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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論796」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第35号(2008.5.25発行)「広がる、コアトレーニングー集客や会員定着にも効果的」2~※名称等は当時、一部文章省略

スリングエクササイズ

様々なコアトレーニング系のエクササイズの中で、今注目されているもののひとつに「レッドコード」と呼ばれる赤いロープを天井から吊り下げて使う「スリングエクササイズ」がある。
これは例えばスリングを身体の一部に預けて、不安定な姿勢で行うインナーマッスルのスタビリティエクササイズである。
動きや強度、種目の組み合わせなどによって、2000~3000種類のプログラムができるため、世界的にグループエクササイズやパーソナルトレーニングなどに幅広く活用されている。
レッドコードの第一人者で理学療法士のO氏は、レッドコードの効能について次のように語る。

「当センターに来られるスポーツ選手の方々が抱える一番の問題は、コア(体幹ー股関節)の機能低下です。特に瞬発力、クイックな動きを必要とする競技ほど増強された下肢の筋力についていけないのです。また体幹(コア)機能と上肢、下肢機能が連動されていないと、コアから作り出されるパワー、スピードが十分上肢、下肢に伝わりません。このような非効率な状態であるにも関わらずさらにスピード、パワーを要求するため、大腿部の張りや痛みを訴えたり、関節の動きが低下して相談に来られる場合があります。
当センターでは、体幹部(コア)機能をトータルに高めるため、レッドコードを用いて、インナーマッスル機能を改善しながら、体幹部のスタビリティを高めています。」

このようにレッドコードなどのツールを用いたコアトレーニングはアスリートの機能改善にたいへん高い効果を発揮するが、もともと骨折後のリハビリテーションや神経筋疾患の弛緩運動などとして行われてきたトレーニングとあって、アスリートはもちろん、老若男女の如何を選ばずに行うことができる。

集客や会員定着にも効果

スリングエクササイズのようなコアトレーニングギアを使ったエクササイズは、本格的なトレーニングを始めるための身体をつくる「事前トレーニング」としても位置付けられよう。
何故なら身体のコアの動きをきちんと獲得できていないと他の様々なトレーニングをしても効果的ではないばかりか、怪我を引き起こす可能性さえあると考えられるからである。
こうした位置付けができるなら、入会見込客へのセールストークの材料としても、また初期定着のためのプログラム、パーソナルトレーニングなどとしても高い効果を発揮するだろう。
コアトレーニングをジムオペレーションに採り入れることを今一度検討してみる価値がありそうだ。

~ここまで~

記事で紹介されている「レッドコード」というエクササイズツールは、その後、フィットネスクラブにおいて残念ながら広まることはなく、現在もリハビリセンターといった医療寄りの施設で使用されているようです。

フィットネスクラブにおいては、その後、TRXという米国の軍隊訓練をヒントに開発された近しいエクササイズツールが広がった歴史的経緯があります。

ただこのTRXもクラブ大型化の最盛期であった2010年代前半は、フリースペースを拡充し、導入をする企業が増えたものの、徐々に24時間ジムの出店が旺盛となったことで、マシントレーニングやフリーウェイトトレーニングに追いやられた格好となりました。

その理由は上記の主要業態の変化に加え、きちんと指導・アドバイスができるトレーナーが不足していたことも要因ではないかとアバター近藤は考えております。

お読みいただきありがとうございました。

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