無気力ホストに危うくトドメをさしそうになった夜。
■ホストが あらわれた!
ある夜のこと。
家に帰ろうと歩いていた私に、お兄さんが声をかけてきました。
「お姉さん今帰りですか?少し話しませんか?」
黒髪にピアス、ラフな格好、20代前半であろうと思われます。
こういう場面はたまにあるとは思いますが、みなさんはどう対応しますか?
無視して歩く人もいるでしょう。
しかし、私はそのまま話を聞くタイプなのです。
「勝手についてくるなって話ですよね~。」
とか言いながら、軽快についてくるお兄さん。
今日は何やってきた帰りなのか、この辺に住んでいるのか等、とりとめのない会話が続きます。
会話の雰囲気からしてわかったことがあったので、とりあえず聞いてみました。
「お兄さんはホストなんですか?」
「あ、そうなんですよ、一応。」
話しかけてきたお兄さんは、ホストでした。
■ホストのお兄さんを深堀ってみた
おそらく営業なんだろうなぁと思いつつ、家まではまだ距離があったので、色々と聞いてみました。
「でも俺も今昼職やってるんですけどね。もうイラっとしてだめですわ。昼職無理すわ。」
「そうなんですか。じゃあお兄さんはホスト一本でやりたいけど、それでは食べていけないから、昼職も頑張ってる感じですか?」
「いや、ホストもやりたくないですね。ホストも無理、昼職も無理、どうしようもないっすわ。」
確かに、どうしようもないっすね。
「そうなんですか。どんな仕事にせよ楽して稼げる仕事なんてないですからね。」
「だから人生諦めて、昼職やりますわ。」
「そんな、お兄さんはまだ若いんだから、諦めるの早いですよ。」
だんだん瀬戸内寂聴さんみたいな悟りの気持ちになる私。
■無気力ホストとの別れ
そんなこんなで、コンビニに寄りたかったことを思い出し、私がコンビニに入ろうとしたところでお兄さんは最後の営業に出ます。
「良かったら店に来てもらえませんか?」
「私には今、ホストに費やす時間とお金はないので、すみません。」
スパっと断り、お兄さんは粘ることなく帰っていきました。
「ホストで頑張る気がないあなたに、私がお金を出したいと思いますか?」
と笑顔で聞いてあげるところだったけれど、そんなこと言われたら泣いちゃうだろうから言いませんでした。
どんな仕事であれ、一生懸命やることと、自分の仕事に誇りを持つことって大事ですよね。
■人生には生きがいが大切だ。
無気力ホストのお兄さんのような人は意外と少なくないんじゃないかなと思います。
あれもダメ、これもダメ、人生に希望が持てない。
私もそんな時期がありました。
そういう時は、周りが見えていなくて、自分だけが不幸に見えて、なんか生きていて面白くなかったです。
そんな人生が変わったのは、たくさん人との出会いや、自分が人生でこういうことをやっていきたいと目標が決まったことがきっかけのような気がします。
あのホストのお兄さんにも、そんな出会いや目標という目を輝かせるような生きがいが見つかったらいいなと思う夜でした。
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