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魔法を解いたのは「音楽」

昨日のマキさんのnote「耳を澄まして目を閉じれば・・・」のイラストを見た瞬間に、昔読んだことのあるジプシーの昔話「バラの花とバイオリンひき」のストーリーがよみがえってきました。
マキさんの絵には、バラもヴァイオリンも描かれていませんでしたが、
自分の中の感覚の扉が開いて、ファンタジーが、そして音楽が聞こえてきました。マキさんの絵には不思議な力がある感じがします。

(ジプシーという言葉は欧州では蔑称として使われているそうですが、日本語には、その意味が含まれていないと信じるのと、この昔話が「ロマ族」かどうかがわからないので、ここではジプシーのまま使います)

私が読んだのは、「太陽の木の枝」(フィツォフスキ 内田莉莎子訳 福音館書店)の中の「バラの花とバイオリンひき」です。

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魔女に魔法にかけられ、「赤いバラ」として生まれてきた王女の魔法を解くために、偉い人や王様たちがやってきて、金の鏡や金のくし・・などを送ったり、偉い魔法使いに頼んだりしますが、王女は「バラの花」のままです。
そこへある日貧しいジプシーがやってきます。

彼は、「バイオリンを弾いて、わずかなパンを稼ぎ、稼ぎがない時は、自分の弾く音楽だけを食べているわかもの」でした。

バイオリンひきは、バラの花にキスすると、そばの草に腰をおろして、かなしい曲をひきはじめます。
王さまとおきさきは涙を流します。バラの花から二しずくのつゆがこぼれ
バラの花は枝からとれて、それはそれは美しい王女になります。
王女はバイオリンひきを抱いてキスしました。
・・・・・。
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このお話には、ジプシーの人たちの魂が溶け込んでいて、リラの実がでてきたり、「半分は声で半分は香り」などと、細部の美しさも光るお話です。

ヴァイオリンの曲でジプシーと言えば、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」を思い出す方が多いと思います。
「ツィゴイネルワイゼン」とは、まさに「ジプシーの旋律(うた)」という意味ですから、そのものですね。
確かに、熟練したヴァイオリニストの弾く「ツィゴイネルワイゼン」には、魔法を解く力がありそうです。哀しみを内在しながらも、何か人の心を動かすものすごい力がありますね。

でもこのおはなしの曲は、読んだ人それぞれの心にあるものなので、また違うかもしれませんね。
熟練したヴァイオリニストというよりは、この民族の魂の即興演奏という印象を、私は持ちました。

いずれにしても、魔法を解いたのが、贅沢品でもなく、食べ物でもなく、魔法でもなく、
「音楽」であったというところに、この民族の持つ深い精神性を感じます。
またバイオリンひきが、王女になる前の「バラの花」、ただそこにいる「バラの花」をすばらしい、愛おしいと思う心が鍵なのかもと思いました。

音楽や絵、文学・・・なくても生きていけるという人もいるかもしれません。けれど、こういうものこそ、私たちの精神世界を広げ深くし豊かにする力を持っています。私たちの心を根底から動かす力を内在していると思います。

サラサーテの超絶技巧じゃなくてもいい。
「人に寄り添う心」を持ち、7000時間を超える膨大な練習をしてきた人の演奏には、魔法を解くほどの可能性があるということだと思います。

民族音楽、クラシック、ロック、ジャズ、・・・・ジャンルを問わず、音楽の力、ありますよね!

そうそうマキさんのイラストには、猫が描かれています。これは重大なことです!!!
マキさんの絵から聞こえてくる音楽、その振動の波形は、倍音の含まれた美しい音色に間違いないということが証明されていますね(*^-^*)
しかも二匹もいる~~!

(写真は番茶さんのもの。季節が違いますが、あまりに幻想的だったのでお借りしました)

最後までお付き合い下さってありがとうございます。

あなたにも心地よい音楽が聴こえますように♡


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