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ゲーム考察ノート

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昨今のゲームについて、ゲームプランナー目線で考察します。主にゲームデザインについて注目して書いていきます。
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記事一覧

ホグワーツ・レガシーのレベルデザインを分析してみた

前回、『ホグワーツ・レガシー』の全般的な面白さについて分析しました。 今回は、ホグワーツ・レガシーの中でもレベルデザインに注目して分析してみようと思います。 対象のステージは、「ジャックドウの亡骸」という、ストーリーの序盤で攻略するダンジョンです。 このステージは「アクシオ」という「敵や物体を呼び寄せる効果を持つ魔法」を使ってギミックを解いていくことがコンセプトになっています。 レベルデザインを分析するにあたって、この動画を参考にしました。(24:00~46:25)

ホグワーツ・レガシーの面白さを分析してみた

『ホグワーツ・レガシー』をプレイしました。 あの『ハリー・ポッター』の世界に自分がいて、自由に探索できて、魔法を自在に使って・・・、 と、完全にホグワーツの学生になった気分で最初から最後まで遊ぶことができました。 特に、あれだけの多種多様な個性あふれる魔法(33種類も!)を1つのゲームに落とし込んで遊びを成立させるというゲームデザインが凄いなと感心しました。 反面レベルデザインについては、遊びながら「もうちょっと工夫の余地があったんじゃないかな」と思うところがあったので、

ポケットモンスター スカーレットの面白さについて考察してみた

『ポケットモンスター スカーレット』をプレイしました。 ポケモン初のオープンワールドということで、「ポケモンの世界をコライドンに乗って飛び回り、各地のポケモンを捕まえてポケモンとの絆を深めていく」という体験はやっぱりポケモンならではの楽しさがあるなぁと感じました。 総評的に面白いと思ったところをまとめつつ、気になったところは深掘りして考察してみようと思います。 (若干のネタバレを含みます) フィールド探索なんと言っても、今回はポケモン初のオープンワールドなので、まずはフ

『Pokémon LEGENDS アルセウス』ーアクションゲームとしての工夫について考察するー

『Pokémon LEGENDS アルセウス』をプレイしました。 ポケモンシリーズ初めての「アクションRPG」ということで、これまでのポケモンとは全く異なる体験を得ることができました。 「ポケモン×アクションRPG」としての面白さをどう実現するか、という工夫が散りばめられており、 今までの当たり前だったポケモン体験とのトレードオフになっているところを逐一見直して面白さを磨いていったのだな、という感想を得ました。 アクション要素を中心に、詳しく分析してみようと思います(若

ティアキンの「くっつける遊び」が実現した体験とは?

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(ティアキン)をプレイしました。 やっぱり馬に乗ってる時のBGMいいよなとか、武器の入れ替えがめちゃくちゃ楽になって個人的に嬉しいとか、色々語りたいことはありますが、 メインの遊び部分にフォーカスした分析をしてみます。 まず、ゼルダの遊びのベースは「謎解きアクション」です。 道中に置かれている祠や神殿などの謎を解きながら、アクション操作で敵を倒して物語を進めるゲームです。 ゼルダシリーズに通底するコンセプトですね。 その

『ブルーアーカイブ』ゲームデザインレビュー

今回は今年の2月に配信開始した、『ブルーアーカイブ』についてレビューします。 ゲーム性についてブルアカのゲーム性は一言で言うと、「編成の面白さはプリコネ風、操作の面白さはクラロワ風」と呼べます。 ▼敵との相性を見極めながら編成する ブルアカのキャラクターには、5種類の攻撃タイプと4種類の防御タイプがあります。 キャラクター同士が敵対した時に、自分の攻撃タイプと敵の防御タイプの相性によって、ダメージに差が出ます。 「重装備の敵には爆破より貫通が効く」し、「軽装備には貫

Identity VとDead by Daylightに学ぶ、コンシューマゲームをスマホゲームに落とし込む時のヒント

今回は、IdentityとDead by Daylightを比較することで、コンシューマゲームをスマホゲームに落とし込む時のヒントを探ろう、という分析をやってみます。 今回は主にゲームデザインについて2つの作品を比較して、そこから学べるものを見つけていきたいと思います。 比較①ルールまずはルールについて比較していきます。 【Dead by Daylight】 【Identity V】 はい、ルールは全く同じですね。 図で見ても分かると思いますが、ルール自体は1VS

【レビュー】モンスターハンターライズはなんであんなにサクサク?

今回はつい1ヶ月前、3月26日に発売された『モンスターハンターライズ』について分析します。 僕は発売日に購入して、60時間ほど遊びましたがすごく面白いですね。 僕のモンハン履歴は、2nd Gや3rdをたくさん遊んで、そこからしばらくモンハンには触れず、そしてワールドを遊んだのが最後でした。 ある程度モンハンに慣れているユーザーからすると、今回のライズはとても遊びやすい作品だなぁと感じました。 キーワードは「サクサク感」モンハンライズのキーワードは、なんと言っても「サクサク

ゼノブレイドのバトルシステムと、その面白さについて分析してみた

こんにちは、ゲームプランナーのFujiと申します。 普段はスマホゲームの開発現場で仕様作成やスケジュール管理などをやっています。 noteではいろんなゲームについて、プランナー的視点でゲームのレビュー記事を書いています。 今回は昨年Switch版が発売された、『ゼノブレイド』についてレビューします。 僕はそのSwitch版で初めてプレイしました。 プレイ感想は一言で言うと、「バトルが面白く、全く飽きないゲーム」でした。 ゼノブレイドはそれくらい、毎回バトルをするたび

2020年を代表するスマホゲームまとめ

こんにちは、Fujiです。 もうすぐ2020年が終わります。早かった・・・。 今年もたくさんのスマホゲームが配信されました。 そこで、個人的に「これは2020年を代表するスマホゲームだ!」と思ったタイトルをまとめてみました。 スマホゲームのクオリティも年を重ねるごとにどんどん進化しているので、2020年時点のクオリティラインを知っておくことはプランナーにとってはとても重要ですね。 話題になったもの、ビジネス的に成功したもの、ゲームデザイン的に尖っていたもの等、それぞれ

『オクトパストラベラー大陸の覇者』はスマホゲームとして最適化され尽くされた王道RPG

こんにちは、Fujiです。 最近リリースされた『オクトパストラベラー 大陸の覇者』(以下『大陸の覇者』と略します)にハマっています。 もともとはSwitch及びPCで販売されていたコンソールゲームですが、遂にスマホに来た!と話題になりましたね。 僕も例に漏れずプレイしていますが、遊んでいると所々で「スマホゲームとして上手く落とし込んでるな~」と関心したので、どういう部分に関心したのか紹介したくてこのnoteを書くことにしました。 スマホゲームとして成立させるためのバト

【ゲーム考察】モンストは継続率施策の宝箱

こんにちはFujiです。 スマホゲームを運営するプランナーにとって、高い継続率を維持するのは永遠の課題であり、「継続率」は喉から手が出るほどほしいものだと言えます。 とはいえ、スマホゲーム市場ではいまだに毎月のように新しいゲームが生まれ、ユーザーの取り合いになっていて、継続率を維持するのはとても難しい状況です。 どうすれば高い継続率を維持することができるのでしょうか? またその施策はどのようにして考えればよいのでしょうか? そんなことを日々考えるプランナーの方のために、

【ゲーム考察】ドラクエ、FF、ポケモン、ペルソナ・・・「ターン制コマンドバトル」の面白さとは?

【ターン制コマンドバトルとは?】「ターン制コマンドバトル」というジャンルのゲームを遊んだことはありますか? ターン制コマンドバトルとは、その名の通り、 自分と相手のターンを交互に繰り返して、コマンドを入力することで対戦するゲーム です。 ・・・とは言われても、「何だそれ?」となるかもしれないですね。 具体例を見てもらえれば「あぁ、アレね」となると思います。 例えば、 『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて PlayStation®4版プロモーション映像』 よ

なぜポケモンは面白いのか?世界中で愛されるのか?/『ポケモン・ストーリー』を読んで

『ポケモン・ストーリー』という書籍を読みました。 この本は、初代ポケモンである『ポケットモンスター赤・緑』の企画書が提出されてから、2000年までのポケモンの歩みを詳細に綴った本です。 ゲームの企画意図や開発エピソードを知れるとともに、マンガ連載、アニメ放送、ポケモンカードなど様々に展開されていくキャラクタービジネスの裏側も知ることができる、貴重な本です。 当時の関係会社、企画に至った経緯などに限らず、企画に対しての議論(なぜ賛成・反対か)や、さらには大まかな予算規模まで