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#4 HAIM、Music Video、ミシェルゴンドリーとスパイクジョーンズ

つい最近、映画監督ポールトーマスアンダーソン(以下PTA)の新作“Licorice Pizza”が11月に公開されることが発表されましたね。

何とその新作映画、最近PTAがMVをやってた、HAIMのアラナ・ハイムも参加してるとのこと。HAIM好きでPTA好き、しかもPTAが撮ったHAIMのMV、特に“Summer Girl“のMVがもう最高で、この映画も楽しみなことこの上ないんですよねぇ。

最初にHAIMにハマったのはもう何年か前になると思いますが、きっかけは確か、ヨーロッパからの海外出張の帰りの飛行機の中で、BBCが何かで映像化されたどっかのヨーロッパのフェスでライブ映像をたまたま見かけた時だったと思います。ドラマー脱退、2人になった直後のチャットモンチーよろしく、3人が楽器を持ちかえながらソリッドなサウンドを奏でるカッコ良すぎるステージングで、ああ、ロックバンドってまだこんなカッコ良いことやれるんやなぁ、と思ったわけです。で、その時に演奏されてて特に印象に残ったのが、この“Want You Back“だったんです。

いやぁ、もうサイコーすぎて、自分がYouTuberなら近所の道を歩きながらこのビデオをパロディした動画を撮りたい衝動を抑えきれません。撮りませんけど。

で、このMVは2つとも、街中を歩いている様子を長回ししていく形で進んでいくんですけど、このフォーマットのこの感じ、昔からすっごい好きだった2つのMVと、そのMVを撮った監督2人のことを思い出すんですよね。その辺を語ってみたいな、と。

まず1つ目はチボマットの“Sugar Water“と、そのMVを監督したミシェルゴンドリー。

チボマットはもう、大袈裟でもなんでもなく自分がHIPHOPを聴き始めることになったいくつかのきっかけのうちの1つになったユニットで、個人的にはセカンドアルバム“Stereotype A“が最高なんですが、この“Sugar Water“は最初のアルバムに収録された曲。このMVがとにかくアイデアが面白くて、それもチボマットが話題になったきっかけだったと思うんですけど、それを監督したのがミシェルゴンドリーなんです。

自身もバンドをやってて、そのビデオを作ってたのがきっかけでいろんなMVを手掛けるようになったフランス出身のミシェルゴンドリー、ビョークの初期キャリア、Debut〜Post〜Homogenicの頃のシングル曲のMVを手掛けたことがきっかけで広く知られるようになったんですよね。

とにかく音と映像のシンクロ具合というか、それとそのアイデアと映像のなんかちょっと歪な感じとか、作り込まれた癖になるMVをたくさん作った人で。色々好きなヤツあるんですけど、ミシェルゴンドリー仕事でもう、好きとかそういうのを超えて自分にはちょっとトラウマみたいになってるダフトパンクの“Around the world”をとにかく観てほしいです。マジで何コレ。どうやったらこんなん思いつくんでしょうね。

…話を戻して街歩きMV、2つ目についても話していきたいと思います。曲はショーンレノンの“Home“、監督はスパイクジョーンズさんです。

そう、ショーンレノン、ジョンレノンの2人目の息子さんで、母親はオノヨーコさんなんですが、そんなことよりも重要なことは、この時のショーンのアルバム“Into the sun”が素晴らしいにも関わらず、あまりにも歴史に残ってなさ過ぎるという事実に、個人的には憤りを禁じ得ないのです。ちなみにこのMVにも前述のチボマット2人が登場していますが、ショーンはチボマットのサブメンバーだったりして、一緒にライブで演奏したりもしてましたね。

で、この何とも不思議な質感とタイム感が、スパイクジョーンズのMVの特徴とも言えると思います。フォトグラファーとしてキャリアをスタート、その後CMの映像を撮るのと同じくらいのタイミングでMVのクリエイターとしても有名になっていきます。やっぱりファーサイドの“Drop”(そういえばこれも街歩きMVですね、逆再生やけど)と、“ILL COMMUNICATION”の頃のビースティの一連のMVがいいですよね。

今でこそ曲をリリースしたらMVを作って、オフィシャルYouTubeにアップして…みたいな流れって当たり前になってますし、僕らも音楽を耳からだけじゃなく目でも楽しむって体感としては普通になってますよね。だけどそもそもMVっていう概念が生まれたのも割と最近で、80年代にMTVの開局とともに音楽に映像をくっつけて流すようになったのがその始まり、とよく言われているんですけど、90年代に入ってから、そのMVっていうフォーマットを、オルタナティブな音楽やアーティスト達と共に、大袈裟に言えば新たなアートフォームとして確立したのに多大な貢献を果たしたのが、作風もテイストも何もかも割と違うけど、同時期にMV監督として名を馳せ、今では映画監督として活躍してるミシェルゴンドリーとスパイクジョーンズの2人(あ、Aphex Twinとかテクノ系のMV撮ってたクリスカニンガムを含めて3人、というべきかもね)なんじゃないかな、と思うんですよね。

それにしてもいい時代になりました。こうやって書いてても、YouTubeにほぼ観たいMVはアップされてるし、こうやってコピペでnoteに載せられるし。昔MTVとかスペースシャワーTVとかで特集してたのを録画したりして必死で観てたのがなんかもう旧石器時代くらいに感じます。スパイクジョーンズとミシェルゴンドリーのMV集のVHSをクソ高い値段で買った(そういえばあれ、誰かに借りパクされてどっかいったな…)あの金、返してほしいわマジで。

とまあ、ここで紹介したもの以外にも、彼らが残したスゲーいいMV沢山あるので、機会があれば是非。








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