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「行けない」ことと「行かない」ことは全く違う


「小学四年生で、不登校やっています」

「天才革命家youtuber」という、小学四年生のyoutuberが話題になっているようです。

不登校の子たち、学校に行きたくない子たちに対して、熱いメッセージを届けています。
「辛くて命を絶ちたいと思うくらいなら、無理していかなくてもいい。一番大事なのは自分の命だ」
画面越しに、力強い言葉を発信しています。

彼はなぜ不登校になったのか。
理由は動画の中で語られています。

「周りの友達が親や先生の言っていることに、ハイハイと従っている。だから、みんな言いなりのロボットに見えた。」
「だから僕は、やらされるもの=宿題をやりたくなくて、やってこなかったら先生に叱られた。やりたくないのにやらされることに違和感を覚えた。」
「このままじゃ自分もロボットになってしまう。だから学校に行かずに、自分の自由に生きようと決めた。」

これが、不登校の理由だそうです。

義務教育なんだから、という意見もありますが、ここでの義務は、正確には「(子どもに)教育を受けさせる義務」なので、確かに、彼自身には学校に行く義務が課せられている、ということでは必ずしもないです。

第4条 (義務教育) 国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。○「義務を負う」親には、憲法以前の自然権として親の教育権(教育の自由)が存在すると考えられているが、この義務教育は、国家的必要性とともに、このような親の教育権を補完し、また制限するものとして存在している。「けだし、憲法がかように保護者に子女を就学せしむべき義務を課しているのは、単に普通教育が民主国家の存立、繁栄のために必要であるという国家的要請だけによるものではなくして、それがまた子女の人格の完成に必要欠くべからざるものであるということから、親の本来有している子女を教育すべき義務を完うせしめんとする趣旨に出たものである」(昭和39年2月26日最高裁大法廷判決)※文部科学省HPより引用

集団の中で、誰かの言葉に従い、何かをやることが嫌だった。あるいはそれが苦手なのかもしれない。だから自分がやりたいことをやって生きていくんだ。

小学四年生にしてここまで自分の意思をはっきり持ち、実行に移すことは素直にすごいなと思います。

結果として、メディアにも露出し、polcaなどのファンディングにも一定の成果を出しているそうなので、彼は自分自身を「天才革命家youtuber」として着実にブランディングしていることは確かです。


「制限時間」がある武器

そんな彼が持っている強み、すなわち武器はなんでしょうか?

「小学四年生にして」自由に生きていくことを決めた。
「小学四年生にして」彼はラジオや新聞に取り上げられ、ネット上でも話題を呼んでいる。

さらに彼自身、現在の自らの夢を「子供でも活躍できる世界にする」と掲げています。

私は、彼は自分が「子供であること」を武器にしているのだと思いました。
「子供でもできる」というインパクトで、今この社会に一石を投じている。

もちろん、自分で決めた生き方は、誰にも否定できるものではありません。

ただ、時間の流れには、絶対に逆らうことはできません。

いずれは年を取り、見た目はどんどん大人になっていきます。

彼が今持っている、「唯一の武器」には、制限時間があるのです。

そういう意味で、彼はもしかしたら、学校で宿題を頑張るよりも、
この先もっと険しくなる道を選ぶことになったのかもしれません。

「学校へ行く」ことの、何が悪い?

彼は、訴えます。
「学校に行きたくなければ、行かなくていい」
「学校に通っている人たちはみんなロボットみたいだ」

では、「学校に行きたいけど辛くて行けない人」には、
彼はどのような言葉をかけるのでしょうか?

彼は、「学校に行きたくなくても、頑張って行っている人たち」のことを、
いったいどのように思うのでしょう?

学校に行きたくないから、行くのをやめた人。
学校に行きたくないけど、頑張って行っている人。
学校に行きたいのに、辛くて行くことができない人。
学校が行くのが辛くて、行けなくなってしまった人。

いろんな立場の人がいます。

「行けない」ことと、「行かない」ことは、全く違う。

確かに彼は、自由に生きていく中で、学校生活では得にくいような、色々な楽しい経験ができるかもしれません。

一方で、その間に、他の誰かは、辛くても行きたくなくても、学校で必死に努力して、一生モノの宝物や、武器を見つけているかもしれません。

「学校に行かない」選択を、否定される筋合いはない、と、
きっと彼は思っているでしょう。

ただ、それと同じように、「頑張って学校へ行っている」人たちも、否定される筋合いはない、と思って然るべきではないでしょうか。

私は、学校で得られる経験で、意味のないことなんて一つもないと思います。



いずれにしても、彼はせっかく自由に生きることを「自分で」決めたのだから、実際に出会ったり、ネットをとおして、
本当にいろんな人たちの意見にいっぱい触れることが大事なのかもしれません。

力になる言葉も、傷つく言葉もあるかもしれない。
でも、いろんな言葉を聞いて、考えてみてもらいたいなと思います。自分はどう生きていきたいか、そのためには何をどうするべきなのか。
自分の心で考えて、自分に足りないものを見つけて、自分の持っているものを見つけて、自分の力で行動できるようになっていくと、良いんじゃないかなと、思いました。

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