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【#12】潰れるまで追い込め!っていうけど、ほんとに必要ですか?って話

ウエイトトレーニングを行なう中で
重量が重すぎたり、回数が多すぎたりすると、途中で潰れてしまうことがあるかと思います。

トレーニング界隈では時に、
『ウエイトトレーニングは潰れるまで追い込んでナンボ』みたいな主張がよく見られます。

特に競技コーチと話しをしていると多いのですが、
自分の体験なんかを元に限界まで追い込むことが良いとして、『潰れるまでやりきらせたほうがいい!』なんていう方もいたりします。

潰れるまで追い込んだほうがいいってほんとに合ってますかね??

今回は、潰れるまでトレーニング追い込むことについて、S&Cコーチの視点から私の考えを紹介していきたいと思います。


ウエイトトレーニングを行う意図は何か?

そもそもあなたがウエイトトレーニングを実施する意図はなんでしょうか。
それによってこの論争の方向性が決まると思います。

筋肥大でしょうか?発揮筋力の向上?それともパワー向上?

当然、目的に応じてウエイトトレーニングの内容(扱う重量や負荷、反復回数など)は変化します。
潰れるまで追い込むべきか否かを判断するためには、まずはウエイトトレーニングをやる意図を正しく把握しましょう。
把握した上で、以下に紹介するメリット・デメリットを参考にしてもらえればと思います。

潰れるまで追い込むメリット

物理的負荷は最大限になる

潰れるということはその人にとって、最大に近い重量で最大に近いレップ数を行うということになります。
つまり、必然的に自分の限界に近いボリュームを体に与えることになります。

※ここでいうボリュームとは、使用重量×反復回数×セット数で表される、体にかかる負荷を数値化したものです。

ボリュームの向上自体は、筋肥大にとって有意に働くため、
筋肥大を目的にウエイトトレーニングに取り組む場合は、潰れるまで追い込むことは一つのメリットとなりうるでしょう。

潰れるデメリット

怪我のリスク増

自分の限界に近い重量や回数で行っていくと、徐々に『挙げる』ことが目的になりやすくなる傾向が見られるかと思います。

フォームを維持したまま、潰れるまでできるなら問題はないでしょうが、潰れるほどの負荷ということは、ほとんどの場合がフォームを崩しているんじゃないでしょうか。

フォームが崩れることが続くことで、掛けたくない部分に負担がかかり怪我をするリスクは高まると考えられます。

追い込みによるスピードの低下/神経疲労

トレーニングの効果を左右する因子の一つとして、挙上スピードが挙げられます。

特に、筋力向上・パワー向上を目的とした場合、挙上スピードの管理が重要になります。

しかし限界まで追い込んだ最終レップを想像してください。
仮に潰れるまで行かなかったとしても、重りを挙上するスピードは著しく低下しますよね。

競技アスリートの場合、競技においては多くの場面でより高速度での筋力発揮(より速く・より強いこと)が求められますが、

低速度での筋力発揮(潰れる直前程度のスピード)ばかりでトレーニングをしていると、高速度での筋力発揮は鍛えられません。
つまり、より速く・より強くなるのに適した負荷とは言えないのです。

※高速度での筋発揮を実現するためには、高速度を発揮しうる重量設定でかつ、確実に高速度を出す(≒全力で力を発揮する)トレーニングが必要です。

また、潰れるほどの負荷を体に掛けることで、神経の疲労にも繋がります。
大きな力を発揮しようとするときには、神経から筋肉に指示が送られますが、これらの期間にも疲労が蓄積し、感度が鈍くなります。

神経系の疲労は、筋肉疲労よりも回復に時間がかかると言われており、神経がうまく働かず、それが長時間かかればその分トレーニングの効率も下がるといえるでしょう。

潰れ癖

私の主観となるところが多いのですが、潰れ癖をいかに防ぐかは個人的にかなり重要だと考えています。

潰れることが習慣化してしまうと、最後の最後に粘り切ることができなくなる印象があります。(特に選手を見ていると途中で諦めて力を出しきれない感があります。)

潰れが習慣化することで、指定のレップ、セットを完遂できず、結果的にはボリュームも確保できません。

また、補助やセーフティーをしっかりセットさせているので潰れても大丈夫という思考から、諦める癖がついてしまい、力も抜けやすくなっているのではないかと推測しています。
(かといって、補助やセーフティーをセットしないことは絶対にないですが。)

指導先の選手でも、ベンチプレスで毎回潰れていた選手はなかなか使用重量が伸びず、測定をしても結果を出せないことが多いです。

まとめ(私の考え)

潰れるまでウエイトトレーニングを行うことのメリットとデメリットを整理しました。

結論、私は、基本的には潰れるまでウエイトトレーニングを行うべきではないと考えています。(もちろん、プログラムに応じて例外もありますが。)
物理的負荷が最大限になるというメリットも紹介しましたが、これは工夫次第で潰れなくとも達成できますしね。

一番大事なのは、『ウエイトトレーニングを行う目的』『潰れるまでおこなうことで何を得たいのか』が明確になっていることだと思います。

上記が明確になっていれば、自ずと自分がやるべきことは導き出されるはずです。

目的は明確でも、実際に何をすればいいかわからないという方は、専門家の指導を受けることをオススメします^^


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