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「わからない」より深刻!?読解力がつかない本当の要因


フォレスト出版編集部の山田です。

読解力は、学生だけに限らず、社会人になってもビジネスに役立つ重要なスキルとして注目されています。最近では、コロナ禍でリモートワークが普及し、対人のコミュニケーションよりも文章でのやりとりが増えているため、これまで以上に必要となるのではないかと思います。

一方、多くの文章に触れている中で、一読して「わかった」と思っていたけど、あとで振り返ってみたら実はあまりよくわかっていなかったということもよくあるのではないかと思います。

より正確に書き手の言いたいことを理解するために読解力を高めたいところですが、そもそも「読み」が深まらない原因は何になるのでしょうか。

本記事では、『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』(西林克彦、光文社新書)からについてご紹介させて頂きます。

著者いわく、文章の内容をより深く理解しようすることを妨げる最大の要因は、読み手自身の「わかったつもり」という状態にあるそうです。

「わかったつもり」というのは、後から考えて不十分というわかり方のことであると、本書では説明されています。例えば、一読して「わかった」と思っていたけど、どんな内容かを振り返ってみたら実はあまりよくわかっていなかったという状態があてはまります。

この「わかったつもり」の状態になると、「よりよくわかりたいという欲求」が湧かなくなり、それ以上深く理解しようとしなくなるため、結果として読みが深まらなくなるのだと、著者は言っています。

こう言われると当たり前のように聞こえるかも知れませんが、実はこの「わかったつもり」というは想像以上に難敵です。なぜなら、そもそも自分がその状態になっていることにまずなかなか気づけないからです。

著者は次のように指摘しています。

 「わかった」状態は、ひとつの安定状態です。ある意味、「わからない部分が見つからない」という状態だと言ってもいいかも知れません。したがって、「わかった」から「よりわかった」へ到る作業の必要性を感じない状態でもあるのです。浅いわかりかたから抜け出すことが困難なのは、その状態が「わからない」からではなくて、「わかった」状態だからなのです。

どうやら「わかったつもり」というのは、私たちが乗り越えるべき大きな課題と言えそうです。では、どうしたら「わかったつもり」から脱出できるのでしょうか。

それにはまず自分が「わかったつもり」になっていることを認識することが重要であると、著者は述べています。

 まず、自分は「わかっている」と思っているけれど、「わかったつもり」の状態にあるのだ、と明確に認識しておくことが必要です。すなわち、今は見えていないけれど必ずもっと奥があるはずだ、と認識しておく必要があるのです。そうでないと、既に何度も述べているように、「わかったつもり」は、ひとつの「わかった」安定状態ですから、そこに安住してしまうのです。




 

よりよく読むためには、自分で作り上げた現在の「わかった」状態を、自分で壊さなければならないのです。このとき、自らの甘さを痛感させられることになるので、それはなかなか大変なことです。このような意味で、敵は自分であるとも言えるでしょう。


以上、「読み」が深まらない理由についてご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

本書には、なぜ「わかったつもり」になってしまうのかの原因とその解決法について詳しく解説されているので、もしご興味がありましたらご参考になさってください。


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