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小さい幸せ

今日の午後電車に乗っている時の出来事。

ドア付近に立っていた私の前を、赤ちゃんを抱っこした若いお母さんが大きな荷物を持って横切っていった。私は母と一緒にいたのだが、母だけドアに近い席に座っていて、その走りこんできたお母さんに向かってあわてて「どうぞ座ってください!」と席を譲り始めた。

その若いお母さんは、

「いいえ、座ると泣いちゃうので!本当に大丈夫です。すみません。」

と、何も悪いことをしていないのに謝っていた。結局私の母はその若いお母さんの荷物の一つを膝の上に抱えて、しばらく電車に揺られていた。そのあと母の両隣の席が空いたので、そのお母さんと私が座った。

「何ヶ月なの?」

「11ヶ月です。」

「よく動く時期だねえ」

などと、母同士話始めたので私は赤ちゃんをじーっと眺めていた。小さい命は一緒懸命生きているように見えて、それでいてお母さんに抱っこされて心底幸せそうだった。

その若いお母さんは来月で職場復帰するとのこと。今日はそのための研修に行き、始めて赤ちゃんを託児所に預けたそうだ。

「こんな歳からお母さんと離れなきゃならないなんてねー!お母さんも一緒にいたいよねー寂しいよね」

と母はずっと言っていた。

子育てって本当に大変なのよ〜と私に言いながらも、その若いお母さんと色々な話をして私自身の幼少期の怪我や病気の話にまで広がっていた。

それらの話は2人とも愛に満ちていて、若いお母さんも若くてとても可愛らしい方だったけれど、お母さんなんだなあ、と感じさせる何かがあった。あの暖かさはなんだったのだろうか。

母親の、子供への眼差しには不思議な力があるのだと思う。若いお母さんの、赤ちゃんへの眼差しは愛そのものであった。

あの小さい小さい命がどうやって大きくなっていくのか考えると、胸がとっても暖かくなった。どうか幸せになってほしい!そしていつかあのお母さんと喧嘩もするのだろう。でもどうか忘れないでほしい。あんなにも暖かい目線を注いでくれる人がいるんだよっていうこと。私はその小さい幸せの瞬間に立ち会えて幸せだった。

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