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[フライト日記] リカレント

みなさま、長らく期間が空き、オランダはいよいよチューリップの季節がやってきました、さやです。

そんなチューリップを電車の中から横目で見ながら先日、普段は滅多に行かない(と言うかこの時にしか行かない)トレーニングセンターへ行って参りました。

なぜかといえばタイトル通り、また前回の記事の最後にチョロリと書いた、リカレント(年に一度の乗務資格の更新テスト/訓練)があったからです。

一年が経つのはあっという間で、えぇまたテストかよぉ!って思いましたとも。本当に時が過ぎるのは早い....。
パンデミック前はこのテスト/訓練は2日間に分けられ、2度訓練センターに行く必要がありました。内容は1日目はタイプ(飛行機の機種)訓練、2日目はジェネラルと呼ばれる、飛行機の運航と安全など各種ルールの訓練とテストです。

現在はオンラインでまずタイプとジェネラルの座学をします。この日にはテスト内容は含まれず必要なことを学びます。
そして別の日にテストと訓練を実際のトレーニングセンターで行います。

私は現在ボーイング737-700、737-800、737,-900と777-200ER, 777-300ER、787-9、787-10、細かく言うと7機種、ざっくりだと3機種に乗務しています。

テストは737機10問、777/787機で10問、ジェネラルが25問、問題数は少ないですがそれぞれで80%以上をスコアしないと不合格となります。

落とそうとしているテストではないものの似ているような答えや読み間違えも許されぬドキドキのテストです。

テストの後は実地なのですが、スライドを滑ったり、模擬フライトをしたり、緊急時のドアの開ける練習など....
私は毎年4月か5月に訓練が入るのですが、どういうわけか1年で一度更新される訓練内容の1号生になることが多いのです。

今年のトレーニングで印象に残ったのは
「緊急時にドアを開けて乗客を避難させる」際

トレーナーが1月の日本航空の例を挙げました。
「あの日本航空の緊急脱出は訓練通り、みんなが素早く脱出できて、誰も怪我も死亡もしなかった。
ただみんな覚えておけ。あれは日本で起こったんだ!」

なにが言いたいのかなぁと思っていたら。

「日本人の乗客が多いんだ。彼らはきちんと話を聞く人間なんだ。だから彼(JALのCA)らが叫べは指示通り動くんだ。ただ、我々のお客さんは日本人であることはそうないんだ。とりあえず話を聞かないタイプが多いんだ!」

笑いそうになりました。
でもトレーナーの言うことは真髄を得ているなとも思いました。
日本航空の乗務員は本当に素晴らしい、クルーとしてあるべき行動取り、賞賛されるに値しますが
確かに「客層による」というのも大きい。
前にも記事にしましたが、小さな頃から学校単位で避難訓練してきた日本人は避難するにはの心得を得ている。

私たちは緊急時、必要な際ドアを開けます。
スライドが完全に開くまで(滑り台になるまで)お客様を誘導しません(落下しますからね)
その際に開いているドアを手で塞ぐのですが、絶対に自分の体は機内の安全な場所に置くこと、手すりをつかむことを散々言われます。
パニックになり我先にとドアに駆け込んできた(まだスライドが完全に開いていない状態で)お客様に突き飛ばされて落下しないように....です。
私たちは何百人の命を守るための保安員ですので、不慮なことで怪我をしたり、ましてや飛行機から落下するなど許されないのです。多くのひとを守るためにまず自分を守れと教わります。

またヨーロッパのハブ空港にもなっているスキポール空港をベースとしている限り、お客様もオランダ人だけではありません。英語が通じるとも限りません。日本での国内線とはやっぱり客層が違い過ぎる....。

模擬フライトでは言葉が通じない人という役割をあてがわれたお客さん役もいたり、パニックになって騒ぐお客さん役があったりと、いろんなことを想定して行いました。

飛行機事故はあってはなりません。
飛行機は車よりも安全な乗り物と言われていますが、ひとたび事故が起これば車での事故とは比べ物にならない事態に陥ることもあります。
そのために毎年訓練しているんですが、自分たちはもちろんお客様のプロフィールにもよるよな改めて思いました。

なので皆さんも、日本で国内線に乗る際、日本の航空会社で海外に行く際、外資系の航空会社で海外に行く際...万が一の時、状況は違うということ、ご旅行の際頭の片隅にどうぞ入れておいてください。
どこの航空会社のクルーも年に一度は必ず訓練を受け、最新の情報、すべき対処を訓練し乗務しておりますので、そこはご安心を。
またパイロットたちは客室乗務員よりもさらに頻度が高く、高レベルなトレーニング(シュミレータ)、身体検査をクリアしています。

2024年ゴールデンウイークもまもなく、夏はコロナのパンデミックも明けて旅行する方が多いのではないでしょうか?楽しい旅行となりますように!

ちなみに現在オランダのキューケンホフ公園はチューリップが満開のようです😇🌷

それでは、また!Doei!

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