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日本経済に黄金期がやってくることを示す4つの指標

フォレスト出版編集部の寺崎です。

日経平均が今年6月に3万円を超え、33年ぶりにバブル期以来の高値をつけて以来、9月現在も3万円超えを維持しています。

今日の東洋経済オンラインにはこんな記事も掲載されていました。

今後どうなるかわかりませんが、歴史的な景気循環のサイクルから見ると、日本経済にはいま神風が吹いているようです。

これは経済のド素人の私が主張しているわけではなく、景気循環論の大家である嶋中教授が指摘されているファクトです。

今日はその話を新刊『2024年 世界マネーの大転換』の対談から抜粋してご紹介したいと思います。


日本に黄金期がやってくる歴史的証拠

今井:嶋中雄二さんは景気循環に関するプロフェッショナルで、私如きの及ぶところではありません。私の認識では、景気循環には、①キッチン・サイクル(短期)、②ジュグラー・サイクル(中期)、③クズネッツ・サイクル(長期)、④コンドラチェフ・サイクル(超長期)の4つがあり、これら4つのサイクルがすべて上昇局面となるのが「ゴールデン・サイクル」と呼ばれるそうですね。

嶋中:実はゴールデン・サイクルは私がつくった〝造語〞なんです。そのルーツは経済学者のヨーゼフ・シュンペーターにまで遡ります。1930年代に世界が大恐慌を迎えたのは、短期のキッチン・サイクル(一般には在庫循環と呼ばれ、3〜4年周期と考えられているが、今日の統計で戦後日本について見ると、5・4年の周期となっている)、中期のジュグラー・サイクル(9〜10年周期の設備投資循環)、超長期のコンドラチェフ・サイクル(長波とも呼ばれ、50〜60年周期で、シュンペーターによれば産業革命のような巨大なイノベーションが原因とされているが、コンドラチェフ自身は社会インフラの更新投資によるものと考えた)の3つのサイクルがすべて下降局面だったことによるものだと、彼は示したのです。
 さらにシュンペーターは、逆に短期、中期、超長期の循環がすべて上昇をする場合には景気の大きな山が来ると、1939年に発表した『景気循環論』の中で論じたのです。
 シュンペーターが景気循環を短期・中期・長期の3つの要素で捉えていたのに対し、アルヴィン・ハンセンという経済学者は、さらにもう一つの要素である「建設投資循環」を加えました。これは一般にクズネッツ・サイクル(20〜30年周期)と言われる長期の景気循環のことです。私はその4つの循環がすべて上昇局面で重なる状態をゴールデン・サイクルと名付け、日本経済の分析に使ってきました。

今井 澂『2024年 世界マネーの大転換』より

これから空前のゴールデン・サイクルを迎える日本経済

嶋中:日本のコンドラチェフ・サイクルは、2004年から2032年ぐらいまでが再び上昇期、景気拡張優勢期に入ってきているのです。短期循環も2021年を大底に上昇し始めており、中期循環、長期循環、超長期循環も含めていずれの循環も現在、上昇期に入っているわけです。したがって、4つのサイクルがすべて上昇するゴールデン・サイクルが発生していることになります。

今井:それはいつからなのでしょうか。

嶋中:2022年からすでに始まっているのです。実際には日本の設備投資比率から2022年の7〜9月期あたりから上昇しているとみられるジュグラー・サイクル(9・9年周期、中期循環)。2013年のアベノミクスの実施のところ、あるいは黒田異次元緩和の実施のところから上がってきていると思われるクズネッツ・サイクル(26年周期、長期循環)。そして、量的金融緩和政策が軌道に乗ってきた2004年頃から始まってきていると思われるコンドラチェフ・サイクル(59年周期、超長期循環)の上昇局面が見事にすべて重なることになる。
 この4つのサイクルが絡んですべてが上昇するゴールデン・サイクルの局面は、2022年、2023年、2024年の3年間です。そう、すでに日本経済は「黄金循環」に突入しているのですが、うまくすればこれから日本は稀に見る僥倖に恵まれる可能性があります。
 しかし、2024年までで良い状況が終わってしまうとは考えにくいですね。なぜなら、日本経済は今、同時に私が「超景気」と呼んでいる。最も長いコンドラチェフ・サイクル(59年周期)と次に長いクズネッツ・サイクル(26年周期)がともに上昇する時代にも入っており、その超景気はクズネッツ・サイクルのピークと目される2025年まで続くとみられるからです。
 なお、この超景気は、明治期以降で3回目の「第3の超景気」で、過去2回は「坂の上の雲」の時代(1903〜1918年)、「ALWAYS 三丁目の夕日」の時代(1951〜1969年)であり、いずれも日本経済の歴史的勃興期と呼ばれた時期でした。
 この時代に日本では何が起きるのでしょうか。予定されているイベントを考えると、2025年に開催される大阪関西万博があります。いま、それに向けて建設活動がきわめて活発になってきています。

今井:本来ならば、2027年の開業を目指しつつあったJR東海のリニア中央新幹線がありましたね。これの建設活動もこれからいよいよ佳境を迎えるということになります。

嶋中:そして3年続いたコロナもさすがに終焉となりつつあります。働き方改革もあって、リモートワークも活発になりました。これまでとはちょっと違う生活のあり方にはなったものの、都市の再開発も東京、大阪、名古屋をはじめ盛んに行われています。リニアにしたって、始発駅となる東京・品川駅の近辺も含めて、非常に活況を呈するでしょう。さらには福井の北陸新幹線開通など、いろいろと明るい話題が出てきています。

嶋中雄二(しまなか・ゆうじ)
白鷗大学経営学部教授
岡三証券グローバルリサーチセンター 特別顧問・エグゼクティブエコノミスト
1978年早稲田大学政治経済学部卒業後、三和銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。1983年早稲田大学大学院経済学研究科修士課程入学(1986年修了)。仏政府給費交換留学生としてリヨン経営大学院留学、米スタンフォード大学フーバー研究所Visiting Scholar、日本経済研究センター研究員など務める。1989年三和総合研究所主任研究員、主席研究員、投資調査部長兼主席研究員を経て、2002年UFJ総合研究所 資調査部長兼主席研究員に。2006年三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社投資調査部長兼主席研究員。2007年三菱UFJ証券株式会社参与・景気循環研究所長、2010年三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 参与・景気循環研究所長を経て、2022年白鷗大学経営学部教授に就任。2023年岡三証券グローバルリサーチセンター特別顧問・エグゼクティブエコノミストに就任。
1991年のいざなぎ超え論争など多くの歴史的な論争に参加し、時として政府の経済政策にも影響を与えてきた。日銀の金融政策についても、2000年のゼロ金利解除に反対し、2013年の黒田総裁就任時にはいち早く大規模緩和を提唱して、必要な量的規模の試算をするなど、一家言を有する存在である。
景気の山・谷の予測を得意とし、「転換点ハンター」の異名でも有名。現在、内閣府景気動向指数研究会委員、景気循環学会副会長を務める。
著書(単著・編著)に『2050年の経済覇権⸺コンドラチェフ・サイクルで読み解く大国の興亡』『第3の超景気・ゴールデン・サイクルで読み解く2025年』(日本経済新聞出版社)、『これから日本は4つの景気循環がすべて重なる。ゴールデン・サイクルⅡ』『ゴールデン・サイクル⸺「いざなぎ超え」の先にあるもの』『複合循環⸺よくわかる景気の読み方』(東洋経済新報社)など多数。

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いかがでしょうか?
なかなか説得力ある解説ではないかと。

「日本はもう終わった」といったネガティブな言説が飛び交いがちですが、そんなことはぜんぜんありません。

本記事で興味を持たれた方は『2024年 世界マネーの大転換』をぜひお読みください。

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