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コロラド州が本気でDAO始めるってよ。#僕メタ

フォレスト出版編集部の寺崎です。

最近話題のWeb3ですが、メタバースでの土地取得がすごいことになってるみたいです。

完売まで、わずか1分44秒だったという。3月15日、予告された販売開始時刻を過ぎると、広大な15個の「土地」は、またたく間に売り切れた。
もっとも高額なもので7900万円相当。それでも世界から買い手が殺到し、1秒で売れた土地があったため、「こんなにすぐ売れるとは」と担当者も驚きの声をあげた。

朝日新聞GLOBE+
「2分足らずで完売、メタバースの「土地」 大企業も次々参入、これはリアルなバブル?」

なんだか完全にバブルですね。「初めは1ランドあたり3万~5万円相当だったが、数カ月経つと約20万円となり、いまは150万円で取引される」とあります。自分も買っておけばよかった・・・なんて思ったり。

ところで、今月21日にAmazon発売開始予定の新刊『僕たちはメタ国家で暮らすことに決めた』(落合渉悟・著)が発売前の予約注文段階から好調です。

本書はタイトルに「メタ国家」とあるから、メタバースの話と一瞬思われるかもしれませんが・・・テーマは「DAO」です。

DAO(ダオ)とは、「自律分散型組織(Decentralized Autonomous Organization)」の略で、ブロックチェーンを技術的基盤とした仮想共同体のこと。文字通り、Decentralized=分散した・非集中的、Autonomous=自律した、Organization=組織。参加者全員が平等な立場で運営されるため、究極の民主主義を実現させるためのツールとして期待されています。

いくつか書籍企画を進めている関係で、Web3周辺については日々勉強中なのですが、DAOに関しては「Decentralized=分散した」、つまり中央集権的ではない部分に加えて、「Autonomous=自律した」の部分もポイントになるようです。

最近実用化している自動車の「自動運転」を英語で言うと、”Autonomous driving“と表記するそうです。”Automatic driving”や”Automated driving”ではない。これはつまり、これまでの旧来型のオートメーションの文脈で語られる「自動」ではなく、より高度な処理を行う「自律」であるという点が重要なわけです。

では、気になるDAOについての簡単な解説を『僕たちはメタ国家で暮らすことに決めた』から引用しよう。

 ここでDAOとはいったい何かについて一般的な定義を再確認したい。
 DAOとは、ブロックチェーンを使った意思決定手法で、Decentralized Autonomous Organizationの略語だ。日本語では「自律分散型組織」などと呼ばれている。
 まず一般的に組織にはリーダーあるいは定常的な理事会というものが存在する。何かの案件を処理しようとすると、リーダーの意思決定を待たなければならない。もちろん良質な決定がなされる場合もあるだろう。それと同時に、リーダーの盲目や恣意から間違った決定もなされる。これはPTAの運営から戦争まで同じことがいえる。いわゆる中央集権的な構造がそういった誤謬を取り返しのつかないものへと助長する。
 ところがDAOにおいては、組織に階層が存在しない。その組織に所属する人はみんな等しく、投票・意思決定の権利が付与されている。それは女性だからとか、男性だからとか、お金があるからとかないからとか、若いからとか歳を取っているからとか、そんな属性には何も関係なく与えられる権限である。この意思決定はDAOが定めた改ざん不能な規定によって運営される。
 DAOはブロックチェーン技術を基盤に設計されており、スマートコントラクト(参照→P.224)という機能によって、処理を自動化できる仕様になっている。このスマートコントラクトにより、リーダーがいなくても案件を自動的に処理できる。やり取りの記録はブロックチェーン上に記録される。
 つまり一部のリーダーや権力者が独占することなく、みんなが内容を確認することができる。こうすれば、個々の案件の透明性はクリアに担保できて、悪意ある不正などを起こすことが防げる。

落合渉悟『僕たちはメタ国家で暮らすことに決めた』より

中央に鎮座する権力者の恣意的な決定を排除できて、民主的な総意が反映される仕組み。これが実現したら、ホントにすばらしいことです。

個人的な愚痴でたいへん恐縮ですが、「選挙で投票しても何も変わらない」という現実に絶望していました。これまでは。

でも、DAOによる国家運営が実現すれば、自分たちの声が民主的な形でストレートに反映されます。ブロックチェーンによる投票も可能となり、選挙の透明性、公平性も担保されます。

そんなことを夢想するなか、こんなニュースが飛び込んできました。

米国のコロラド州は暗号資産での納税を開始するほか、ブランド牛を分散型台帳で管理する仕組みや分散型自律組織(DAO)を立ち上げやすくする政策の導入を目指すなど、「米国で最もブロックチェーンに優しい州」を目指している。

「WIRED」2022.05.02記事

なんと!

コロラド州が暗号資産、DAO、ブロックチェーン、いち早く取り入れるぞ!とブチ上げています。さすが地方自治が徹底しているアメリカですね。

ただし、実は日本でもこうした動きが現実化しています。

自民党の平将明議員が座長を務める「自民党デジタル社会推進本部 NFT政策検討PT(プロジェクトチーム)」が「NFTホワイトペーパー(案) ~ Web3.0時代を見据えたわが国のNFT戦略 ~」というものを発表しています。

「Web3.0(ウェブスリー)時代の到来は日本にとって大きなチャンス。しかし今のままでは必ず乗り遅れる。」
有識者や起業家からのヒアリングでは、急拡大するデジタル経済圏への期待と、日本の現状への危機感が強く語られました。PTでは6つのテーマに沿って、24の論点について課題と提言を整理しました。

《テーマ》
① 国家戦略の策定・推進体制の構築
② NFTビジネスの発展に必要な施策
③ コンテンツホルダーの権利保護に必要な施策
④ 利用者保護に必要な施策
⑤ NFTビジネスを支えるBCエコシステムの健全な育成に必要な施策
⑥ 社会法益の保護に必要な施策


まだ案の段階で最終形になるのはこれからです。

平将明公式ホームページより

このホワイトペーパーを読んでみると、以下のような記載も見つかりました。

【問題の所在】
21.分散型自律組織(DAO)に適用される法令、法律上の位置づけ、構成員・参加者の法的な権利義務の内容、課税関係などが不明確

【提言】
DAOは社会課題を解決するツールとなる可能性を秘めており、世界的な潮流を踏まえつつ、日本法における位置づけやDAOの法人化を認める制度(DAO特区、BD特区等)の創設について早急に検討すべき

「NFTホワイトペーパー(案) ~ Web3.0時代を見据えたわが国のNFT戦略 ~」より

DAO特区!!!!!!!!!
いやー、もうこれはガチですね。

というわけで、今日はブロックチェーンエンジニアであり思想家/人権ハクティビストの落合渉悟さん新刊『僕たちはメタ国家で暮らすことに決めた』発売前の中間報告でした。

(発売までもう少々お待ちください)

落合渉悟|Ochiai Shogo
思想家/人権ハクティビスト
イーサリアム関連技術研究者/開発者/ブロックチェーンエンジニア
大阪大学大学院情報科学研究科情報数理学専攻スマートコントラクト活用共同研究講座特任研究員。2016年よりブロックチェーンの高速化に関わる研究で実績を残し、現在はDAO(自律分散型組織)型自治プロトコル「Alga(アルガ)」ファウンダー。情報科学全般の広く深い知見に加え、制度設計の基礎を踏まえた洞察や、アクティビズムの実践に即した民族学的分析に長けており、パブリックチェーンが社会に与える影響を遠く見通しながら多くのユニークなプロジェクトに知見や実装を提供している。とくに制度設計に精通しており、「The Fairest Democracy」というTEDx Talksはブロックチェーン時代の民主主義について世界的な議論を巻き起こした。


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