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GTO

 最近リバイバル版のGTOが放送され、26年ぶりの続編だ。このドラマは私が小学生の頃にやっていたドラマで、懐かしさがこみ上げてきた。リアルタイムで見ようと思ったものの、実は数分ほど冒頭を見逃してしまった為、今回TVerで見てみようと思ったものの配信が終わっていた。仕方がないので98年当初の放送を見る事にした。

 見始めて思った印象はやはり時代を感じる。当時の大人はまだ携帯電話をあまり使っていなかったり、ドラマ内のテレビ番組のフォントがまだまだ昭和臭いフォントだったり、とにかく時代を感じる要素が多かった。というより、98年ぐらいだとまだニュースのフォントが昭和のまま変わらなかったんだなと。もしかしたら日曜日の番組なんかは未だに昭和感あるフォントかもしれない。

 割と覚えているシーンもあれば、こんなシーンあったっけ?と視聴しながら思っていた。そんな中、印象に残るシーンというか、当時から鬼塚先生がビシっと言い放ったセリフに考えたい事があった。

 登場人物に吉川という男の子が居る。小栗旬が演じたキャラクターで、声変わり前の貴重な役で、本人としてはやはり恥ずかしいみたいだ。劇中でこの吉川はクラスメイトに虐められているのだが、その虐めを鬼塚先生が(かなり問題のある方法で)虐めを止めた。

 その時に吉川が「もっと見たかった」というような感じの発言をしており、それに対して鬼塚先生が「あんま調子のんなよ?虐められる原因はおまえにもあんだぞ」と言い放ったのである。

 ドラマ内ではその後の展開が余りにも暴挙のそれなので、配信を是非見て頂きたい。ストーリー上この虐めは解決する事が出来たのだが、私が今回すごく思う事がこの「虐められる原因はおまえにもあんだぞ」というセリフ。

 今回の流れとしては、吉川が調子に乗り始めた事でこのセリフが出てきたのだが、今の日本人の考え方だとこのセリフってかなりボコボコに叩かれてしまうのではないだろうか?

 日本人は徹底的に叩く人が多く、スキャンダルに関しては本当に容赦のない国民性だと認識している。

 しかし、事いじめ問題に関しては本当に頭が固くなってしまっている。実を言うと私はこの鬼塚先生の「虐められる原因はおまえにもあんだぞ」というセリフを支持している側の考えで、日本人の根底にある考えとは真逆の人だ。

 先に言っておくと、苛めを行う人が悪いという認識そのものに私は否定をしないし、実際にその通りだと思っている。しかし、決定的に違うのは日本人の場合はそれで終わってしまい、原因に関しても虐めた側が悪いと思考停止をして、考察する意思すら持ちえない。でもね、鬼塚先生の言い放った「虐められる原因はおまえにもあんだぞ」っていうセリフの通り、被害者側の落ち度を全く疑わないっていう事は私はしたくないと考えている。

 あくまで原因が本人にあるとは言わないが、苛めを行った側は対象者に何らかの動機を抱いた結果が、苛めに繋がっている事は確かだ。その動機は勿論「何となく」も含まれる上で、その「何か」が動機となっている事は考える必要があると思っている。

 勿論その原因が「何となく」であれば、そいつを処理してしまいさえしたら、苛めは収まるだろう。そして、その先はちゃんとした人間関係を構築する事も出来るだろう。

 しかし、その原因が「相手を怒らせる何か」を行っていて、それが「相手を傷つけてしまう、許せない何かをしている、しかもそれを複数人に行ってしまっている事を認識していない」となった場合、少し話が変わってくるのではないだろうか?

 結構日本人はノーシンキングで虐めた側を攻めて立てるものの、内訳が分かって被害者側にも落ち度が認められると平気で手のひら返しをする人が多い。これが現実である。そんなものである。

 であれば、一発目から虐めた側が悪いと結論付ける事って、余りに危険な事ではないだろうか?

 本当に苛めを止めたいと思うのであれば、原因をちゃんと見極めない限り、そこで終わればいいが、最悪苛めが止まっても別の誰かがまた同じような苛めを行うようになってしまう可能性もあると私は思っている。もっと最悪なのは、今度は虐めた側が加害者として苛めを行うようになるケースだってある。というか、今回の吉川はそうなってしまう可能性も含まれていて、そこで鬼塚先生がクギを刺した形となっていたように私はこのシーンを見て思った。

 この世の中言ったもの勝ちみたいな風潮が強く、その最初の一言は「逆恨み」の可能性だってあるのだけど、残念ながら疑う事を忘れた日本人にこれを見破る事はもう無理だと思う。もしそれが出来ていたら、きっと職場で逆恨みハラスメントなんていう現象は起きないと思う。

 もっとちゃんと相手の主張している事の信ぴょう性、他者の視点はどうなのか?そういった観点を忘れたら、本当に助けなければならない人を間違えてしまうよ。

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