げんせ1

詩とか小説をかきます おさけすきです🐟

げんせ1

詩とか小説をかきます おさけすきです🐟

最近の記事

そろり

寝転んで大きな音を聴いていると、この今がいつか訪れる死につながっているという実感が不意に降ってきました。 僕はそのことを不思議に思いました。 なぜなら僕はそれを蛹の中の芋虫のようにピュアに信じられたからです。 いずれ元型を留めていられなくなるたましいを器からこぼさないように、竟への階段をそろりそろりと昇っています。 そうしているうちに今の悩みも笑顔も知らぬ間に去ってしまいます。 竟への階段をそろりそろりと昇っています。 心の中に優しい夜風が吹いています。

    • 彼女とお揃いのイヤホンを買った。 付けていると気持ちがやわらぐ。 うきうきでソフィーとか聴いてしまう。 鏡を見ると自分のこめかみに白髪になりかけの色素の薄い透き通った髪が何本かある、その気の抜けた感じに親しみを覚える。 気が抜けた甘いビールみたいに弛緩した気候だからハイキングに行きたい。 小川美潮の山登り銭湯という曲がある、あんな風に過ごすのを夢見ている。

      • しと

        雨がしとしと降っている。 街は雨のカーテンの内側で静か。 僕の意識は川底の石。 揺れていて、遠い。 僕は雨を歓迎する。 雨の静けさを肺に入れ、吐き出すのは軽い罪。 その生温かさはあっけなく雨の冷気に奪われて消える。 手脚がしとしと濡れていく。 僕も街もどんどん鈍る。

        • 白昼夢

          カフェインを取りすぎて頭が熱いし胃が重い。 ぐつぐつと興奮している。 そんな状態でエレベーターに乗っていると酔って気持ち悪くなった。 目を瞑ると不意に天神を流れる那珂川の光景が脳裡に浮かぶ。 サアーっと世界が遠ざかる感覚。 やりながらルールを付け足していく子供の遊びのように文字を打つ。 それは思いのまま散歩する白昼夢。 自己、社会、都市、すべて今にも醒めそうな夢。虚を揺蕩いながら、ビックバンの直後いちどきりきらめくほんの纔かを永遠と呼んでいる。

          春がかなりアグレッシブで暑い、もう半袖でも良いくらいだね。 電車に乗り込むと正面のドアが豹柄でアート系の映画かなと思った、大阪感マシマシ。 M.I.AのBeepという曲の春っぽくて土臭い獣性が自分のいまのモードにぴたっとはまってこの前からよく聴いてる。 中村一義が春分にリリースした曲切実でよかった。 車窓から花見スポットを眺めていると、見たところまだ五分咲きくらいだけど座って花見をしている人たちがぽつぽついる、みんな楽しそうでほのぼのした。 車両に逸翁美術館で催され

          キジバト

          詩に潜む祈りは稚魚。 息を潜め、大海に出る波を待っている。 最近は音楽も小説も映画も祈りの一形式なのだとなんとなく理解できて、誠実に向き合えているように思える。 きっと春は夢みたいに過ぎちゃうけど、この春、一度だけの春に拾った破片はまたごはんを食べるときにきっと思い出せる。 なんだか川が見たい。 神戸や大阪や奈良、いろんな川がある。 川に寄り添って生きていたい。 めんどくさい宿題や会いたくない人もたくさんいるけど、 結局自分は呆れるほど自分で、それでいる限り待つのは自分

          Let It Come Down

          お使いを頼まれた。 時間を持て余している。 ベローチェで三体を見たりゲームをして時間を潰している。 たいくつ。 受難という言葉にはいつか抜け出せるという希望の成分が含まれている気がする。 水族館に行きたい。 アザラシは怒ると顔が怖い。 甲殻類はみんなカニ化していく、そのことを考えながらタラバガニを見ると趣深い。 急に暑くなって気持ちが春に追いつかない。 季節はいつも心をすり抜ける。 クリーピーナッツの新曲は微妙だった。 オタロードってオタロって略すんだね。 ぼざろみた

          Let It Come Down

          クレープが食べたい

          人生という巨大な抽象の海を漂う。 全ては柔らかく捻れ、繋がっている。 自己は曼荼羅に編み込まれたスパーク。 目を瞑ると自分の姿を俯瞰する自分がいる。 なにかにつけ南無阿弥陀仏と唱えた方がいいかもしれない。 たまにはクレープを食べたい。 さっき「アメリカで男が聴くと馬鹿にされるミュージシャンランキング」という動画を見ていて「おもしろいなあ、たいへんだなあ」っておののいた。 みなさんどんなクレープが好きですか。 俺はチョコバナナのやつが好きです。 カスタードが入っているとなお良

          クレープが食べたい

          ちいかわ号

          昨晩彼女と羊たちの沈黙を見てた。 久しぶりに見たんだけどあれ?こんなに怖くなかったけと思った。 ちいかわのほうが美しくて怖いときある。 それはそうとレクターは好き。 ドラえもんくらい画期的なキャラクターだと思う。 インテリだし獣みたいな色気もあって蠱惑的。ハンニバルシリーズを見ていて彼になら魅了されてもいいかと思わされる。 アンソニー・ホプキンスとマッツ・ミケルセンそのものの魅力もだいぶレクターの色気に寄与してると思うけど、やはり吸血鬼を元にしたインテリ食人鬼というところで

          ちいかわ号

          春暑し

          駅から帰る道すがら、チャリのおばあちゃんがバランスを失して目の前でスローに前のめりに転びうつ伏せで両手をついた状態になった。 俺含めて通りがかった3人でおばあちゃんを起こそうと補助したけど、おばあちゃんの脚がぐにゃぐにゃに脱力してなかなか立ち上がることができない。 そうこうしていると、向かいの整骨院から先生と従業員の人が出てきておばあちゃんの靴を脱がせたりチャリを地面に押さえ付けて一本ずつ足を抜き、ようやくおばあちゃんは立ち上がることができた。 2人がてきぱきと的確におばあち

          無辜

          marimekkoのリュックにぶら下がったエイのキーホルダーの笑み、電車に揺られている。 この世に悲しいことなんかひとつもないみたいな笑みだ。 電車に乗っていれば、そこに自然とたどりつく。 自分を続けていれば、自然と口に運ばれる、ごはん。 選ぶということを長いこと忘れていたような気がする。 すべては目に飛び込む広告のように軽薄で、間欠的なパルスにただ揺れていた。 諦めることで得られるものやたどり着ける場所がある。 みんな帰れない酔っ払いみたいなものなのかもしれない

          春烏

          道端を歩く二羽のカラスのうち一羽がスキップみたいにぴょこんと跳ねた。 久しぶりの陽気が嬉しいのか。 カラスなのに雀躍している、とにやけた。 集中力がないと感じる。 集中力が、自分には。 火を通す前のホットケーキの生地みたいにすぐ崩れてしまう。 自分の字に自信がなかったけど手紙を書いたらかわいい字と褒められた。 とてもうれしかった。 思い返すと使ってないステッカーとキーホルダーが部屋にたくさんある。 それらは分散した自己のかけらのようだ。 暖かいから冷たい缶コーヒーを解

          うろこ

          水滴を追う目 落ちた 寂しさがマグカップに溶ける                           そのうずをじっと見る 電気を消すと窓が光った 君のうろこに反射して綺麗

          水槽

          虚無で身体がどんどん透けていき 僕は空っぽの水槽になった 太陽も月も季節も 身体の中を素通り 何を想えばいいのかわからない そんな僕を彩ってくれたのは あなたが集めた綺麗な珊瑚や貝 そしてあなたは水を張り熱帯魚を放つ 彼らは飛ぶように遊泳する あなたは水温を一定に管理し 濁った水もまめに換えてくれる 永遠の季節が僕の中に産まれた ささやかな楽園を保つのはあなたの愛 たくさん楽しんでくれたらうれしい 僕は25℃の水で満たされ あなたのため眠る

          グミ

          夜のベランダは寒くて気持ちがぴんと張る タバコとシャンプーの混ざった匂いが好き だんだんとグミにウォッカが馴染んでいく 雪解けのグルーヴ 晴れだから磯遊びをしよう 風がないから過ごしやすいね 瞼が重いのが心地良いなんて幸せ 夢の中でまた会おう

          坂道

          スマホを川に投げ捨てたい 知る人のいない所へ逃げたい 惨めは僕の中で実を結び その甘く滴る果肉に歯を立てる 叫びも詩も風の中 枯れ葉舞う坂道を駆け登る