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【読書日記】父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。 《中編》

なぜ「貧困格差」は拡がり続けるのか?その理由を解説します。


どうも

あなたのキャリアを失敗させないコンサルタントのタルイです。

週一でnote更新してます。



今回は

「父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」要約記事の続きです。



▼前編はこちらです。


ごめんなさい。今回は後編の予定でしたが...

どうしてもまとまらず「中編」とさせていただきました。


なぜ「まとまらない」のかというと

本書は著者:ヤニス・バルファキスさんが

オーストラリアに離れて暮らす愛娘クセニアさんからの

パパ、どうして世の中にはこんなに格差があるの?人間ってばかなの?

この質問に答えるべく

「きちんと経済のことをわかってもらいたいと」

ヤニスさんがわずか9日間で書き上げた

とても素敵な本なのですが...


ヤニスさん。とにかく話が長いです。


特にわかりやすく説明しようとするあまり

経済を神話だったり戯曲だったりSF映画だったりと

例えに例えすぎて、正直読んでいて疲れます💦


これはあくまでも私の推論ですが...


ヤニスさん、娘さんを溺愛するあまり

逆に「うざい」と思われちゃう

タイプかもしれません。



そこで今回は、

もしも私が娘さんの立場だったら

「パパ、要点だけ簡潔に!」

と告げるだろうなーと思いつつ


できる限り要点だけの感想を書いていきたいと思います。



◆前回のあらすじを要点だけ...


国家間の格差は

肥沃な土地を持たざるものが

農耕や工業などテクノロジーの発達で

「持つもの」となり

持たざる国を侵略したことで生まれました。



そして今回のテーマは

国内とかの地域内の貧困格差

どうして拡がったのか?


それは

一部の権力者が蓄積した穀物の余剰を

独り占めにし

さらにその富を利用して

さらに大きな余剰を

独り占めにするからなのです。


つまり

「持つもの」が

さらに「持つもの」になり

「持たざるもの」から搾取する


このエゴイズムについて

歴史をもとに解説していきます。


▼第2章から第5章までを要点だけ図解にしました。


ここから詳細を解説していきます。


◆第2章 市場社会の誕生


農業革命が生んだ格差は、

18世紀の産業革命(働き方3.0)により

規模が拡大しました。


産業革命というテクノロジーが造船が造り

グローバル貿易が始まると

世界では「農作物」より「羊毛」が売れました。


土地をもつ領主は羊毛(スコットランド・イングランド)→(中国)→(日本)→香辛料(インド)→大量の羊毛を購入する→(以下繰り返し)


領主はいわゆる海外輸出ビジネスを
主軸にしだしたのです。


この転売のために

領主は農奴たちを農地から追い出し😱

羊を飼いました。


住む場所や食を与えてくれる存在を失った農奴は

しかたなく自らを労働力を商品して

工場などに提供するようになります。


さらに領主も自分で羊を育てる代わりに、

一部の農奴に貸付して起業家にさせ、

土地を貸し出して羊を育てさせました。



これで

持つものがさらに持つものとなるために

持たないものは自らも商品化することになったのです。



世の中にはお金で買える価値(交換価値)

お金で買えない価値(経験価値)があります。


もちろん両方とも大切な価値です。


しかし

生産に必要な「ヒト」「モノ」「土地」

すべて商品化したことで結果


経験価値<交換価値


つまりお金で買える価値

お金で買えない価値を

上回ってしまったのです!



これだけではありません。


すべてを商品化した結果

人間は「利益を追求する」という

新たな変化も起こりました。



◆第3章「利益」と「借金」のウエディングマーチ


あなたは疑問に思うかもしれません。

会社員なら利益の追求は正しいことのように

会社から教育されてきたでしょう。


しかしこれは経営の本質ではなかったのです。


なぜならば

利益を追求するのは

「借金」をしなくてはいけないからです。


前述しましたが

農奴は領主に年貢を納める約束(借金)をして

生産を始める起業家になりました。


その結果、お金の流れに「大転換」が起こりました。


▼こちらの図をごらんください。

[農奴時代]

・はじめに農奴が土地を耕し、作物をつくった(生産)

・そこから領主がむりやり年貢を納めさせた(分配)

・領主は余剰作物を売ってお金を稼ぎ、支払いと金貸しをした(債権・債務)


[起業家]

・年貢を納める約束で領主から借金をする

・毎月の返済額は確定するが利益は未定。

・利益のためにひたすら働く


つまり

生産する→年貢を納めるから

年貢を納める約束(借金)をする→生産する

というお金の流れに「大変換」が起こったのです。


このバラダイムシフトの本質は

文明の作り出した便利な道具であったお金を

手段のために持つのではなく

「借金を返すために稼ぐ」という

利益自体を目的に変えてしまったのです。



誰だって借金するのは嫌です。


「困った人がいたら助けて、逆にその助けた人が困ったときは助ける」

という好意の返報性による「貸し借り」

契約書と利子といる借金の「貸し借り」

本質的に違います。


人助けは経験価値であり心の満足が得られます。


しかし

「借金」は交換価値で

貸し手に「利子」という欲望の満足を得る代わりに

借り手に「債務」を負わせるのです。


「産業革命」の原動力は石炭ではなく借金だったのです。



前編の冒頭で

アダム・スミスが書いた『国富論』の一節。

「神の見えざる手」として

すべて市場に任せておけば社会は豊かになる。

を紹介しました。


しかし市場に任せっきりにしていると

大不況になるリスクも常にあるのです。

次に解説します。



◆第4章「金融」の黒魔術


1930年代にヨーロッパのほとんどの国は大恐慌に見舞われました。

その原因をつくったのは

強大な力をもった金融機関です。



▼こちらの図をごらんください。

私たちの銀行のお仕事イメージは

銀行にお金を預けた人の預金をもとに

借りたい人に貸し付けて利子で儲けている。

ではないでしょうか?


ですが

これは事実ではありません。


現実には

借りたい人が

「将来利益を出すだろう」と希望的観測のもとに

銀行がその人の通帳に残高を記帳して

どこからともなく、パッとお金を作っているのです。


これは黒魔術を使った錬金術としか

いいようがありません。


銀行は1920年代に黒魔術を使うようになった

2つの理由があります。


①産業革命によって経済がものすごい勢いで拡大した

急激な成長(つまりバブル)を支えるために

借金の額が爆発的に増大しました


②銀行は貸し倒れリスク回避のため、その債権を小口に分割してたくさんの投資家に販売した

ここであなたは

「なんで他人の債権なんかを買うんだ?」

と思われたかもしれません。


それは銀行は投資家に対して

預金した金利よりも

高く受け取れるように設定するからです。



これを繰り返すとどうなるか?


いつしか現実の経済の成長が鈍化して

借金だけが積み上がります。


そして借り手は返済できず、破綻します。


1929年の大恐慌はこうして起こりました。


しかし

破綻しかけた銀行には

中央銀行が救いの手を差し伸べます。


どうやって救うのか?

またどこからともなく

お金をパッとつくって救済するのです。


このツケはもちろん税金にかかります。



2008年に世界金融危機がありました。

「サブプライムローン」

「リーマン・ショック」と

キーワードで覚えていらっしゃるかもしれません。


サブプライムローンとはアメリカで

もともと資金力のない人に

「住宅は価格が上がる」という希望的観測のもと

大量の貸し付けを行いました。


そして、その貸し付けを証券化して

世界中に販売したのです。

(これがリーマン・ブラザーズ証券)


ここまで読んで

過去の失敗から何も学ぶことのない銀行に

あなたはイラッとしたかもしれません。



ですが、銀行もただの増幅器でしかないのです。


経済が不安定になる原因は別で

2つの特殊な商品であると

ヤニスさんはいいます。


その2つの商品とは...

「労働力」「マネー」です。



◆第5章 世にも奇妙な「労働力」と「マネー」の世界


ヤニスさんは「労働市場」と「マネーマーケット」の奥底には悪魔が潜んでいる。

そして

この悪魔たちが景気の回復を妨げるためにあくせくと働いていると指摘します。


※マネーマーケット:1年以内の短期の資金のやりとりをするのが「短期金融市場」


この「労働市場」と「マネーマーケット」は

他のモノ市場と「商品」の性質が違います。


通常「モノ」は価格が下がれば

売りやすくなって

多くの方が購買行動します。


ところが

労働市場はヒトの代金(賃金)を下げれば

求人が集まらなくなります。


同様に

「マネーマーケット」においても

金利を大幅に下げれば

起業家は景気が悪いと判断し先行きを案じます。


2つの市場に潜む悪魔は

私たち人間に

《予言の自己成就》をさせるのです。

人々が社会状態についての予言(予測)を信じ、誤った認識をいだいて行動するために、結果的にその予言が実現する現象


しかも厄介なことに

ネガティブな予言ほど自己成就されやすい。


悪魔が景気の回復を妨げるために

あくせくと働いているのです。



ヤニスさんは

この状態を解消するためには

社会全体を考え直し

18世紀のイギリスで起きた「大転換」と同じくらいの変革で

大幅につくりかえる必要があると提言してます。


それはAIとロボットによる自動化

(働き方5.0)によって

いまその最中にあると書かれてます。


しかし同時に

残念ながらこの改革は

解決とは反対の方向に

社会が向かっているかもしれないと

警鐘もされています。



それはなぜなのか...


いよいよ次回は

第6章・7章・8章と

これからの経済について 

ヤニスさんの提言を交え


ラストのエピローグにて

愛娘クセニアさんの名前に込めた想い。

また私たちに

経済について自分ごとにする」

メッセージを書いております。



◆ここまでの「まとめ」


「持つもの」が

さらに「持つもの」になり

「持たざるもの」から搾取する



私はあることに2つの気づきがありました。


経験価値<交換価値

18世紀に変換した公式は

21世紀の現代に

経験価値>交換価値

に変わろうとしていることです。


マーケティングの世界では

カスタマーエクスペリエンス(CX)

日本語で「顧客体験価値」という指標の

重要度が増してきました。


簡単にいうと従来のモノ消費ではなく

モノ+コト消費を大事にしていこうです。


今後はさらに本格的なコト消費の時代が

やってきます。



もう一つは

辻さんのこの記事を思い出しました。

借金のことを考えたら

目先の利益を追うのが経営者

だれにも責めることはできません。


それでも「綺麗事」を言う

辻さんを私は支持したいです。



ヤニスさんの経済を自分ごとにするとは

経済という大きい括りではなく

経営だったり日常の行動だったりと

自分ごとサイズで考えるということなのではないか?


このような考え方でも

良いのかもしれないと確信しました。


最後までお読み頂きありがとうございました。


◆本書に興味がある方にお知らせ

本書は経済を解説したビジネス書ではなく

ノンフィクション小説として楽しめます。

よって

ビジネス書のようにスキミング読みをしたらもったいないです。

ところが翻訳本は文字数が多いので目が疲れる...😰

本書もわかりやすいのは事実ですが…
とにかく話が長過ぎます。


こういう本は「聴いて読書」がおすすめです。

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audibleで無料期間中にダウンロードして解約すればタダで聴けます。

▼こちらのバナーより

※必ず無料期間が終わったら解除忘れないでください。


最後までお読み頂きありがとうございました。

後半が気になる方はスキをつけてお知らせ頂けると頑張って書きます😊



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