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地域づくりにおけるフィールドワーク受け入れ

11月の中旬、日本創造学会に16人のみなさんが「KJ法を学ぶ」というテーマで今帰仁村を訪れ、合宿が行われた。素材として、今帰仁村中央公民館エリアの整備について、関わっている行政職員およびプロジェクトチームの面々にインタビューを行い、現状から把握と課題解決のヒントやアイディアを頂いた。
地位側の視点で、このようなフィールドワークあるいはワークショップを受けて外と内、あるいはインサイドアウトなのか、どう生かすかそこが大切だと思うので、提案を受けての私的な感想をメモする。
テーマとしては、受け入れなどはシステム化すればビジネスになるかも。本当の成果は形にすること。


日本創造学会フィールドワークin今帰仁

川喜田二郎氏を初代理事長とするアカデミックな団体で下記のことを使命として掲げられている。http://www.japancreativity.jp/

創造性は、広く文明の根底に横たわり、すべての人間に与えられている人類すべての共通の課題です。「日本創造学会」は、あらゆる分野の理論と方法の創造的な結合により、創造に関する研究と実践の育成発展とその成果を社会に浸透、普及させることを目的としています。

日本創造学会ウェブサイトより

今回、理事のお一人と知り合いだったことがご縁で今帰仁村に1泊2日の日程で、後述する今帰仁村中央公民館とその周辺エリアの再整備構想を説明することで、参加した皆さんで地域の現状把握やプロジェクトに対するご意見等を伺えて有意義であった。

今帰仁村中央公民館

独特な建築デザイン
今帰仁村中央公民館は1975年に象設計集団+アトリエ・モビルによって設計された。276本の赤い柱と広い芝生の広場が特徴で、開放的な空間が提供されていた。現在は、村庁舎の新築によってこれまで管理していた教育委員会が移動したため、会議室のみの利用であるが、元々は事務室、図書館、講習室などがあり、喫茶コーナーやレクリエーションスペースも設けられていた。

地域住民との共同作業
この公民館の建設には地域住民が積極的に関与した。特に貝殻モザイクの装飾は、地域の団体が共同で作成したもので、公民館が地域活動の中核となるよう計画段階から住民との話し合を重ねて建設された。

建築的価値の高さ
1977年に文化庁芸術選奨新人賞を受賞し、「日本におけるモダン・ムーブメントの建築197選」にも選ばれるなど、建築的価値が高く評価されている。赤い柱と緑の芝生の対比が印象的で、自然との調和を重視した設計思想が際立っている。現在は老朽化によってコンクリートの剥離など住民利用は限定されている。

北山文化圏センター整備構想

役場庁舎の新築により、当該エリアにある中央公民館以外にも隣接するコミュニティセンター、保健センターなどの今後の利用の見直し、緑地部分も含めた一帯の再整備として「北山文化圏センター」とビジョンを掲げて今帰仁村の新たな中核エリア形成を目指している。

中央公民館の保存活用
歴史的に価値のある建造物を修復・保存し、活用していくという方針である。修復した後にどう活用するかは、村で新たに結成されてたプロジェクトチームメンバーを中心に議論が進んでいる。


住民活動の場の確保と外来者との交流
中央公民館が社会教育施設であり、隣接するコミュニティセンターは類似施設ではあるが総務課主管となっている。住民のサークル活動や子どもたちの学習の場、生涯学習としての様々な学びの場としての機能を確保していく必要がある。今回、中央公民館とコミュニティセンターの機能分担の議論、住民ニーズに基づいた適正な規模設定や新たな価値創造など、議論を深めていく必要がある。
また住民の交流の場であると同時に交流人口増やすためにも、観光客や行楽客などが今帰仁村に立ち止まり、地場産品を購入したり、住民と交流することも期待されるため、村民以外の方が求める機能やサービスも同時に検討していく必要がある。

緑の活用
緑豊かなエリアであると同時に湧き水等を含む小さなせせらぎの存在など水も豊富である。農業が盛んなことも水があることがベースにあると伺った。
今回の当該整備構想エリアにも湧き水エリアがあり、芝生のある公園部分と池とせせらぎを活用した、ビオトープ的な整備ができないかとも議論されている。

経済活動へのつながり
当該エリアは国道505号に面し、西には隣町の本部町にある美ら海水族館、東には古宇利島と多くの観光客が集まるスポットの通貨エリアである。将来的には大きな商業施設の計画もあり、観光客の通行量の増加が見込まれる地域であり、経済的な活動にもつなげられるエリア再整備も検討の余地がある。これらは今後プロジェクトチームや村当局での議論を重ねていく中で具体化していくであろう。

ワークショップを受けて

日本創造学会の皆さんがどのように感じ、現状把握し、限られた時間と情報の中から、課題解決に向けた提案を頂いた。課題の設定というよりも現状を把握した段階での、整理という状態での提案なので、あくまで参考程度ではあるのだが。
本来ならKJ法のW字のラウンド2とか3のレベルまでいってからの課題設定とソリューションの提案なのだが、フィールドワークに参加した皆さんにはあくまで、短い時間でワークする手法を体験するプログラムで、その題材の一つであった。

川喜田二郎( 『 KJ 法 渾沌をして語らしめる 川喜田二郎著作集 第5 巻 』 中央公論社

これを受けて、地元側はどう動くか、動かないか。
地域づくりでよく聞く、ワークショップ批判に、当事者でもない人があれが欲しい、こっちを直してほしい、こうすべき、ああすべき、など言いっぱなしで、みんなの意見を取り入れたら、魅力も何もない、無難で役に立たないものがでてくる。というのがある。
まぁ、確かに行政がやるワークショップには短時間に多くの方の意見を聞きましたというアリバイ的なものは多数ある。

外目をどういう風に意見集約するか、合意形成するのか、しないのか。様々な意見を統合的な質を高めていく次のアクションへどうつなげていくかが私の課題である。ここまでの流れは計画通り。あとはプロジェクトチームの皆さんをはじめ、今回の出会った皆さんへどうアップデートしていき、次のステージでR3、R4へ。ZOOMでディスカッションもあるだろうし、SNS上でコミュニティ作って仲間にしていくこともあるかもしれない。
ということで、フィールドワークに参加していただいた皆さんに感謝すると同時に、今帰仁村側のプロジェクトチームの皆さんも引き続き頑張りましょうというメモでした。


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