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【キャリア教育】大丈夫。大人の階段には必ず踊り場がある|『脱・正解主義』と『アート思考』で納得解をみつけよう

「自分らしさ」がわからない!
「自分の強みが見つからない」
「将来の夢がない」

そう思ったら、この先を読んでください。


どうも
安全・安心と絆でつながる
キャリアコンサルタント
のタルイです。

週イチでnote更新してます。


「自分らしさ」とは
一般的にアイデンティティといわれてます。

自我同一性ともいいます。
「これが私だ!」という自分を確立することです。

つまり、自分なりの答えが見つかっている感覚のことです。


アメリカの発達心理学者の
エリクソンが1959年に提唱しました。

エリクソン

「アイデンティティの構築、確立は、青年期の発達課題のひとつだ」

大学生が就活でおちいる

「自分らしさ」がわからない!
「自分の強みが見つからない」
「将来の夢がない」



これらの状態は、
この「アイデンティティの確立」という
人生前半の課題に直面している
状態といえます。


そしていつからか
アイデンティティが確立した状態が
『大人の証』のようになりました。


例えば、
あなたは就活の面接で

こんな質問された経験はございませんか?


「あなたの強みは何ですか?」


「なぜ我が社を選んだのですか?」
「この仕事に就きたいと思った理由は何ですか?」


これらの質問は
意図しているところは
面接官が応募者の

アイデンティティが
確立しているか?

その確認するために質問しているのです。


アイデンティティとは言い換えれば
「独自性」+「一貫性」です。

「独自性」とは
他と違い、
その人またはその事物だけに

備わっている固有の性質。
 独特の個性です。


「一貫性」とはブレてないこと。

我々は行動・発言・態度・信念等が

一貫している人物を高く評価して

信頼する傾向にあります。

つまり、
企業はアイデンティティが
確立したと思われる

「早くちゃんといい子に育った人物」

を採用したがるのです。


こうなると、
応募者も必死に対策として
自分探しをします。

しかし、
そもそも働いてもいないのに
「強み」も「働く理由」もあるわけがない。


で、結局は「学生時代の活動実績」
伝えているだけ。

その過程で、他人との比較することで
落ち込むこともあります。

それは、就職してからも変わりません。

「自分らしさ」の正解を求めて
著名人の「自分らしさ」を真似てみたりと

ぜんぜん自分らしくないこと

始めてみたりします。


結論を先にお伝えしましょう。


こんなものは
アイデンティティでも
なんでもありません。


企業が求めているのは
「早くちゃんといい子に育った人」
であって

アイデンティティが確立した人では
ないのです。


そもそも
エリクソンさんは
アイデンティティについて

アイデンティティ=自分らしさ
なんて一言も言っていないのです。

ましてや、アイデンティティが
かならず青年期で確立するものとも
とは言っていないのです。


これは多くの日本人が抱いている
「エリクソンの呪縛」なのです。


では、
現代のアイデンティティの確立とは
私たちは何をすればよいのか?

そのヒントも、
やはりエリクソンさんでした。


エリクソンはアイデンティティの確立には
モラトリアム(執行猶予期間)
必要であることを述べたのです。

誰だって急には大人になりません。

大人になるための準備期間

大人の階段には踊り場があったのです。



ここからは、

●本当のアイデンティティとは何なのか?
●モラトリアムの活用方法は?


以上2点について考察をしていきます。
そして…


これから目指すべき
『アイデンティティの確立』は
正解主義から脱する。

モラトリアム(執行猶予)を活用して
本当の大人になる準備をする。


こちらを提唱したいと思います。



◆仏教的には「自分らしさ」はない

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私がまず最初にお伝えしたいのが
仏教的には「自分らしさ」という
「絶対」は存在しないということです。


「自分らしさ」に関して

お釈迦様の「諸法無我」「諸行無常」

この2つの言葉で説明できます。



「諸法無我」とは
諸法=すべてのものには、
無我=実体がない
と諭しました。



「諸行無常」とは、
世の中のものは
常に変化するので

これと断定できるものがない
ということです。


ゆえに
「自分らしさ」という
アイデンティティも

確立されたものなどない。

と私は考えてます。


以前にこちらの記事でまとめました。


お釈迦様の言葉から推察するに

自分らしさとは、
絶対ではなく、相対の世界
存在するものと考えます。

相対する自分らしさ
他人との関わりの中で得る
「自分らしさ」のことです。


私たちは「名前」や「社会人」や
「学生」などなど、
他人や社会から与えられた属性が
あります。

また私たちは
「日本」や「東京都」「企業」など
自分が所属するものに囲まれています。

これらで
「自分とは何者か」を認識できます。



だから無理して
自分らしさなどと
硬直した独りよがりな考えに
とらわれる必要など
どこにもないのです。

自分らしさは
あなたの環境と関わる人で
変わっていいのです。


◆アイデンティティを再定義する


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前述しましたが

「アイデンティティは
 大人になる前に確立して当然である」


これは日本にはびこる
〈エリクソンの呪縛〉です。


にも関わらず、

日本では自分らしさと
アイデンティティを
同一視したために

自分らしさは青年期で確立しなければならない

という呪縛が生まれました。

これが今日の「自分らしさ探し」の
原因と私は考えております。


ところで...



エリクソンがいう本来の
「アイデンティティの確立」とは
何だったのか?


あなたはここで一つ疑問に
思うかもしれません。


私は、これについて

エリクソンが生きていた時代とは
定義が変わってきていると考えます。


というのも、
エリクソンが生きていた時代の
アイデンティティの確立とは


仕事で半人前から
一人前になることでした。


エリクソンの生きた時代は
徒弟制度がありました。

親方から伝統的な技術を学んだのです。


ところが現代の働き方はどうでしょう?

現代はDXにAIにロボットにと

働き方が大きく変わっています。


現に、現代の若者の感覚では

伝統的な技術よりも、
上の世代の人が知らない
最新のテクノロジーを使った流行を
取り入れることに躊躇がありません。


テクノロジーに関しては逆に、
上の世代である社会人のほうが

半人前という引け目を感じる
こともあります。


これからは、我々中高年が
逆に若年者に仕事を教わる時代に
なるかもしれません。


よって
本来のアイデンティティとは何か?


これを問うには
現代はアイデンティティについて
再定義する必要を感じます。


これまでのアイデンティティの確立とは
早くちゃんといい子になること」
でした。


そのために日本は
学校教育と家庭教育でも

○✗式の正解を教えることで 
対応してきました。

社会全体が「正解主義」に
なっていたのです。


ところが現代は
VUCAの時代を迎えたために
先行きが不透明で、
将来の予測が困難な状態になりました。


ここで私は
あえてエリクソンさんに変わって
再定義したい。

アイデンティティの確立とは
正解主義をやめたとき

「自分だけの視点」で物事を見て、
「自分なりの答え」を作り出すこと


つまり、自分で納得解を
見つけることです。



ここから、正解主義から抜け出して
納得解を見つける方法のヒントになる
4冊の本を紹介します。


◆〈モラトリアムで読みたい本①〉
正解主義からの脱出


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「教育会のさだまさし」こと
藤原和博さんは考えてます。

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※画像はこちらからお借りしました


正解のない成熟社会へ転換するなかで、時代は情報処理力から「情報編集力」へのシフトが求められています。

日本がこれまで行ってきた
「早くちゃんといい子に」
という正解主義は

AIの時代には役に立たないから

基礎学力を7割に落としてでも、
「情報編集力」を鍛えるべきと提唱されてます。


こちらの図をご覧ください。

画像3

※画像はこちらよりお借りしました

「情報処理力」と「情報編集力」と
「基礎的人間力」の
3つの三角形が生きる力だそうです。


「情報編集力」とはなにか?

以下は藤原さんが
いつもセミナーでやるワークです。

1分間で世の中にある、白が前例で、
白が当たり前のものを20個挙げてください。

これは砂糖とか塩とか牛乳とかのことですね。


勘のいい方はもうおわかりかもしれません。 

これが『情報処理力』です。


「正解主義脳」とも言えます。


学校では情報処理力だけでOKでした。

ところがビジネスにおいては
『情報処理力』に『情報編集脳』との
掛け算が必要になります。

なにかを掛けて、
まったく違う付加価値を生み出し
ヒット商品が生まれるのです。


ちなみに白いものに「黒」を掛けて
大ヒットした「綿棒」があります。

しっかり汚れが見えるという
ベネフィットを生み出しました。


藤原さんのこの本は面白かったですよ▼



脱・正解主義を学ぶには
この後お伝えするように
努力のやり方も変わるのです。


◆〈モラトリアムで読みたい本②〉
正解主義を脱出するには努力1.0→努力2.0

私が、次にお伝えしたいのが

社会に出ると、学校とは違う
努力の必要があるということです。


▼この本が参考になります。

著者のときどさんは
格闘ゲーマーになって20年です。

順調だった著者のプロゲーマー生活は
大きな壁にぶつかりました。

それは、ときどさんの
「誰よりも早く正解を見つける」やり方が、

環境の変化により陳腐化してしまったのです。

本書は、そのスランプの中で見つけた
新しい努力のやり方である
「努力2.0」をまとめたものです。


▼こちらがその違いです。

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ちょっと補足すると
東大に受かる努力とは
「努力1.0」のことです。

「いま勝てる」とか
「正解に最短でたどり着く」
ことを最優先するやり方です。



いままさに、仕事や人生で
「正解」「勝ち」「合理性」の世界で
行き詰まっている人は

モラトリアムを活用して
是非お手に取ってみてください。



◆〈モラトリアムで読みたい本③〉
 アート思考で自分だけの答えを見つける


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モラトリアムを活用して
脱・正解主義をされた場合に

代わりに身に着けるのにおすすめは
「アート思考」です。


こちらの本が最適です。

なぜ13歳かというと...

美術は小学校から中学校へ進むタイミングで
最も人気がなくなる教科なのだそうです。

その理由は
美術に正解を求めた教育方法にあるようです。


つまり
芸術作品の知識だったり、
絵を書く技術だったりを
重要視することが問題だったのです。


アート思考とは
「自分だけの視点」で物事を見て、
「自分なりの答え」を作り出すこと


まさに
これからの正解なき時代に
必要な思考法です。


本書では
「アート思考とはイノベーション(革新)を起こすことである」
と本質を見事に捉えています。

そして...

アンリ・マティス
パブロ・ピカソ
ワシリー・カンディンスキー
マルセル・デュシャン
ジャクソン・ポロック
アンディ・ウォーホル

彼ら6人が、アートにおけるイノベーター(革新者)でした。


ちなみに、この本の解説は、
ご存知の中田さんの動画がわかりやすかったです。


これは余談ですが、
アート思考の対になる思考に
「デザイン思考」があります。

アート思考はアーティストである
自分視点』に対し

デザイン思考は顧客の課題解決を目指す
顧客視点』であります。


どちらも大切な視点です。

アートとデザインは対極ですが
複眼で融合させることに意義があります。


それは次に紹介する
モラトリアムで読みたい本の4冊目

この本がその必要性を問いてます。


世界のエリートは美術館へ足を運び、
アート鑑賞プログラムに参加することが
近年増えているそうです。


本書において著者の山口周さんが警鐘されているのが

論理的思考が限界を迎えてしまい
市場やシステムが変化する中で
これからはどのように意思決定をすればいいか?

そのためには「真・善・美」

●真とは、嘘偽りのないこと。
●善とは、道徳的に正しいこと。
●美とは、美しいさまのこと。


以上3つの「美意識」を
高める必要性があるということです。


その理由は3つです。

① 多くの人はが論理的思考を
身につけてしまい「正解が一般化」したから

② 世界中の生活水準が向上したため
自己実現が求められる世の中に変化
デザイン、ブランド、感性が重要になったから。

③ 変化の激しい現代では倫理的に判断し
後から法が着いてくるような状況が生まれている。
後に、法が追いついて違法だとされるようなこともある。


経営学者のヘンリー・ミンツバーグによれば、
経営の3要素は
「アート」「サイエンス」「クラフト」です。

●サイエンス=理性や論理
●クラフト=経験や知識
●アート=感性や直感

この3つのバランスを保つことが理想でした。

著者は、現代のビジネスの世界では
過度に「サイエンス」「クラフト」
重視され過ぎていると述べています。


なぜか?


「サイエンス」「クラフト」
言語化しやすいのに対して
「アート」は言語化しづらいからです。


この問題を解決するには
トップに「アート」を置いて
左右を「サイエンス」「クラフト」で固める
『アート経営』が必要なのです。


アート経営の例としては

●ウォルトディズニー
●ホンダ
●アップル
●無印良品の良品計画

などが紹介されてます。



◆(まとめ)人生はグレーゾーンが9割。
〜私が見つけた自分らしさの『納得解』〜


ここまでに
ちょっとたくさんのことを伝えてしまいました。


最後にまとめます。

現代においてアイデンティティの確立は

●正解を求めずに、納得解を探すこと

私はこのように再定義しました。


まず、自分らしさ≒アイデンティティ
必ずしも一致しません。
その理由は

●「自分らしさ探し」に陥るのはエリクソンの呪縛でから
●「自分らしさ」の絶対など存在しないから


つまり、あなたの「自分らしさ」は、
相対的に、
他人との関わり合いの中でこそ見えるものです。

まわりの人との
絆やつながりを大切にしましょう。


そしてモラトリアム(執行猶予期間)を
活用して身につけたいスキルは

●正解主義から脱すること
●努力1.0から努力2.0にアップデートすること
●アート思考を身につけること

でした。


最後に私の見つけた納得解を発表します。


私の納得解は

○とをつけないで
△であるグレーゾーンを認めることです。


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正解主義はステレオタイプです。

多数派に浸透しているのは
固定観念や思い込みが多いです。

ましてや日本において
多くの人に浸透する思い込みは

「社会」ではなく「世間」が作り出しています。

世間がつくる正解...
正確にいうと正解風の答えは

科学的にエビデンスも伴わない
思い込みがほとんどです。


正解主義は『べき思考』を生み出します。

この囚われから解放されると
他者の考える
たくさんの「自分らしさ」を
多感できるようになります。



大人になるには「自分探し」をやめることです。
なぜならば自分らしさに正解はないからです。

大人になるには「正解主義」から脱することです。

社会に正解はありません。

つまり、自分にも社会にも正解などないのです。


人が皆同じ発想、同じ能力、同じモノを発揮しても、
社会は成り立ちません。

人は、それぞれが持つ違うモノを
会社や社会に発揮するからこそ
会社や社会が成り立っているのです。


現在人が「自分らしさ」を求めてやまないのは
「べき思考」の弊害であり
その先にある「同調圧力」に屈しているからです。

そういったしがらみからの
解放の現れではないか

私はそう考えます。


世の中のヒト・モノ・コトに
○と✗をつけるのをやめてみる。

「そうかもしれないし、
 そうじゃないかも知れない」

○でもなく✗でもなく
△のグレーゾーンを大切にする。

△のグレーゾーンの中で
納得解をみつけてみる。

そうすれば
正解なきVUCAの時代も
LGBTも発達障害のグレーゾーンも
みんな受け入れられる世の中になります。


自分らしさを探すことをやめて

正解を求めることもやめた先に

大人の階段を昇ることができます。

みんながそれぞれにお互いを認め合う社会には
モラトリアムを卒業した
大人が増えることが必要なのです。


「みんなちがって、みんないい」世界が待っています。

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最後までお読みいただき
ありがとうございます。

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モラトリアムに関して、
こちらの記事を参考にさせていただきました。

にしださん、
いつもためになる記事をありがとうございます。



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