見出し画像

#16 2023年のBlurに興奮が止まらない話 Part 1

 まさかこんな気持ちになるなんて、思ってもみませんでした。

 2023年にBlurが新曲とアルバムをリリースして、サマーソニックで来日公演を行うと聞いても、”ふーんそうなんか、ライブは久々に観てみたいなぁ”くらいだったんですが、2週間ほど前に先行で配信された新曲があまりにも良すぎて喰らってしまい、それからここんとこずっと、Blurばっかり聴きまくっていまして、2023年にそんなことが自分に起こるなんて、ホントに思ってませんでした。"The Narcissist"と名付けられたこの新曲のシンプルな言葉とサウンド、そしてあの少し鼻にかかったデーモンのヴォーカル…ああ。

 だけど思い出してみると、グレアムが脱退、その後の長い間の活動休止を経て2009年に再結成、その後2012年にリリースされたあのシングル”Under the Westway"を聴いた時にも、同じように新しいBlurの曲がサイコーであることに無茶苦茶興奮した記憶が蘇ってきました。

 ああ、ビルの屋上で撮影された”Get Back“を思い出さずにいられないこのビデオ…

 ”#0はじめに”で語ったみたいに、自分がポップミュージックに入れ込むようになったきっかけのうち30%を占めるであろうBlurがこの2023年にアクティブに活動していて、新しい曲にまたこんなに興奮しているこの気持ちのままに、Blurのキャリアを振り返りながら好きな曲たちについて語っておきたい願望が止まらないのです。

Leisureと”There’s no other way"

 ストーンローゼズとハッピーマンデーズを筆頭に、マンチェスターのバンドが大挙してダンサブルな16ビートとダボダボのジーンズでシーンを席巻し、アシッドハウスも最盛期を迎えていた91年にデビューしたBlur、最初のアルバム”Leisure"期の代表曲といえばこれですかね。その頃の流行りに影響をモロ受けまくりのビートが微笑ましいですが、ファズの効いたグレアムのギターサウンドや気怠そうに歌うデーモンのポップスターな感じなど、既に垣間見えていますかね。

Modern Life Is Rubbishと”For Tomorrow”

 それほどヒットもクリティックの信頼も得られなかった1stアルバムに続き、Nirvanaとグランジが吹き荒れていたアメリカでのツアーを経て、少しづつ自分たちのアイデンティティに向き合い始めた2ndアルバム”Modern Life Is Rubbish"も、結果的にはそれほど評価されたわけでもヒットしたわけでもないですが、ジャケットとシャツを纏ったデーモンが、ロンドンの街を舞台に描かれているこの”For Tomorrow"のビデオが、ブリットポップの足音を確かに感じさせます。

Parklifeと”Parklife"

 ディスコサウンドを纏いリリースされたリードシングル”Girls&Boys”が大ヒットし、BritPopってなムーブメントを巻き起こしながらシーンのど真ん中に躍り出ることになった代表作3rdアルバム”Parklife"、これはもうホントにいろんな名曲があるんですけど、やっぱりタイトル曲にもなってるこちらを。モッズカルチャーをレペゼンした1979年の映画”Quadrophenia" のジミーを演じた主演のPhil Danielsを迎えて、都市部生活者の悲哀をポップに歌い上げ、ライブのハイライトでいつも演奏されているこの代表曲を。

Phil DanielsとQuadrophenia

The Great Escapeと”Country House”

 ポップミュージックのシーンを飛び出し、アートや政治も巻き込んだムーブメントになったブリットポップ、象徴的に語られる事件としては、The Great Escapeのリードシングルだったこの曲と、Blurと双璧をなすようにビッグになっていたOasis、代表作になった(What's the Story) Morning Gloryのリードシングルになった”Roll With It"が、全く同じ日にリリースされたあの日じゃないかと思います。アートスクール出身で中産階級出身、生粋のロンドンっ子代表のBlurと、北部マンチェスターの労働階級出身、ラッド丸出しの田舎もん代表(失礼!)だったOasisが、相反する地域や出自をレペゼンし、国を巻き込んで代理戦争をやってたなんて、凄い時代でしたね… 自分史的には、この曲からリアルタイムで聴くようになったこともあって思い出深いですね。
 ちなみにこの頃の狂騒については、Netflixの”This Is Pop”っていうドキュメンタリーが空気感を捉えててオススメです。


Live At The Budokan

 で、UKで一大ムーブメントになったブリットポップですが、当時の日本でも、クソ田舎の高校生だった自分にも届いたくらい、デカいムーブメントとして伝わってた記憶があります。Blurもそのキャリアの最初のピークとも言えるThe Great Escapeリリース後の1996年、日本武道館で行ったライブが当時日本企画盤としてリリースされました。キレッキレのギターサウンド炸裂のライブの興奮と、日本でも熱狂的に人気があったオーディエンスの熱量が伝わってくると思います。
 このアルバム、当時のガールフレンドと高校の放課後の教室で聴いてた思い出とか、その高校で英語を教えるために来日していた、UKロックが好きで仲良くなったアイリッシュ女性の先生(Ashの存在を教えてくれたのも、U2の偉大さを教えてもらったのも彼女でしたね)が帰国するっていうタイミングで、日本でしかリリースされてなかったこのアルバムをガールフレンドと一緒にプレゼントした思い出とか、そういうエモい話がいっぱいあって、このジャケットの太陽と飛行機の感じをみるだけでももうちょっと涙腺のうるうるを禁じ得ないのです。


 …あかん、こんなに長々書いているのにとてもBlurの歴史を語るには足りないし、自分の視界も若干エモみに耐えられず涙で霞んできてしまいましたので、初めてですがPart2に続くってことにしたいと思います。ブリットポップの狂乱の時代を経て、Blurがどんな変遷を遂げるのか、まだまだ語り足りませんよ。


この記事が参加している募集

思い出の曲

私のプレイリスト

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?