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欧州視察で見た再エネとバイオガスプラント

※今回の投稿は、我々のノウハウになる部分もある為、具体的な記載はせず抽象的になっていることをご了承ください。

私が畜産バイオガスに係わって約10年になります。
廃棄物である家畜ふん尿からエネルギーを作りだすバイオガスプラン卜は最も理想的なエネルギー施設だと思っています。
しかし日本では、再エネの割合は中々増えず、特に蓄産バイオガスプラントは主力にはなれておりません。

ドイツは再エネ主力に舵を切り、固定買取制度などの導入も早く地理的な差はあれど日本はその取り組みを見て学ぶべき事も多いはずです。
それを確認したくて昨年11月に欧州視察を行いました。

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バイオエネルギー村紹介展示 ~EuroTier

今回の視察ではドイツとスイスの乾式・湿式のプラントを2か所づつ見学、インタビューさせてもらいました。乾式は地域の生ごみなどを原料とした大型プラント、湿式は酪農家が運営するプラントでした。ここでは酪農家運営の湿式メタン発酵を視察して思ったことを以下箇条書きに。

◎プラントがシンプルである
◎酪農家自らがメンテナンスや機械整備、運転管理を行っている
◎様々な原料を投入してガス増量、収入増
◎熱供給でさらに収入アップしている

酪農家さん自身がものすごく詳しくガイド
パンや野菜くず、地域からも受け入れてプラントに投入
納屋の一角に作られたスペースに発電機設置
増設されたバイオガスプラント ドイツ

こうした結果、どちらも農家収入とプラント収入はほぼ同じく、農家なのかエネルギー会社なのかわからないことになっていました。どちらもすでに更新された古い発電機が2~3台あり、設備を必要に応じて増設、展示会で新たな情報を収集したりとかなり事業に積極的な印象を受けました。

ドイツのプラントメーカーはすでにバイオガスの導入は一段落し、現在は設備のリビルドやメンテナンスなどの仕事が主だと聞きます。もちろん経営をやめている農家もいるかもしれませんが、今回視察の酪農家さんは、積極的に事業を行っていました。

実は自分は今回苦労している点や問題になりそうなことを少し聞いてみました。しかし彼らはそんな質問に対し、疑いもなく自信を持って真摯に答えてくれたことに、驚愕しました。

私が今回の視察で感じたこと、それは決して難しいことではなく、それをきちんと真面目に実行すること。人任せではなく、事業者として本気で取り組む姿勢。それがこれまで日本で私が感じてきたものと決定的に違う気がしました。

そうした結果、今回のウクライナ紛争の真っただ中の欧州では、燃料の高騰やエネルギー問題は死活問題であり、バイオガスのエネルギーは改めて注目されており、供給が追い付かない状態だとのこと。

もちろん日本と違い、イニシャルコストの差や制度の違いなどもあるのかもしれません。でもそれらを実現することは決して夢物語ではなく、エネルギー施設としてメタン発酵でエネルギーを作り出し、地域に供給している。

それを直接見て感じられたことが、今回の大きな収穫でした。

カフェのような酪農家従業員の休憩スペース スイス


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