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初心者に教えるのが一番難しい|初心者の気持ちを常に忘れないためにも重要な新しいことへのチャレンジ

どんな分野にも共通していると思うことがあります。

それは「初心者に教えることが一番難しい」ということ。
その分野に詳しいからといって教えることが上手いわけではなく、むしろ詳しすぎること、ベテラン過ぎることが足枷になる場合があります。
なぜなら、「初心」を忘れてしまっているからです。


前回、こんな記事を書きました。

内容はPython初学者が「仮想環境」というものを構築しようとして、すったもんだした挙句、実は使っている開発ソフトの設定だった、というオチの話です。
まあ自分としては、苦労して習得した知識ではあるので、思い入れタップリに書いたわけなんですが、こういう『初歩的なつまづき』って、案外上級者になると忘れてしまうものですよね?
今回は、そんな「上級者が初心を忘れないためにやれること」というテーマで書いてみたいと思います。



昔自分が講師をやっていた時の話と、今だから思う反省点

話は遡るのですが、自分が社会人になって初めて入った会社がDTPの出力センターでした。出力センターというのは、印刷用のフィルムや印画紙を専用の機械で出力するところです。
1990年代後半の話なので、今ではスッカリ印刷業界も様変わりしていると思いますが、当時はまだまだ「初めてMac触ります!」という人がほとんどでした。

たまたま自分は大学生の頃に自腹でMacを買って独学ながらもPhotoshopとかIllustratorとかは使えたので、入社後もすんなりとオペレーターの仕事をすることができました。

ただ毎日毎日出力しているだけでは面白くないので、だんだんトラブルデータの対応を好んでやるようになっていました。当時はMacのCPUも貧弱で、印刷用の高解像度プリンター(専門的にはイメージセッターと言います)で出力しようとすると、時々エラーで止まってしまうデータがあったのです。そんな時は、アレコレ試して、どうにか納期までに出力を終える、というのがやりがいになっていました。

そんなこともあって、少したった頃から新人オペレーターの研修係をやることになりました。当時は電算写植(知ってる人いますかね?)からDTPへの過渡期だったので、大量に人を採用していました。

バイト、社員かまわずド素人を大量に採用していて、毎週自分の所に4-5人の新人さんが送り込まれてきました。自分のミッションはいち早く仕事を覚えてもらって現場投入することだったので、1週間という短期間でMacの基礎、Illustrator、Photoshop、QuarExpress、PageMakerといったDTP関連ソフトの基礎を詰め込みました。

用途が「出力」だけなので、本当に最低限の操作に限定して教えていました。例えばこんな感じです。

①フロッピーディスク(!)をMacに入れる
②デスクトップに現れたアイコンを丸ごとHDに重ねてコピーする
③フォルダの中のファイル名を確認して指定されたアプリで開く
④依頼に合わせて印刷機とプリンタドライブを選ぶ
⑤全体表示して、印刷範囲を指定する
⑥用紙設定(解像度、線数、膜面、ポジ/ネガ)を指定する
⑦印刷ボタンを押したら次の作業へ

という感じで、当然すべての操作はキーボードショートカットです。
これでどうにかMac初心者でも、1週間後にはオペレーターの卵として現場でお客様のデータを扱えるようになっていたので、今考えて見ればとんでもない詰め込み教育だったな、と思います。
当然一つ一つの作業の意味や、エラーになった時の対処法なんて分かるわけも無く、トラブルに会うとさっさと専門の対策班に持ち込んできます。

これではきちんとした知識が身に付くはずは無いですよね。。。。

それでも当時はMacに触れるだけでも貴重な時代だったので、多くの人が隙間時間を使ってコッソリMacの勉強をしていました。おかげでどうにか皆がそれなりにレベルアップしていけていたんだと思います。


専門知識を学ぶには順番ってものがあるんだよね

本当はしっかり基礎から学んだ方がなんだって良いんだと思います。

自分の場合はたまたま子供の頃に少しだけパソコン(確かNECのPC-6001)を触ったことがあり、少しだけBASICでプログラムも書いたことがありました。大学に入ってからは「コンピュータ基礎」みたいな講義を取ったおかげで、CPU、メモリ、HDD、BIOS、OS、APPなんて概念も知っていました。

そのうえで自腹で買ったMacをアレコレ弄り回して、時にはシステムがぶっ壊れて初期インストールからやり直して、分からない事はパソコン通信(インターネットじゃないよ!)のフォーラムで質問して、そうやって色々なことを覚えていきました。

今は学校教育でこういったコンピューター基礎をやるようになったので、本当に恵まれていると思います。

そんな基礎教育もなく、1週間で業務必須機能だけを叩き込んでしまった当時のオペレーターさん達、ほんとスイマセン!!
(今頃どこかで活躍してくれてるといいな)


帯に短し襷に長し、ちょうど良い記事が見つからない!

で、今回Pythonの勉強を始めてみて思ったのですが、ネット上で書かれている記事の多くが、この「コレとコレやったらコレできるよ!」というシンプルなものが非常に多いな、と。
もちろんある程度基礎知識が身についている人なら、「あ!なるほどね!サンキュー」という事なんだろうと思いますが、初心者には1つ1つのコードの意味が分からないので、うまく動かなかった時に何をすれば良いのかがサッパリ分かりません。

一方、いわゆるE-ラーニングとか、教本みたいな初心者向けの教材はというと、これはこれで基礎の基礎から書いてあるので、やりたい事にたどり着くまでに何時間、場合によっては何日もかかってしまって、その途中でやる気も根性も消え失せていく、なんてことにもなりそうです。(きっと学習途中で挫折しちゃった人、いっぱいいますよね!?)

そして、えてしてこういった学習教材は最先端の情報が少し遅れてくるし、個別のライブラリーの話をレクチャーしてくれるケースは少なく、あったとしても有名で多くの人が使うようなメジャーなものだけだったりします。

つまり、肝心な知りたい事にたどり着けなくて終わってしまう場合があります。これはこれで非常にタイパが悪いですよね。(さらに有料コンテンツが多いのでコスパの面でもガッカリ度がキツイ)

なので、前回の記事では、実際のコマンドやソースコードだけでなく、どんな開発環境で行ったのか、どこでつまづいたのか、そしてどうやってそれを解決したのか、ストーリー的に書いてみました。
また、途中どんな気持ちでやっていたのか、ようやく答えにたどり着いた時のアハ体験、そして実際に動いた時の喜びも、自分の感情がHOTな内に書いてみました。

まあ、結果的に文章量が多くなってしまったので、本当に教材とするなら、しっかりとした編集をやり直した方が良いとは思いますが。


まとめ

人間だれしも最初は初心者です。
しかし、どんどん勉強して知識や知恵がついてくると、案外初心者だった頃の事を忘れてしまうものです。

そして、
「あの頃は、なんでこんな簡単な事も分からなかったんだろう」とか、
「どうしてあんなミスや勘違いをしていたんだろう」なんて思うのです。

まあ自分の脳が最適化されて無駄な思考が排除されたとも言えますが、今度は人にそれを教えようとした時に初心者の気持ちが分からなくなってしまうのです。
で、
「なんでこんなことも分からないんだ!」
「どうしてそんなことをしたんだ!」
なんて怒ったり。

しまいにはめんどくさくなって、
「言った通りやっておけばいいから!」
なんて。

いやあ、反省反省。
自分も後輩や新人にそんな態度を取ってきたことがあります。

今回Pythonを勉強することで、久しぶりに「初心者」の立場に立つことができました。
こうして、いくつになっても新しいことにチャレンジするということは、専門知識が増えるというだけでなく、「初心者の気持ちを忘れない」という効能もあるんだな、と思いました。

人に何かを教える立場のみなさん、1つ「初心者」になる機会を増やしてみてはいかがでしょうか?


おまけ

ところで、初心者にも上級者にも役立つ記事の書き方ってないでしょうか?最低限のコードが紹介されているだけではなく、かといって基礎だけで何時間もかかる教材でも無く、ちょうど良い塩梅の記事。
それは階層構造になっていて、読みたい箇所だけ読めれば良いのか、でも読み物としての面白さ、ストーリー性も欲しいよな、とか。
なんか引き続き探求してみたいな、と思いました。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
またお時間ある時にでも立ち寄っていただけたら幸いです。

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