見出し画像

【後編】旅程は「飽きるまで」。真琴の放浪、その旅路に実るもの

前編は<こちら>

音楽も農業も結構似てるところがある

——就農1年目から、うまくやれたもんでした?

 とりあえずその時はさくらんぼ(畑)だけがあって。2月に就農して、もう6月は収穫なんですよね、さくらんぼはそのまま育ってたので。で、とにかく自分のお客様がいないから、農協に買い取ってもらうためにひたすらパック詰めして、持ってって……みたいなのをやって。「このぐらいにはなるんだ」っていう感じはあって。だけどとりあえず、その年はもうさくらんぼしかないから、また夏ターキンちにバイト行って、桃の収穫したりしてて。その時は居酒屋も並行してたんですよね、夜。

——大変。

 それも今じゃ考えられない(笑)絶対無理。だから、何かエネルギーがあったのかもしれないけどね、勢いというか。
 でもその翌年が2011年、3月11日があったので。それも、「もうどうしようかな」っていうのはありましたけどね。

——やっぱ影響じゃないですけど、風評被害的な。

 まあ、そう。ああいうのも、やっぱネットで「もう福島のもん食べられない」とかいうのも結構見たんですよ。何ベクレルとかいうね、得体の知れない単位をその時初めて知るわけで。検体っていって、農協に出したりして調べてもらって「何ベクレル」って言われて、「出せる」「出せない」とかなって。出せる方が多かったんだけど、それでもやっぱ「福島だから安い」みたいなところがあったみたいで。だから一年しか農協に出してないんだけど、補償はもらったの。

——壊滅的な感じではなかったけど。

 そう、でもどうしようかな〜って思って。

——2年目にして早速それですもんね……。

 そう(笑)うまくいかねえなあと思った。就農1年目の間も、収穫のあたりで、この時もミチロウさんと対バンがあったの。「俺、就農したんです」「果樹園始めることにして、とりあえずさくらんぼだけなんですけど」って言ったら、「俺さくらんぼ大好きなんだよ、 送って!」って言われて。毎年送ってましたね。いつもその時だけちょっとね、メールとかやり取りできるので嬉しかったですよ。結構ツアー出てる時が多いから、やっぱりいつ送るか聞いておかないとと思って。食べれば食べたで感想送ってくれたりして、そういうの嬉しかったですね。

——義理堅いというか、人間味に溢れた方だったんですね。

 うん。

——そういうのに見舞われても、でも続けようと思って続けられたわけですもんね。

 そう。なんかね、木の除染とかもやっぱ、高圧ノズルみたいなので木の幹を洗浄するってなって。ぶっちゃけ意味があったのかわかん ないけど、やりましたね。

——でもあの……桃の歌(『ダメ、ゼッタイ』)あるじゃないですか。桃は、途中からじゃあ始めて?

 そうですね、3年目ぐらいから始めて。これまた近隣の農家で、旦那さんがお亡くなりになって畑そのまま、っていうところがあって、でも手入れすればまだいける。そこを借りたことによって桃が始まって。
 今あちこちに桃を植えてて、桃は3カ所ぐらいあるんですけど、今は桃が面積が一番多いかな。なにしろ、古い農家さんたちに後継者がいなくて、子供さんたちいても就職してたりする家も結構あるので、なかなか担い手不足なんですよね。

——それこそ就農とか、地方に戻ってくる動きみたいなのってちょっとこう、流行りじゃないですけど最近聞く話ではありますよね。

 うんうん。だから新規で農業を始めるっていうのを、ちゃんと手続きいろいろすれば、国からもちょっと補助金出たりもするので……結構めんどくさかったですけどね。でも手伝ってもらったりして「こう書くんだよ」みたいなのを言われるがままに書いたりして。

——そうやってサポートしてくれる人もいるし。

 そうですね。

——それと音楽も並行して。

 震災後に県外でのライブが増えるようになるんですね、急に。それが竹原ピストルとかとの出会いも関係してくるんですけど。その時は、まだピストルくんは今みたいなメジャーじゃなくて、メジャーを辞めて一人になったあたりで、すごい細かく日本全国回ってて。それで福島来るとき、俺がライブ組んだりして仲良くなったりして、俺が連れてってもらったり……そういうのがありましたね。

——音楽の方にも変化とか影響みたいなのもありました?

 音楽も農業も結構似てるところがあるというか。音楽は……今のところ売れてないけど(笑)いいものを作れば売れるかな、とか思ったり。あと、なにしろ全部先行投資なんで、何か作って売るっていうのは、先にお金払って作んなきゃいけないし、なんか似てるなとか思ったりして。
 昔やってた曲とかも今全然やってなくて、初期の頃やってたような曲。今、俺これでも自分でポップな方だと思ってるんだけど(笑)だいぶ歌う内容も変わってきた。

——失礼な話ですけど、昔はどんな感じの曲を?

 昔はもうミチロウさんにまんま影響受けてるので、なんかわざわざ難しい四文字熟語とか調べたりして、作ってましたね。

——ちょっとじゃあ、素直になったというか。

 そうですね、全然理解できないような歌詞をやってたかもしれない。

放浪してるようなだらしないライオンはどこにもいないんだけど

——(取材開始前に)Flagment、さっき40人(以上に伺ってきた)って言ったんですけど、続けている中でやっぱり真琴さんの名前が出てくることは非常に多くて。

 え〜〜~!

——まあその、吉田チキンちゃんとか、谷井さんとか、hpnさん、ターキンさんももちろん、ジョンさん、阿部さんだったり、SANZASHIにいた佐藤さんとか、いろんな方が名前を出してて。

 そうか、佐藤くんも農家だ。

——佐藤さんが言ってたのは、「真琴さんの曲は、なんか世の中を俯瞰で見てる感じがする」。

 もうちょっとライブ来てよ(笑)そんな言ってくれてるんだったら(笑)。見てみる、佐藤さんのまだ見てなかった。えー、そうかそうか。

——そんな(歌作りの)自覚あったりします?

 いや~ないよそんなの(笑)何にも。へえー。吉田チキンはね、ライブやるにあたって、「ライブやってみなよ」って言ったのは俺なので。

——「きっかけをもらったんだ」っていう話を(聞いてます)。

 ギター買って、独学で覚えてね、シンガーソングライターの歌カバーとかして。河原かどっかで弾いてる動画を、顔までは映さないであげてたりしてて、「めっちゃ上手いじゃん」って。「ライブやりなよ」って言ったら、「いや、私はライブとかはいいです」とか言って(笑)。まあでも、ある時「やってみたいです」ってなって、その当時Re-Acousticっていう、割とすぐ出れるとこがあったので、俺の企画で出てもらったりして、やってもらいました。もう、すごいメキメキ成長してて。「高校生が作る歌なのかな?」みたいな。

——ちょっと独特な感じありますよね。

 なんて言ったらいいんだろう……いろいろ経験したような人が(笑)作りそうな歌だったりで。「幸せって何ですか」って、答えらんないよね(笑)今の俺でも。

——(笑)何も言えないですね。それこそ企画もいっぱい、やられてきてますもんね。

 めちゃめちゃやってますね。その当時は「歌謡う夜」っていう企画で、77回くらいまでやってた。主にツアーミュージシャンが来る時とかに、その名前使って、やってました。自分も結構、県外行った時とかに、シンガーソングライターのツテで行って、よくしてくれたりするのもあって、そっちから来られる時に、そういう企画できないかなと思って。

——お返しじゃないけど。

 そうですね。やっぱり、泊まって行ってもらったりして、次の街まで送って行ったりとかは結構あったから。

——いろんな出会いの中で、印象に残ってるものとか……いっぱいあると思うんですけど。

 いや〜もうすごいいっぱいある。 何回目か忘れたんですけど、俺と、ピストルくんと、ヒグチアイちゃんと、谷井大介っていうのがあって、今じゃ考えらんないじゃないですか。でも本当、35人、当日でやっとやっと入れたぐらいのライブなんで……もう考えらんないよね、今は。

——豪華。

 アイちゃんとか(今となっては共演者として)呼べんのかな、とか。いろんな人来てくれたと思うので、松崎ナオちゃんとか……知らないか。その人もね、かつてはメジャーにいた人で。

——企画は、意図して止めたわけではなく。

 うん、コロナで止まっちゃって。77回目はC-moonかな、借りて、ドカンとやりたいイベントがあって……それが流れちゃって、そのままになってて。

——お名前が変わったタイミングってコロナ前でしたっけ?

 全然前ですね。2017年。

——何かきっかけがあって?

 10年以上「衰退羞恥心」でやってて……8年目から変えたくてしょうがなかったのね(笑)「なんか違うかな~」とか思ったりして。その時は、改名するあたりの頃は、よくhpnさんにギターやってもらってて。「名前変えたいんです」って話したら、結構好意的で。
 俺は最初「sing of gypsy」って言ってたのね、シングは歌う方のやつで。そしたら「なんかそれじゃ普通だから、TH の thing にしよう」とかってなって(笑)「よくわかんねえな」とか思いつつも、「ああ~」みたいな感じで。だから最初ね、「sing of gypsy dandelion」とかって(笑)一個長かったのよ、たんぽぽになっちゃってたんだけど(笑)「いや……ライオンでいきましょう」って。結局、ややこしい名前からややこしい名前になるっていう(笑)。

——(笑)なんかうまく訳せないなって思いながらいつも見てて。

 そう(笑)ド直訳だと「放浪してるライオンのコト」みたいなぐらいにしかなんなくて。まあでも、それでいいかなとか思ったりして。

——後付けの thing だったんですね。

 そうなんです。だからまあ、「そんな放浪してるようなだらしないライオンはどこにもいないんだけど、一応腐ってもライオンです」みたいなところで、後づけでそういうふうに言ってるんだけど。

——確かに、ライオンって普通は群れの中の頂点みたいな感じだから、逆説的な感じで。

 そう、そんな放浪してるような奴はダメだと思うんだけど、「それでも一応俺はライオンです」みたいな感じで。

——なるほど。それが2017年。

 そうですね。でも圧倒的にソロが多いから、もう「日下部真」でいいんじゃないかなって(笑)思う時も結構あって……それは何年後かに考えようと思って。

——じゃあバンドというか、ソロプロジェクトというか。

 そうですね。ソロプロジェクトっていうのが一番しっくりくるかな。一人でも、ユニットでもやるし、今でも福島の時はhpnさんに時々来てもらったりするし。「元カノ」って呼んでるんだけどね(笑)マンセイくんが今やってくれてるから、ほとんど。

僕たちの場所 この手でつかむまで

——さっき、結構全国各地いろんなところ行かれたっていう話があったんですけど、コロナ禍になってからは一気に止めざるを得なかったんですよね、県外に出るってことに関しては。その時は……っていう話を聞こうと思ったんですけど、ジョンさんとか阿部さんとかが「コロナ禍でもすごく足繁く来てくれて嬉しかったし、ありがたかった」っていう話をしてたので。

 ライブできないっていうのがもう、どうにもしんどくて。みんなと同じように配信駆使してやるっていうのがあって、「じゃあそれでやれるならやろうよ」ってなって、やりましたね。めっちゃ覚えてる、5月の何日かだったと思うけど、ピークアクションかな。今は配信大好きで、今でもたまにやってるんだけど、無観客配信とか。やっぱ当たり前に何のレスポンスもないし、ね、「意味あんのかな?」って一瞬自分でも思ったし。でも、やってよかったなって思う。

——意外と、コメントとかの力って結構ありますもんね。

 そう。だからその時は譜面台に携帯置いといて、その配信繋いでおいて、コメント拾いながらやる、みたいなふうにやっぱりやってましたね。

——県外に出ること自体は減ったけど、歩みは止めずに。

 そうですね。一通りやったかなあ、ピークアクションもやったし、C-moonもやったし、アウトラインもやったし。で、それも吉田(チキン)連れてね、一緒にやったり。

——一緒のレーベルみたいな感じでやられてますもんね。

 そうなんです。「チキンライオンレコード」というのをやってて。そもそもは吉田チキンが「CD出したいけど、どうしたらいいんですか?」みたいなとこから始まって、それの手伝いするために、でっち上げたようなレーベルで。全然もう、そのチキンライオンレコードっていう名前しかなかったし、何もしてなかったんだけど、コロナ禍で通販サイト作ったりして、初めて。そこからですかね。

——そこでちょっと輪郭ができたような。

 うんうん。コロナ前にも吉田とはツアー行ったことはあったし、今度また4月にも行くんだけど……まあでも彼女はどこ行ってもいいライブするし、すごいなあって思う、いつもアウェイでの強さが。なんとかならんもんかなと(笑)ずっと思ってます。

——(笑)その後に、我々と対バンしていただいて。

 そう。あれもコロナ禍だもんね。

——何を思って我々を呼んでいただいたんですか……?

 なんか、あの時はあの時で、コロナ禍で「3days war」っていう企画を立ててて。主にピークアクションでだったんだけど、結局全8回ぐらいやったんだけど。

——あ、そうだったんですか。

 平日をちょっと……なにせ埋めたくて。勝手な使命感に駆られてじゃないけど。で、アコースティックで3日間のつもりでやってたんだけど、バンドもやってみたいなと思って。若手というかね、と俺、とかちょっと変な組み合わせかなとか思ったりして、面白そうと思ってGREENBACKとzanpanをオファーした。

——やっぱりなかなかこう、アコースティックの方達と交わることって(我々としては)全くないわけじゃないんですけど、やっぱそんなに多くないので、嬉しかったですね。

 あーよかった、嬉しいです。またぜひ。

——ぜひぜひ。それで、今に至るっていう感じですかね。

 うん。3days warってイベントを企画していく中で、県内ネットワーク(ビジネス)が生まれたんですね。TM NETWORKのコピーバンド。『SEVEN DAYS WAR』って歌があって、TM NETWORKの歌で。イベント企画が「3days war」で……TMって見たことある? まあ似ても似つかないじゃん(笑)俺なんか。だから「俺がTMカバーしたらちょっとウケるかな」ぐらいに思って、じゃあ『SEVEN DAYS WAR』を歌おうと思って歌ったら、割とそのコロナ禍のライブハウスへのアンサーソングみたいなところがあって。「僕たちの場所 この手でつかむまで」とかっていう歌詞があるんだけど、なんか、いいなあと思って、その時の共演者と最後に一曲歌ったりして。
 そのうちバンドになって……「ふっしーその日ドラム叩けない?」とか言って、「いつもやってる曲あんじゃん」っつって。ふっしーに至ってはTM NETWORKすら知らなくて、そっから始まっての今のメンバーなので、6人編成になりましたね。

——なかなか異色の編成ですよね。

 そうねえ。5人編成で、キーボードがこだまっち(村民こだま)だけだったんだけど、やっぱりTM NETWORKってシンセサイザーが核みたいなところがあって……小室哲哉さんっていう人がいて。で、「シンセなんてでも、知り合いいねえよ」って言ってたんだけど、ドラムの勇先生が、まさかのKMC(郡山メタルシティ)ってあるじゃん、あの中でシンセできる人がいるってなって。「真琴さんと同い年ぐらいじゃねえかな」って。「無理かもしんないですけど、一応声かけてもらっていいですか……?」って言ったら、連絡すぐ来て、まさかの小室哲哉さんの大ファンの人で。

——おおー!

「でも、大ファンの人来られてもなんかやりづらいな」って一瞬思ったんだけど(笑)練習来てくれて、「楽しい」って言ってくれて。「小室哲哉さん好きで、ずっとシンセサイザー持ってたけど、TMのコピーバンドは初めて」って。

——ウィンウィンではないですけど、なんか(笑)そんな感じに。

 そうそう(笑)そうなんです。だからめっちゃ弾けるの、TMの曲とか。音作りとかもすごい。

——持ってかれそうですね(笑)その人に。

(笑)そうそう、本当にそう。しかもね、こだまっちのも、あれシンセなんだよね一応。同じ機種のグレード違いみたいなやつを持ってて、だから音色の作り方もすごい詳しく、こだまっちに言ってくれて。サウンドは本当にTM NETWORKみたいになってきました。

——思わぬところで(笑)会うもんですね。

(笑)本当に本当に。普段はメタルのバンドとかやってるって。

——そうですよね。そういうところで出会ったんですもんね。面白い。

考えていくと、やりたいことはちょくちょくある

 全然音楽とか、飽きたらいつやめてもいいと思ってるんだけどね(笑)。

——(笑)今んとこ、まだ飽きる予感は。

「こんなのやってみたい」も結構あるし……全然人気は出ないけどね。

——いやいやいや。

 これはもうどうしようもないね……ジョンくんには悪いけど。

——我々はやっぱりめちゃくちゃ、ハコに甘えちゃってますよね。

 そうね、俺もそう。(動員)一桁とかザラにあるし。だから俺、塩井ちゃんがすごいと思ってて、最近……大丈夫かなと思うくらい。

——だって(401FESTIVALにはthing of gypsy lionも)出られますもんね。

 そう。なんかこう、若手とのちゃんと、繋がりを作ってるというか。俺とかはどうしても苦手意識が働いてしまって、「若い子どう思ってるかねえ……」みたいな(笑)「嫌われたくない」みたいなのがあって、なんかググっといけないというか。
 今のバンドの方たちって、割と結構、普通っていう言い方はおかしいんだけど、昔みたいに変な奴がいないっていうか(笑)バカじゃねえかみたいな奴がほんと少ない気がして。

——もしかしたら、逆にみんな同じように見えるっていうのもあるかもしれないですけどね。際立つ人がいないというか。

 ああ〜。どうなんだろうね。とにかくうまい、みんなうまい。ふっしーとかとも一緒にやるようになってからだもんね、割と喋るようになって。ハコの人同士であんまり喋んなかったような気がする。

——だからnoteとか見てても「人見知りです」みたいなこと書かれてましたけど、「本当にぃ……?」って(笑)。

 本当に(笑)めっちゃ人見知りだよ(笑)。

——全然そんなイメージはなかったですね。

(笑)その記事にも書いてたけども、初めからもう「オレ、気さくで誰とでも仲良くなれるんです」みたいな奴はほんと苦手で。大体そんなのとは仲良くなれない。

——よくわかります(笑)。

(笑)「それはこっちが決めることだよ」。

——そうですね。双方の合意がないとそこは。

 hpnとかとも、だいぶかかったんだよね、仲良くなるまで。対バンとかして、打ち上げがあるから、なんとなく同じ空間にはいたけど……あんまり一緒に喋ったり飲んだりとかはなくて。何年かしてから、その当時mixiってのがあって、メッセージと申請が来て。「そろそろいいんじゃね?」ってだけ書いてあって(笑)。

——それだけ聞くとなんか怖いですけどね(笑)

(笑)。「そうですね」っつって。「hpnさん、たまに弾いてもらえないですか」みたいなこと言って、そっから始まってて。その初ライブが3月11だったんだよね、なくなっちゃったけど。

——独特な関係性ですね。

 そうですねえ(笑)。

——これからの部分っていうのも伺っていきたいんですけど、あんまり「これが目標」みたいな定まったものは、特に設けてない。

 目の前にある目標はあるんだけど。今でいうと音源作ったりとか……。

——中長期的なものは特に。

 そうですね。メジャーとかそういうことでもないなと思ってて。でも、力入れてるイベントで、毎年「金髪フェス」っていうのがあって。金髪の演者集めてやるだけなんだけど、それは継続してやっていこうと思ってて。なんかちょっと、有名人とか来ねえかなとか(笑)オファーいつかできねえかなとか思ったりして。箭内(道彦)さんとかさ……(笑)とか思ってます。あれは続けていこうと思って。

——なんかそういう一個、マークになるものがあるといいですよね。

 あとは、今までCDしか作ってないんだけど、サブスクやってみたいかなと(笑)ついに。畑でいつも作業してるときに、サブスク結構聞いてて。「こんな便利なもんなんか」と思って。大昔のインディーズとかも結構あがってて、誰があげてんだろう、誰が収益を得てるんだろうね……それこそスターリンも聞いてるし、「こんな便利に使ってるなら俺も登録しよう」と思って。ハードコアとかノイズとかも相当あがってるもんね。

——zanpanでも、お客さんで「CDでしか聴けないんだよね」っていう人も「サブスクしかやってない」って人も、どっちもいる感じはしますね。

 大学生とかと対バンしたときに、「サブスクありますか!?」って(笑)キラキラした目で言われたときに、「あっ……ごめん」。一応あるって言えるようにしたいなと思って。だから、CDと違うバージョンで作ったりしようかなとか思ったりして。サブスクだけの音源というか、考えてたりします。ベストじゃないけど……いやベストじゃない、お前の何がベストかわかんねーしってとこだと思うけど(笑)。

——(笑)いやいやいやいや。

 そんなのも作ってみたいなとか思ったりして。

——導入編的な感じで作る人もいますしね。

 うん。とりあえず何か聴いてもらえるのがいいかなと思って。あとね、ちょっと前からすごく思ってるのがあって、パンクかロックンロールのバンドやりたくて。4人編成で、また俺がボーカルなんだけども。で、一切ネットの媒体使わない、っていうのをやりたくて。

——おおー。

 もうバンド名とかも決まってて(笑)自分の中で。曲もちょっと作ったりしてて、もう全然下手くそでいいなと思ってて。ニヘイくんに「ベースやろ? ベースやろ?」って言ったんだけど、「やりません」って(笑)酒の席で断られるっていう(笑)。ちょっと前(永井とニヘイさんで)飲んでなかった?

——マブなんですよ。

 あ、マジ?(笑)でもちょっとね、紙のチラシだけでやるやつをやってみたくて。なんかね……変わんねえんじゃねえかと思ってて。ネットに載せたなんだって集客するのと、紙だけ……ライブハウスのホームページに名前載るぐらいは全然いいけど、こっち側で発信しないというか。SNS使ったりしないでやってみたいなとか、最近すごく思ってて。そんなバンドもやりたいと思ってます。

——だってそれこそ、音楽的にはもう原点に立ち返るというか。

 そう、そうですね。

——それ楽しそう。

 最初のライブでレコ発とかやりたい。夢が広がる感じ。

——ちょっと今までにない感じで楽しみですね。

 やってみたい。なんとなくね、こういうの考えていくと、やりたいことはちょくちょくあるんだよね。

——それをじゃあ、順番に実現していく感じですかね。

 うん、やりたいっすね。

——っていうところで一応、ひと通りにはなるんですが。聞き漏らしなどなければ。

 いやーすごーい。なんかあるかなあ。金髪フェスも言ったし……なんか……記事にできそうですか?

——いやもう全然、たっぷりいただいて、ありがとうございます。

 普段飲むよね? 酒ね。

——普段は、はい。次はぜひ、飲めるときに(笑)。

真琴(まこと)
1976年12月3日生まれ。福島県出身。
バンド活動を経て衰退羞恥心として活動を開始。2017年からthing of gypsy lionに改名し、全国各地で活動。
TM NETWORKのコピーバンド県外ネットワーク(ビジネス)を牽引するほか、自身を含む金髪ミュージシャンを集める「金髪フェス」も主催している。

取材協力:AREA559
〒960-8034 福島県福島市置賜町7-5 アドニード121 2階
TEL.024-573-7574
https://area559.jp

メンバーシップ「Flagmentぷらす」では、
このインタビューのアフタートークや、アザーカットがご覧いただけます。
あわせてぜひお楽しみください。
(※Flagmentぷらすの有料購読が必要です。)

記事に頂いたサポートは、全額をその記事の語り手の方へお渡しさせて頂きます。