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#14 アラン・マッギーと映画“クリエイション・ストーリー“の話

 いやぁ、とうとう公開されましたね、アラン・マッギーとクリエイションレコードの映画、“クリエイション・ストーリーズ“が。脚本はアーヴィンウェルシュ、監督はダニーボイル、そうです、あの“トレインスポッティング“のコンビでクリエイションとアランの映画って、自分にとっちゃあ世代ど真ん中すぎるこの映画、観てきましたよ。

 僕ももういいおじさんになったので、アランマッギーと彼のやってきたことを手放しで100%肯定することもできない感じですけど、当時あれだけ持ち上げてたトニーブレアを“CxxT”って言い放ってたり、クリエイションを閉鎖した後にキャリアをインタビューで語る形式も相まって、いわゆる凄腕レーベルマンっていう過去の栄光を賞賛するだけじゃないビターな仕上がりのこの映画、こないだのボビーの自伝のちょうどコインの裏表とも言えるストーリーを、あのダニーボイルのドラッギーでグリッターな映像と共に追体験できる感じで、何度もニヤッとするシーンがあって、なかなか味わい深い感じでしたね。

 で、レコードレーベルって一口に言っても色々あるんですけど、アホみたいにレコードとかCDとか買ってた頃は、このレーベルの新譜だから、とか、このレーベルが契約した新しいバンドだから、とかって理由だけで買ったりもしてたくらい、レーベルって重要な存在で。ダフトパンクのトーマがやってた“Roule”とか、デトロイトテクノの巨人“UR”とか、挙げだすとキリがないんですけど。もちろん古くはモータウンとか、過去にもいろんなレーベルって存在してたと思うんですけど、自分がレコードレーベルってものをはっきり認識したきっかけになったレーベルが2つあって、コーネリアス/小山田圭吾主宰のトラットリアレコードと、このクリエイションレコードだったんですよね。

トラットリア懐かしい… ブリッジとかカヒミカリィとか聴いてたなぁ

 当時、あの大好きなオアシスをリリースしているのが、こんな自主製作のレーベルだったっていうことの凄さに気づくのに少し時間はかかりましたが、自分にとってはこのレーベルのリリースを辿っていくことが、色んな音楽と出会うきっかけになってくれたのは間違いない事実な訳で。

 映画の中でも紹介されてましたが、例えば暴動と話題になった極初期のジーザス&メリーチェインのライブとか、製作費を使いすぎてレーベルを窮地に陥れたマイブラッディバレンタインのレコーディング、アシッドハウスに入れ込んだのがきっかけでスクリーマデリカが生まれたり、極めつけは電車に乗り遅れた夜に観たオアシスと契約したり…自分の世代ど真ん中の“あの“エピソードの数々に、やっぱりニヤニヤが止まらなかったんですよね。

 映画で紹介されてた以外にも、曲はちょっと使われていたもののあまりフィーチャーされていなかったティーンエイジファンクラブとか、

超一流のコーラスワークがやっぱり最高なのよ

商業的な成功には至らなかったものの、当時アランがその才能を絶賛してたマーティン・カー率いるブー・ラドリーズとか

ポップセンスの塊みたいなこの曲を朝のアラームにセットしてたのもいい思い出ですね

ウェールズが産んだ最っ高のポップバンド、スーパーファーリーアニマルズとか、

 超絶ファニーなのに何故か切なくなるファーリーズ…最高です

 あと、ヴェルヴェットクラッシュもBMXバンディッツも…挙げ出したらキリがありません。好き嫌いとかはおいておいて、文字通り、アランマッギーとクリエイションレコードがなければ、今ほど自分にとって音楽が大切なものになってはなかったことだけは事実だろうなぁ。

 アラン自身が映画の日本公開に合わせてインタビューに答えているのでこちらもどうぞ。映画でもずっと相棒役として描かれたジョーフォスターとエドボールへの感謝を述べるところだけでもうちょっと泣けます。


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