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和食は健康的じゃなかった⁈ アルツハイマー病を予防する食事法とは?

こんにちは。
フォレスト出版・編集部の美馬です。

先日の投稿で、アルツハイマー病と糖尿病の発症メカニズムが酷似しているという事実から、糖尿病にならないための行動がアルツハイマー病の予防にも繋がるという話をしました。

糖尿病というと、「インスリン抵抗性」について思い浮かべる人も多いと思います。インスリンはホルモンの一種で、脳のはたらきのためにも、血糖値をコントロールするためにも、なくてはならない物質です。

生まれつきインスリンが全く分泌されないのが1型糖尿病。インスリン抵抗性を起こし、血糖値のコントロールができなくなるのが2型糖尿病です。そして、インスリン抵抗性を起こし、脳の情報伝達がうまくいかなくなるのがアルツハイマー病と言われています。これはいったいどういうことなのか?

6月新刊『糖尿病専門医だから知っているアルツハイマー病にならない習慣』(牧田善二・著)ではこのように解説されています。

 私たちがご飯やパンなど糖質を摂れば、分解されたブドウ糖が小腸から血液中に吸収されます。
 ブドウ糖は私たちが生きていくために欠かせないエネルギー源ですが、現代社会で普通に生活をしていて、エネルギーが枯渇してしまうなどということはありません。むしろ、現代人は必要以上に食べすぎていて、エネルギー源となるブドウ糖は過剰気味です。
 そこで、血液中に余っているブドウ糖をグリコーゲンや中性脂肪に換えて、肝臓、筋肉、脂肪細胞などに取り込むはたらきをしているのがインスリンです。
 そうやって、エネルギー源を貯蔵しておくことで、私たちは山で遭難しても飲まず食わずで数日間は生き延びることができるのです。
 つまり、このインスリンのはたらきのおかげで、健康な人の血液中にブドウ糖が大量に残存することはありません。すなわち、血糖値は上がりすぎずにコントロールされ、糖尿病にならずに済んでいるわけです。 

 では、脳についてはどうでしょうか。
 脳においても、インスリンは極めて重要なはたらきをしています。
 さまざまな情報は、脳内のネットワークをリレーするように伝えられていきます。
そのとき、伝達物質として主役的なはたらきを担うのがインスリンなのです。
 このインスリンですが、膵臓のランゲルハンス島という部位から分泌されることを知っている人は多いでしょう。かつては、インスリンは膵臓からのみ分泌されると思われていましたが、脳の海馬でもつくられることが明らかになっています。実は、膵臓と脳はよく似ているのです。
 健康な人の脳は、膵臓からのインスリンも海馬でつくられるインスリンもフル活用して、たくさんの情報をやり取りしているということですね。

(中略)

 しかしながら、ただたくさん分泌されれば良いというものでもありません。たくさん出ていることよりも、それがしっかりと効いているかどうかが大事なのです。
 実際に、インスリンが分泌されているのにはたらきが悪くなることがあり、それを「インスリン抵抗性」と言います。そして、これこそ糖尿病とアルツハイマー病が共通していると言える所以です。どういうことか説明しましょう。
 インスリンのはたらきが悪くなれば、血糖値のコントロールが難しくなります。
 私たちが糖質をたくさん摂取しても、インスリンがちゃんとはたらいているうちは、血糖値はなんとかコントロールできています。
 しかし、いつまでもそういう状態が続くわけではありません。血液中に溢れたブドウ糖に対処するために必死でがんばっているうちに、さすがのインスリンもはたらきが悪くなってきます。インスリン抵抗性が起きてしまうのです。
 はたらきが悪くなれば、「マズい」とばかりに、さらにインスリンが分泌されますが、こうなってしまうと効果は発揮されません。
 そのうち、血糖値のコントロールが難しくなり、糖尿病を発症します。

 このインスリン抵抗性は、脳でも生じます。それを、「脳内インスリン抵抗性」と言います。
 先ほど私は、脳の海馬でもインスリンがつくられると述べましたが、脳細胞表面にあるインスリン受容体では、脳内インスリン抵抗性によってその結合がうまくいかなくなり、インスリン作用不足に陥ります。
 また、インスリン抵抗性が起きると、膵臓でつくられたインスリンも脳に届きにくくなります。
 私たちの脳には、「血液脳関門」というバリアが用意されています。脳はとても大事な臓器ですから、おかしな血液成分が簡単に脳内に入らないようになっているのです。
 健康な状態なら、脳にとって必要不可欠のインスリンは、血液脳関門をスムーズに通過します。ところが、インスリン抵抗性がある場合、ここを通過しにくくなってインスリンが低下してしまうのです。
 こうして、2つの理由から脳の情報伝達物質としても重要なはたらきをしているインスリンの量やその作用が足りなくなれば、記憶などに障害が出てしまうことは容易に考えられます。

『糖尿病専門医だから知っているアルツハイマー病にならない習慣』
(牧田善二/フォレスト出版)より

「脳内インスリン抵抗性」がアルツハイマー病の発症そして悪化を助長させるというのです。たいへんに恐ろしい事実です。それでは、これを回避するためにはどのようにしたら良いのでしょうか?

糖尿病予防や治療の際には、血糖値のコントロールが必要になりますね。徹底した糖質制限なども必要になるかもしれません。糖尿病患者が皆太っているというわけではありません(その詳しい理由は本書にも記載しています)が「糖質が多い食事=太りやすい食事=インスリン抵抗性を起こす食事
=糖尿病になりやすい食事=アルツハイマー病になりやすい食事」というイメージは容易にできるでしょう。

もうお気づきのとおり、本書ではアルツハイマー病予防で1番重要なこととして「食事」を挙げています。注目していただきたいのは、”和食は本当に健康的か?”ということ。牧田先生はこのような見解を述べています。

 アルツハイマー病を予防したいと考えたときに、最も重要なのが「食事」だということは第2章で述べてきました。アルツハイマー病に限らずどんな病気でも、食事内容を改善することでかなり予防効果が期待できます。
 私がこう述べると、「自分は健康的な食事を心掛けているから大丈夫」と胸を張る人が一定数います。彼らに詳しく話を聞いてみると、その多くが「和食だから健康的」と考えていることがわかります。
 しかし、それは大間違いなのです。
 もちろん、和食にも素晴らしい要素はあります。たとえば、納豆や豆腐のような大豆製品、魚、海藻、キノコ、野菜類をたっぷり使ったおかずは健康的です。
 ただ、定食であるなら、そこに、味噌汁とご飯が付きますね。味噌は優れた発酵食品ですが、塩分が高く血圧を上げます。
 そして、何よりいけないのがご飯です。炊きたての白米は本当に美味しいですが、インスリン抵抗性を起こす大きな原因となります。つまり、ご飯の多食は、アルツハイマー病も糖尿病も引き寄せてしまうのです。
 その理由を説明しましょう。
 ご飯やパン、麺類などの炭水化物は「多糖類」といって、ブドウ糖が連なったつくりをしています。甘い砂糖は「二糖類」で、2つのブドウ糖からなっています。
 多糖類も二糖類も、口から食べて消化する過程で、全部1つ1つのブドウ糖に分解されます。要するに、ご飯を食べるのと砂糖をなめるのは、結果的に同じ行為というわけです。
 もちろん、白米に限らず玄米も、うどんもそばもラーメンも、全粒粉を使ったパンやパスタも、全部、糖質の塊です。それらを食べれば、分解されたブドウ糖が小腸から血液中に吸収されます。すると、インスリンが分泌され、まずはブドウ糖をグリコーゲンに換えて肝臓や筋肉に貯蔵します。
 ただ、その容量が少ないために、余ったブドウ糖は中性脂肪に換えられ脂肪細胞に貯蔵されて太ります。
 いずれにしても、こうした作業をするためには、インスリンがたくさん必要で、それを繰り返しているうちに、インスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性に陥ります。
 ということは、「糖質が多い食事=太りやすい食事=インスリン抵抗性を起こす食事=糖尿病になりやすい食事=アルツハイマー病になりやすい食事」なのだとわかるでしょう。
 和食は総じて炭水化物(糖質)が多く、おすすめできません。

『糖尿病専門医だから知っているアルツハイマー病にならない習慣』
(牧田善二/フォレスト出版)より

驚くべきことに、実は和食はアルツハイマー病のリスクを上げるおそれのある食事だったのです。健康的に見えるら和食を食べていれば大丈夫! というわけではないのですね。

では、どんな食事がおすすめなのか。

その答えは、ズバリ「地中海料理」です!

地中海料理と言えば、アクアパッツァ、アヒージョ、パエリアなどが代表的でしょうか。これらに共通しているのは、魚や植物性食品(野菜、豆類、キノコなど)を中心に、調理にはオリーブオイルをたっぷり使っているところですね。炭水化物をあまり摂る必要がない分、魚や野菜をたくさん食べるので空腹感とは無縁でいられます。地中海式ダイエットと呼ばれるダイエット法もあるくらいです。

さらに、ある研究で認知症予防に効果があるという報告もなされています。なんと、地中海式ダイエットを取り入れると、アルツハイマー病で35%、血管性認知症では55%もリスクが低下するというのです。

牧田先生自身も、毎日の夕食は、地中海式ダイエットの理論をなるべく取り入れ、白ワインをほどほどにたしなんでいるそう。おかげで太ることもなく、肌もすべすべなのだとか。自分の患者さんにも自信を持っておすすめているとのことでした。

このほかにも本書では、”アルツハイマー病は脳の糖尿病”という観点から、一生アルツハイマー病と無縁の生活を送る方法をお伝えしています。Amazonでは本日より発売開始、全国主要書店では6月12日(月)から発売されます。何歳からでも始められる、新しいアルツハイマー病予防の指南書、ぜひお読みになってください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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