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年700冊読む人気書評家に学ぶ、積ん読とおさらばする方法

フォレスト出版編集部の山田です。

「読みたい本がたくさんあるけど、読む時間がない」
「気づいたら、読もうと思って購入した大量の本が積ん読になってしまった・・・」

もっと本を読みたいと思いつつも、そんな悩みを抱える読者の方も多いのではないでしょうか。

私はこの仕事に就いてから、日々読みたい本がどんどん増えていっているのですが、読むスピードが追いつかなくて、気づいたら積ん読の山を作っておりました。

どうしたら読みたい本たちを、限られた時間内に一気に読み切ることができるのか?『遅読家のための読書術』(印南敦史 著、PHP文庫)によると、その答えは音楽を聴くように本を読む「フロー・リーディング」にあるそうです。そこで今回は、著者が積ん読の解消法として提唱する「フロー・リーディング」の考え方についてご紹介させて頂きます。

年700冊読む人気書評家に学ぶ、積ん読とおさらばする方法

「フロー・リーディング」とは?


フロー・リーディングについて、著者は下記のように定義しています。

「フロー(flow)」とは「流れる」という意味の英語です。簡単に言えば、フロー・リーディングとは、「その本に書かれた内容が、自分の内部を“流れていく”ことに価値を見いだす読書法」です。

読書というと、読んだことを吸収して自分の中に「貯める」というイメージを持たれる方は多いのではないでしょうか。著者は、そうした「ストック」型の読書法と対照的な位置づけにあるのが、フロー・リーディングであるとし、次のように述べています。

フロー・リーディングが、膨大な情報が押し寄せてくる時代に最適化された「ため込もうとしない読書」です。


遅読になる本質的な原因


著者はそもそも本を読むのが遅くなってしまう原因は、本をじっくり読み込んで「熟読」しなければならないという思い込みにあると述べています。そのため、積ん読を解消するにはまずこの「熟読の呪縛」から抜け出す必要があると主張しています。なぜなら、どんなにじっくり読み込んでも忘れるものは忘れてしまうからだそうです。

・・・レビュー記事を書き始めて気づいたことがあります。それは、「いくら熟読しても、実際には忘れていることの方が多い」という現実。読むスピードと理解度・記憶は、まったく比例しないということ。つまり、「書評を書くのだから、ゆっくりじっくり読まなければ・・・」というのは大いなる勘違いであり、ゆっくりじっくり読んだからといって、内容がよりしっかり頭に入るわけではないのです。

つまり、積ん読を解消するためには、読む速度を上げるのではなく、そもそもの「読書という行為」に対する発想を転換することが大事になってくるわけです。


フロー・リーディングを実践する方法


では、どうすればストック型からフロー型に読書に対する考え方を変えることができるのでしょうか?フロー・リーディングでは、次の2点を意識して行うそうです。

まず1つ目は、読書の目的を「100%写しとる」から「1%にめぐり合う」へ変えることです。先述の通り、フロー・リーディングはため込むのではなく、自分の中に流していくように読む読書法です。

とはいえ、熟読することに慣れている場合、本当にそれで本から知識を吸収することができるのかと疑問に思われる方もいるかもしれません。そんな方の背中を押すように、著者は次のように断言しています。

「本を早く読める人」と「遅くしか読めない人」がいるのではありません。「熟読の呪縛から自由な人」と「それにまだとらわれている人」がいるだけなのです。

大切なのは、その本を読んだ結果として、知識や発見のひとかけらが頭の中に残ること。ほんの断片でもいいのです。なにか印象的なことが1つでも残ったなら、その読書は成功したと考えるべきです。「全部残さず取り込んでやろう」などと意気込む必要はなし。

つまり、本に書いてあることを全部吸収しようとするのではなく、本当に自分にとって価値のある1%に出会うことを目的に読書することが大切なんだそうです。

2つ目は、「音楽を聴く」ように「本を読む」ことです。
著者は、全く別の行為のように思われる「読むこと」と「聴くこと」には、感覚的に次のような共通点があると述べています。

・・・、自分の中に入ってきた音を「知識としてため込もう」とするのではなく、音が自分の中を通り抜けていくこと自体が心地いいのです。少なくとも僕はずっと、そうやって音楽と接してきました。

つまり、どちらも「記憶しよう」とするのではなく、その行為を通して自分の中で生まれたものに価値があるといえるそうです。

確かに、音楽を聴くときは流れてくる1音1音をすべて聴取ろうとはしていません。それでは音を楽しむどころか、疲れてしまいそうです。しかし、私たちはその音楽からメロディなり、リズムなり、印象に残る要素を吸収しているのではないでしょうか。この点に関して、著者は次のように言っています。

たとえどんなに音楽を聞き流していたとしても、はやり「残る音」があるはずだということ。メロディなのかリズムなのか、はたまた歌詞なのかはわかりませんが、音楽は僕らの心に何かしらの作用を及ぼして、なにかを残していくものなのです。

音楽を聴くときは、おそらく無意識レベルで音を自分の中に流し込むことができている方がほとんどだと思います。一方で、読書をする際はしっかり知識をため込むことに囚われがち。しかし、この「ストック」することへのこだわりを捨てることが、多読生活への一歩になるわけなんですね。

したがって、本を読むときは、音楽を聴くときの感覚を思い出してフロー・リーディングを実践することで、積ん読ともおさらばできるようになるのかもしれません。「ため込む読書」から自分を解放し、もっとたくさんの本を読める人生を楽しむために、本書を参考にしてみてはいかがでしょうか。


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