執念第一『#毎週ショートショートnote』
駅の改札前でナナは悟が帰ってくるのを待っている。
上から落ちてくる白いフワフワがキレイで、上を見上げるとフワフワが目に入ってビックリした。
体に積もるフワフワを払いながら体を丸め、悟の帰りを待つ。
悟は帰ってこない。
落ちてくるフワフワが増えてきた。キレイと思っていたフワフワが視界を遮り、体をより丸めさせる。
悟は帰ってこない。
周りの誰かたちがナナのことを見ながら帰っていく。
ナナに近づこうとする誰かもいたが、ナナはそっぽを向いた。
悟は帰ってこない。
フワフワは増えるが、周りの誰かたちはどんどん減っていく。
絶対帰らない。ナナは悟の帰りを待つ。
「ナナ!?なんでここに?」
悟がナナの元へ駆け寄ると、ナナの足元に傘がある。
「ナナ、届けてくれたのか?」
「ワン!」
「体こんなに冷たくして、ありがとう」
悟に撫でられナナはしっぽを激しく振っている。
途中何回もいい匂いにつられそうになったけど、我慢してよかった。
ナナの執念が実った瞬間だった。
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