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山づくりを考える


山づくりを考えるという事で、フォレストバンク管理山林の伐採地を見に行きました。

左の方は海部、右の方は高知の山々

徳島県那賀町木頭、今回の伐採地は山頂の尾根沿い、標高1030m程度の場所です。
尾根沿いまで見渡す限り針葉樹が植えられてます、約60~100年前に植えられたものです。

森林のサイクルを説明する岡田代表

県内企業様に視察頂き、林業の現場を体感していただきました。

木の大きさ、規模、急斜面の環境など。これは体感しないと中々伝わらないと思います。


伐採後の施業地

2,2ha程度の皆伐を行い、その後広葉樹16~18種の植栽を計画しています。

管理山林全体の2200haから見れば僅か0,1%の規模ですが少しでも多樹種形成の周辺環境に合った山に返して行こうと考えています。


林業作業道

搬出に当たっては林業作業道の展開、高性能林業機械(3点セット)を使用し搬出しています。

なるべく切り高が出ないよう路網を展開していますが、どうしてもある程度の切り高は出てしまいます。
こればかりは急峻な山林地形の多い日本ではどこも同じ条件だと思います。


2,2haの面積と言えど皆伐により林床は裸地化します。樹幹遮断による降雨の蒸発もありません。
土壌へ浸透できない雨水により土壌流出のリスクは上がるでしょう。
※林床植生の繁栄した斜面では時間当たり100~300mmの降雨が土壌へ浸透するが、裸地化した斜面では時間当たり20mm程度である。(森林技術No,975 森林の水源涵養機能評価の今日的課題と展望引用)


伐採したスギ、ヒノキ

山づくりを考えていく中で周辺の生態系コミュニティの環境面、水源涵養、治水機能、防災機能、co2吸収による炭素固定効果、そして林業経営としての経済面が関わってきます。

人間が木材を利用する以上、これらのバランスが重要です。

今回のケースでは出来るだけ環境負荷をかけず経済的にも安定できる選択をしました。小面積の皆伐と多樹種形成の山林還元です。

山づくりを考える、山林形成のスパンは長期的

森林機能、自然支配下の環境面に置いて究極的な理想を言えば、1割程度間伐を繰り返しながら、周辺環境に自生してる種子からの更新を繰り返して行く。

もちろん、その方法が実現できる場所もあるかも知れない。
しかし、今回の伐採面積でも管理山林の僅か0,1%の規模です。実際に現実的ではありません。

山づくりの在り方を考える。それぞれの山林環境に合った条件で様々な選択肢があると思います。

今回の選択が短期的に見れば良かったが、長期的に見れば悪循環。またはその逆、どちらにも当てはまらない。になるなども考えられます。

古来より木材を利用してきた中で様々な成功と失敗を繰り広げてきました。その学びを活かし、現代の山林との向き合い方を考えていければと思います。

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