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ハリーポッター翻訳チャレンジ⑫ ブチギレバーノンおじさん

毎回1章ずつ進んでいるのですが(最初の方はなかなかハリーが魔法界に行かないので飛ばしました)、ハリーポッター翻訳チャレンジは、2巻目「ハリー・ポッターと秘密の部屋」に突入します!

▼前回までのハリーポッター翻訳チャレンジ

※日本語版は15~20年ほど前に読んだっきりで、おぼろげな記憶があります。すでに松岡佑子大先生翻訳の影響は受けていて、潮永翻訳は自力翻訳とは言い切れません。

2巻目「ハリー・ポッターと秘密の部屋」(原題Harry Potter and the Chamber of Secrets)の1章目です。

ホグワーツ1年目が終わり、夏休みでダーズリー家に帰ってきたハリー。ハリーはダーズリー家から歓迎されず、魔法の道具は没収され、フクロウのヘドウィグも部屋に閉じ込められています。

<英文>
Mr Vernon Dursley had been woken in the early hours of the morning by a loud, hooting noise from his nephew Harry’s room.
‘Third time this week!’ he roared across the table. ‘If you can’t control that owl, it’ll have to go!’
Harry tried, yet again, to explain.
‘She’s bored,’ he said. ‘She’s used to flying around outside. If I could just let her out at night...’
‘Do I look stupid?’ snarled Uncle Vernon, a bit of fried egg dangling from his bushy moustache. ‘I know what’ll happen if that owl’s let out.’

J. K. Rowling, Harry Potter and the Chamber of Secrets

<潮永翻訳>
バーノン・ダーズリー氏は、甥のハリーの部屋から聞こえるホーホーという大きな鳴き声に朝早くから起こされていたのだった。
「今週で3回だぞ!」
 テーブル越しにバーノンおじさんが怒鳴った。
「あのふくろうを躾けられないのなら、捨てろ!」
 ハリーは再び説明を試みた。
「退屈してるんだよ」
 ハリーは言った。
「ヘドウィグはいつも外を飛び回っていたから。夜だけでも外に出してあげられたら……」
「俺がそんなに馬鹿に見えるか?」
 バーノンおじさんがうなった。目玉焼きの小さい切れ端を、ふさふさの口ひげにぶら下げたまま。
「あのふくろうを外になんて出したら、どうなるとでも?」

<翻訳しての感想やメモ>

・え、待って、英語からしばらく離れてたら翻訳めっちゃ難しいんだけど。

・yet againって辞書で引いたら「さらにもう一度」なんだ。へ~。でも「二度目ではなく何度目か」の、「また言わせんのかよ感」が欲しいんだよな。

・snarlを英英辞書で引くと’to speak or say something in a nasty, angry way’。「怒る」の類語辞典を引いてみたけど、一言でしっくりくる動詞がないな……


日本語版はこちら!


<日本語版>
バーノン・ダーズリー氏は、甥のハリーの部屋から聞こえるホーホーという大きな鳴き声で、早々と起こされてしまったのだ。
「今週に入って三回目だぞ!」テーブル越しにおじさんの怒鳴り声が飛んできた。「あのふくろうめを黙らせられないなら、始末してしまえ!」
「うんざりしてるんだよ。いつも外を飛び回っていたんだもの」ハリーはまた同じ言い訳を繰り返した。「夜にちょっとでも外に放してあげられたらいいんだけど……」
「わしがそんなまぬけに見えるか?あのふくろうめを外に出してみろ。どうなるか目に見えておるわ」
 バーノンおじさんは、巨大な口髭の先に卵焼きをちょっぴりぶら下げたまま、唸った。

「ハリー・ポッターと秘密の部屋」松岡佑子 訳

<日本語版を見ての感想やメモ>

・「あのふくろうめを黙らせられないなら、始末してしまえ!」怒ってますねー。私はcontrolを「躾ける」と訳しましたが、「黙らせる」の方がコントロールしてる感ありますね。it’ll have to goのgoは「いなくなる」のニュアンスだとは思ったのですが、バーノンおじさんからすれば「いなくなって欲しい」の度合いがもう「始末」なんですね。バーノンおじさんのセリフは全体的にオーバーに怒らせた方が良かったですね。

・「ハリーはまた同じ言い訳を繰り返した」。「また同じ」に「また言わせんのかよ感」が出てますねー。

・あと、私のバーノンおじさんのセリフは若いですね。主人公ハリーの目線で物語が進んでいくので、松岡翻訳くらい老けてる印象をつけた方が良いですね。

・「巨大な口髭の先に卵焼きをちょっぴりぶら下げたまま、唸った」。怒っているけどコミカルな様子をせっかく原文が描写してくれているので、「ちょっぴりぶら下げた」という間抜けでかわいい訳が合いますね。


松岡翻訳はセリフを言っている人物の性格・感情・状況が文章全体に影響していますね。原文もきっとそうやって単語選びをしているはずなので、単語一つ一つだけでなく全体の雰囲気も見れるようになりたいと思いました!


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