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ミュージカル『ミス・サイゴン』北海道公演(4)追記あり

(3)つづき

2-4.キャスト別感想

❇︎青山ジジ❇︎  ジジが歌う♪我が心の夢は、作品の中を流れる大河のような楽曲だと思います。ジジの想いがあの場にいる女性たち皆に広がっていく様子が、切なく悲しく心に響きます。青山ジジは、キムの理解者のような存在に見えました。

❇︎則松ジジ❇︎  則松ジジは、女性版エンジニアのような、登場したときから野心を感じる人物像でした。生のエネルギーが強く感じられて。♪我が心の夢での歌声が気高く、印象に残りました。

❇︎鎌田タム❇︎  私の観劇した公演は、全て鎌田タムでした。タムは、一切言葉を発しない役。その存在でタムとして生きる、こんなに幼い子がこんなに難しい役目を演じるとは。エンジニアに抱き上げられるときの人形のような感じが、時代に翻弄されている姿を表しているようだったり、キムにしっかりと抱きつく姿は、まるでタムがキムを守っているようだったり。鎌田タムの小さな手が、多くを物語っていました。

3.公演日別備忘録

❇︎10/8マチネ❇︎  鎌田タムに尽きる。3公演の中で、唯一この公演だけで見られたこと。それは、キムとの別れの場面、キムに抱きついている間、あの小さな掌でずっとキムの背中をポンポンとしていました。キムの想いを身体全体で受け止めているような仕草に見えて、もう、辛くて息ができないくらい釘づけになりました。

❇︎10/9マチネ❇︎  伊礼エンジニアの劇場を掴む瞬間が、とにかくカッコいい。2幕バンコクでは、オーナーや観客との自由な感じもある場面ですが、アドリブと思われるところでは、「オーナー、満席です!時計台まで行列です!」、としっかりご当地ネタも入れてきて流石でした。さらに、♪アメリカン・ドリームでのギラギラ感と夢が散り散りになって虚しく乾いていく感じの対比が、鮮やかでした。カーテンコールでの投げキッスも、様になっていたなー。

❇︎10/10マチネ❇︎  2幕ホテルでの場面、アクシデントがありました。今まで私が観てきた海宝さん出演の舞台で、こんなに明からさまなものは初めて。クリスが、エレンに過去を打ち明ける静かな重要な場面でした。急に大音量でクラクションが鳴り、直後に海宝さんのマイクがオフになりました。しかし、芝居が途切れることなく、生声でしっかりと歌芝居が客席へ届いていました。やや少しして、マイクも戻り、本当によかった。あのとき、舞台上は勿論のこと、観客側も集中力が途切れなかったのは、思い出すだけでも凄いと思います。「ショーマストゴーオン」という言葉は、まさにこのこと。舞台は本当に生ものであり、観客も舞台の担い手であることを体感しました。

(追記)それから、この日のキャストは特別でした!ミュージカル『イヴ・サンローラン』のキャストが揃っていたんですよね。Wイヴの東山さん&海宝さん、ピエールの上原さん、アンディ・ウォーホルの神田さん。まさかこの組み合わせが札幌であると思わなくて、嬉しかったです。

4.結び

観劇後、日常に戻ると記憶が埋もれていくようで、忘れたくない一心で一気に綴りました。言葉足らずなところもあったかと思いますが、個人的記録として見ていただければ、、、。

この作品は、観る側も気力と体力が必要ですね。このご時世も相まって、ますます辛い内容でしたが、観劇できたことに心から感謝しています。俳優の皆さんの魂を感じる、本当に素晴らしいパフォーマンスに胸がいっぱいです。

『ミス・サイゴン』に関わる全ての方々のご無事をお祈りしています。

北海道まで来てくださって、ありがとう!!!


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