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新型コロナ対策分科会で政策の選択肢が提示されました

2022年4月27日の新型コロナ対策分科会では、「大型連休における感染拡大の防止について」という政府からの呼びかけの案と「今後の感染拡大時の対策についての論点」という政策の選択肢の分科会からの提案について議論されました。私の発言内容はつぎのとおりです。

「大型連休における感染拡大の防止について」へのコメント

感染拡大を抑えたいというのは共通の思いですが、重症化リスクが高い高齢者のワクチンの3回目接種率が87.1%になっている状況で、これほどの感染対策や行動規制を呼びかける必要性には疑問をもっています。この点は、資料3の議論と関わってきます。屋外でのマスクは不要だが感染リスクが高い場面では着用してほしいとか、効果のない感染対策は止めて換気に気をつけるというような効果的なものに絞って呼びかける方が効果的だと思います。さまざまな業種別ガイドラインについても効果的なものに見直すことも必要だと思います。学校での感染対策の強化が記されていますが、必要以上に感染対策が強化されることで、教育に大きな影響を与えないことも重要だと思います。学級閉鎖の基準が厳しすぎないかもチェックする必要があります。特に、子供や若者の場合には、重症化する率が極めて低いにもかかわらず、感染対策を強化するというメッセージを出すことについては疑問に思います。むしろ、子供たちの活動を自由にしていくために、高齢者や基礎疾患がある重症化リスクが高い人たちのワクチン接種を高めるように呼びかけるべきではないでしょうか。

「今後の感染拡大時の対策についての論点」についてのコメント

今回、新型コロナ感染症対策として、社会経済活動と感染対策の重点の置き方、保険医療体制の考え方について、政策の選択肢をあげ、その選択肢のメリットとデメリットを整理するという方向性は望ましいと考えます。こうした情報提供が、政策決定者の意思決定に資するものと考えます。どの選択肢が望ましいかについては、専門家だけで決められるもではなく、価値観に依存しますので、分科会で一つに絞れないものだと考えられます。どの方向性を取るのかは、国民の代表である政策決定者の判断だと思います。
 社会経済の状況を示す資料3の関連資料3について、簡単に説明させて頂きます。まず、3ページのGDPの動きです。月次の GDP推定によると今年の1月2月には昨年の1月2月並みに経済が停滞した可能性を示唆していますし、コロナ以前よりも低い水準のままです。産業別にみると飲食・宿泊での影響が大きいことが分かります。5ページは失業率の推移ですが、これもコロナ以前の水準よりも高止まりしたままです。特に非正規職員へのマイナスの影響が大きかったことがわかります。8ページの婚姻、9ページの出生数では、トレンドよりも大きくマイナスになっていることが示されていますし、婚姻件数は11万件低下したとされています。10ページの超過自殺の推定では2年間で約6,600人の自殺者が増えています。年齢層としては若者が多く、子供も無視できない数になっています。最後に、保育所の休園数をまとめていますが、第6波の際に休園になったところが多いことが分かります。休園や学級閉鎖は、子供の成長と親の就業に大きなマイナスの影響を与えてきたと考えられます。
 ここで強調しておきたいのは、このような社会経済へのマイナスの影響が既に2年間続いていることです。短期的なものであれば、回復も比較的簡単ですが、長期に渡る影響がある中でこれ以上長期化することの悪影響はより大きくなることです。子供や若者にとっての2年間は人生に大きな影響を与えます。政策の方向性を考える上で、既に2年間の感染対策が社会経済に与えた影響について考慮する必要があると思います。その意味で、Bの選択肢が私個人としては望ましいと考えます。
 医療提供体制についても、重症者の中心が高齢者であることを考えると、介護やリハビリができることや基礎疾患への対応ができるという点で、一般の医療機関や高齢者施設でコロナ感染者も治療できるように進めていくことが、感染されたご本人にとっても望ましいことだと思います。そうした選択肢である②についても是非検討して頂きたいと思います。

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