたという点で、チャケウピーさんは貴重な経験をしておられた。学生時代には漫画本の転売を始める。とあるフリマサイトで仕入れた漫画を、別のフリマサイトへ出品するという商売だが、そこには値差、アービトラージの概念がある。

比較的、情報感度が低い人たちが多いフリマサイトにて、異様に安値をつけられているものを発掘し、買う。そしてそれを、市況が崩れていないフリマサイトにて売り、差益を得る。これはまさにアービトラージであり、その利益の源泉は情報量である。双方のフリマサイトを継続して巡回することで、この値差に気がつけるのだ。また、単体で投げ売られている漫画を買い集めて全巻揃った状態へ組み立てて販売する手法も得意とした。これも付加価値を与える行為であり、商売の基本のひとつだ。これを実行できるのも、単体での販売よりも完全版にした方が高く売れるという綿密な市場調査があって初めて成り立つ商売と言える。そしてチャケウピーさんは取り扱う漫画を2つに絞っていた。どんな漫画でも良いわけではない。需要があり流動性があること、そして扱う金額のロットをなるべく大きくできること。

そこには決して自分自身の「主観」は入らない。自分が好きかどうか、自分がオススメしたいか、ではない。市場、あくまでも市場の人々が欲するか、需要があるか。ただそれのみを追求してマーケットの要請に応えていく。漫画のみならず、アパレルにも進出し、アメリカで安価に仕入れたアメリカンカジュアルの服を東京で販売した。

それらを経てチャケウピーさんが最後に辿り着いた商材が「不動産」であった。

つづく


著:ヤコバシ

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