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#18 フジロックとサマーソニックに行った2023年夏の話

 いやぁ、暑いですねぇ。9月になってようやく朝晩は若干和らいできましたが、まだまだ暑い日が続いております。苦節ン年、ようやく2019年を最後に参加できていなかったフジロックにキャンプインして3日間、それからこちらはふだんは観たいアクトが出る時には行く、って感じの距離感なサマーソニック大阪の2日目に、こちらはBlurを観たい一心で、それぞれ参加してきました。かれこれもう苗場からは1ヶ月以上、舞洲からも数週間が経ちましたが、本当に久々に野外で、デカい音で、クソ暑い中いくつもいいライブを体験できて、未だに気づいたら何かイケてる風の兄さん達がYouTubeにアップしている苗場を練り歩いているVlogをぼんやり観てしまう、そんな夏の終わりを過ごしている不肖ワタクシ、この後も来年の夏まで度々自分を襲うであろう夏を待ちきれない病を患ったらいつでも振り返って物思いに耽ることができるように、今夏印象に残ったアクトをここに記録しておきたいなぁ、とようやく重い腰を上げたわけなんです。

 

LIZZO - FUJI ROCK FESTIVAL Day3 @Green Stage

 もう、ポップミュージック史における2023年は、LIZZOが日本の地を踏んだ年だった、ってことでOKなんじゃないかと。それぐらい圧倒的なステージングで、
まさにキャリアのピークを迎えたであろうビッグアクトの本気のステージ、その凄さにぶっ飛ばされました。
 モニターをフルに使った演出とイカしたメンバーを従えてのキレキレバンドセット、そのヴォーカルや全身から溢れ出すパワフルでポジティヴな何か、そしてライブ中盤のお色直しを経てセーラームーンの名ゼリフをシャウトするなど、そのキュートさも炸裂、とまあ、何から何までパーフェクトなものを観せていただきました。いやホンマに。
 実は後半抜けてホワイトステージのWEEZERに移動したいとちょっと下心もあったんですが、ラストのAbout Damn Timeまで、気づいたらずっと笑顔で踊りまくって完全燃焼。文句なしのベストアクト、というか2023年夏の思い出ベスト1。中でもこのイントロが夜空のグリーンステージに響いた瞬間のフィーリング…ああ。

羊文学 - FUJI ROCK FESTIVAL Day2 @Green Stage

 ようやくLIVEを、しかもクソ暑い昼下がりのグリーンステージ、全身黒のスタイリングと、LIZZOとはちょうど好対照なシンプルなステージセットでデカいステージに立った3人、長いこと思い続けて、ようやくそのサウンドを体験することができました。割と最近の曲を中心とした潔いセットで、自分もその周りも、ステージが進むごとに熱が上がっていってましたね、まさにデイドリーム。
 やっぱり、生まれ変わったらこんなバンドをやりたい、またしてもそう思わされた最高のステージでした。

UA - FUJI ROCK FESTIVAL Day2 @Field of Heaven

 今年みたいに天気が良い苗場では、各ステージともにトリ前のスロットが本当に最高なんですよね。夕暮れと共にステージがスタートして、セットが進むごとに日が沈んで夜になっていって。特にそれがあの幻想的なフィールドオブヘブンのステージなら尚更で、周りの森の木々にレーザーを照射してさらに美しさを増したステージ、その雰囲気を一身に受けて唄い踊るUAのステージが本当に最高でした。
 いわゆる有名な曲も織り交ぜたベストなセットリストでしたが、特に後半につれて演奏された”スカートの砂”と”プライベートサーファー”、この2曲を大幅にリアレンジしていたのがもう。レゲエ・ダブを大幅に取り入れて”Turbo"をリリース、そのまま苗場フジロックの初年度にグリーンステージで演奏された時の伸びやかなオリジナルバージョンとはまた異なる、ヘヴィなグルーヴとゴスペルにも似た祈りに近いヴォーカリゼーションを響かせたUA、素晴らしすぎました。

CORY WONG - FUJI ROCK FESTIVAL Day2 @Field of Heaven

 そしてそのUAの後、土曜夜のヘブンのトリを務めたのがこのギタリスト率いる天才激ヤバ音楽集団、マジでサイコーでした。
 いや、今回のフジロックまで、彼のことも全く知りませんでした。現地への移動中にSpotifyのフジロック'23プレイリストを聴いて、気になったらチェックするって感じなんですけど、そこでプロフィールに大好きなトムミッシュの名前と共に紹介されていて、そこで気になってライブを見てみた、って感じなんですよきっかけは。そしたらまあ、本人もそのバンドメンバーもまじ超ハイテンションで、ダンサブルでパーフェクトなリズムに合わせて山下達郎もアベフトシも真っ青のギターカッティングを延々キメまくるCORY WONG氏。1日の終わりにおじさんが踊り続けられるレベルなわけがねぇです。
 なんかこう、今年のLIZZOみたいに、有名なアクトとかポップのど真ん中とか、そういうのももちろん夏フェスの醍醐味ですが、そんなじゃなくてもこんなに楽しい空間をクリエイトできるバンドが、大体いっつもヘブンのトリにはブッキングされてて、ここのスロットはホントにハズレなし、ある意味じゃ、最も”フジロックっぽい”スロットなのかもしれませんね。

CORNELIUS - SUMMERSONIC OSAKA Day2 @Sonic Stage

 で、フジロックも暑かったし、何やらNew Jeansで大勢熱中症になっちゃった東京のサマーソニックも話題になってましたが(New Jeans!みたかった!)、いや、大阪/舞洲のサマソニも無茶苦茶暑かったっすよ。多分最後にサマソニ大阪に参加したのはストーンローゼスが演奏した2013年、それ以来なので10年ぶり(!)だと思うのですが、その頃からステージの位置なども諸々変わっててた舞洲、最も良かったのはぶっちぎりでコーネリアスでしたね。
 最近SNSで他のミュージシャンのビジュアルのコピーをやってる何か楽しげなコーネリアスこと小山田圭吾、MIC CHECKでキックオフしてから、今までよりもさらにパワーアップしたサウンドと映像のシンクロを炸裂させ、おもしろ映像がいつの間にかレジェンドミュージシャンのアートワークをカットアップでうつしていってなぜか感動する構成になってたAnother View Pointから、あのCount Five or Sixまでぶち込んで盛り上げた前半がまずガチあがり。

 その後、今回のセットの後半が今度はグッとくる感じで。”CUE"(後でチェックして知ったんですが、YMOの曲のカバーだったんですね)〜METAFIVEの”環境と心理”〜”あなたがいるなら”のラスト3曲がもう。”POINT”以降、声もサウンドの一部、って感じのコーネリアスの進化はもちろんリスペクトしかありません、なんですけど、そのラスト3曲、もちろん亡くなった坂本龍一と高橋幸宏へのトリビュートって意味でもそうなんですが、何よりも最近ちょっと封印され気味の、”美しいメロディを歌う小山田圭吾”ってのが、青春のある一時期にフリッパーズギターとコーネリアスの最初期の音楽を繰り返し聴いてた自分には、何よりもクるものがありました。と、セットを通じて素晴らしかったです。

Blur - SUMMERSONIC OSAKA Day2 @Ocean Stage

 で、Blurですよ肝心の。押しも押されぬ自分のメインアクト、ようやく日も沈んで、海風を肌に感じられる時間に、UAと同日やったと思うけど99年の苗場以来のあの4人がOCEAN STAGEに姿を現した瞬間、そう、今夏のハイライトになるはずだったその瞬間。

 ‥地面に寝転がってました。いや、昼下がりに風のない酷暑のスタジアムでPerfumeを観たり、その後日陰のはずのSONIC STAGEで観た”ずっと真夜中でいいのに”がすっごい良くて(屋内ほぼフルハウスで結局汗っかき)、その後のコーネリアスも含めてずっとうっすら踊ってたりしたこともあって、着実に体力と体内の塩分が奪われていたんでしょうね、それにコーネリアスが終わり、いざ!ということで移動の前に体力を、と思って食べたガーリックチップ満載のステーキ丼がトドメだったのでしょうか。登場の瞬間はマジで体調最悪でした。
 が、外の気温の下がる感じと相まって少しづつ体調も元に戻ってきて、Beetlebumが鳴り響いたあたりからはだんだんと楽しめるようになってきたのですが、それと同時に今度は近づいてくる日曜夜の終電時間‥お盆明けの月曜日に有給を取得していなかった自分の愚かさと、全部ぶっちぎって最後まで楽しんでしまおうか、というヤケクソな気持ちが入り混じりつつ、セットはCoffee&TV〜Country House〜Parklifeと激ヤバな流れに。”SONG2まだかなぁ、多分最後の方やろなぁ”って呟いてた隣の若いにいちゃんにも届いてるといいなぁ、このポップチューン達が。
 ということで、その後自分内ピークを迎えた”Girls&Boys"を聴きながら、いろんな思いでOcean Stageを後にシャトルバス乗り場へ向かって歩を進めた瞬間、僕の暑い夏は終わりを告げたんです。


 ということで、自分的にはようやく念願の苗場帰還が実現し、ここに挙げた以外にもめちゃくちゃ楽しいライブとキャンプができて、しかもそれだけじゃ足りずに舞洲にも行ってしまい、ちょっとの心残りもありつつの、2023年の暑い夏の思い出を振り返りました。また来年、青空の下で会いましょう。



 


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