国際ロマンス詐欺未遂
◎始まりは語学交流サイト
4~5年前のおはなし。
何年かに一度海外旅行に行くのが楽しみの一つでした。
そのため、ラジオ英会話などで英語を勉強をしていました。
全然上達はしませんでしたが、ボケ防止くらいにはなっていたはず。
……と思いたい。笑
そんなとき、語学交流サイトで知り合ったアメリカ人の男性(アメリカ在住)がいました。年齢も近く、サイト内のメールでのやり取りも週に1回くらいで、私にはちょうどいいペースでした。
◎メッセンジャーアプリへの誘導
何度かやりとりするうちに、WhatsAppというメッセンジャーアプリでやり取りしようと言われました。
よく知らないアプリをインストールすることには抵抗があったし、メッセンジャーアプリは面倒だなという思いもありました。
メールでのやり取りでさえ、辞書を使って時間をかけて週に1度がやっとだったのに、会話となるとハードルが高い。しかも時差があるし、ただでさえ日々時間に追われているのに、コミュニケーション能力の低い私が、会ったこともない人とテンポよく会話が弾む気がしませんでした。
でも、この交流はそもそも英語の勉強のためだっだのだからと思い直し、WhatsAppについてもよく調べてから承諾しました。
そしてアプリでのやり取りが始まりました。
※やり取りは全部英語でしたが、ここでは全て日本語にしてます。
最初は「おはよう」とか「おやすみ」とか簡単なやり取りでした。
しかし数日のやりとりで私はすでに、こう思い始めていました。
「毎日のおはようとおやすみ、マジめんどくさっ!」
これが10代20代なら楽しいのでしょうけれど、50過ぎたおばさんにはめんどくさいだけでした。
毎日そんなに話題もないし、そもそも英語の勉強にすらなってない。
週に一度くらいのメールがちょうどよかった……。
こんな空しいチャットより、夜は家事を終わらせて明日に備えてとっとと寝たい。そんな気持ちが募っていきました。
この時点でかなり後悔し始めていたのですが、そんなある日彼の誕生日がやってきました。
おめでとうのメッセージくらいは送りましたが、声が聞きたいから電話してと言われ、あなたが電話してくれはよいのでは? と思いながら、しぶしぶ電話しました。アプリ同士での通話は無料だったからです笑
会話の最後に「愛してる?」
愛? 会ったこともないのに?
その日からメッセージの最後にいつも「愛しているか?」という文言が入るようになりました。
なんかめんどくさい人だなという思いと、これは人種による違いなのか?
カルチャーギャップってやつなのか? アメリカ人はみんな「バナナが好き」っていうくらいの感覚で、「愛してる」と言うのか?
様々な思いが交錯し、困惑したのを覚えています。
◎海外出張でピンチ!に注意
そんな無意味なやり取りを続けていたある日。
彼がシンガポールに出張に行くと言いました。
亡くなったお父さんが作った会社がシンガポールにあって、どうのこうの……。契約がどうのこうの。
さいでっか、いってらっしゃい。
数日後、シンガポールにいるという彼からメッセージ。
「なんで連絡くれないの?」
「は? いまなんて?」
いや、仕事で行ったんだよね? そんなところに電話するわけないじゃん。
て、思いましたし、言いました笑
「一人で見知らぬ土地に来ているのに冷たい」
「……………………………。」
50過ぎた大の大人が仕事で出張に行って、寂しいとか意味わからない。。。
面倒くさくなった私は「観光でもしたら?」と勧め、通話を切ってお風呂に入ったことを覚えています。
お風呂から出るとメッセージが来ていました。
契約がうまくいったというメッセージと共に、契約書のような画像が送られてきました。
そして「なんで返事くれないの?」という追いメッセージ。しつこい。
今思うとこのしつこい追いメッセージは、ここでトラブルに巻き込まれて困っている切迫感を出し、畳みかけるための作戦だったのでしょう。
明らかに写真ではない、予め用意されたような荒い画像の契約書とやらにも違和感を感じながらも、「おめでとう」と送ると、待ってましたとばかりに返信が。
「この契約金を受け取るためには、シンガポール政府に税金を払わなければならないんだ。税金を払わないと出国できないと言われた。」
そんなばかな!?
なぜかシンガポールに縁のある私。
親友のご主人はシンガポール人で会社経営してたし、別の友達の元カレはシンガポールの警察官だし、シンガポールに移住している友達もいるけど、そんな話は聞いたこともありません。
怪しい、ぜった怪しい!
ネットを駆使して調べ上げた電話の位置情報を見るとアメリカの教会から発信しています。しかも住んでいると言っていた場所ですらない、とんでもなく離れた州です。
おまけに税金を先に払わないと出国できない契約っておかしすぎる。
そしてこんなメッセージが届きました。
「今手元のお金が足りないんだ。お金を貸してもらえないかな」
きたーーーー! 間違いない!
これが噂の国際ロマンス詐欺!
丁度英語が話せる娘が帰省していた時だったので、その後のやり取りはすべて娘に代理でテンポよく入力してもらいました。
貸してほしいと言われた金額は日本円にして2~300万円くらいでした。
「会ったこともない人に、そんな大金貸すわけないじゃん!」
娘と突っ込みを入れながら、相手の出方を見ようということになりました。
(■:私、△:YOU)
■「悪いけどお金は貸せない」
△「お金を払わないと出国できない」
■「親戚に頼んでみたら?」
△「親戚にはもう借りたけど、まだ足りないんだ」
■「契約書を読んだけど、出国前に払えとは書いてないよね」
△「でも払わないと出国できないと言われた。このままでは帰国できない」
△「100万円でもいいから送ってもらえないか」
■「会社の人とか友達に頼んでみたら?」
△「もう頼んでみたけど足りない。お願いだから貸してもらえないか?」
△「アメリカに帰ったら必ず返す」
■(いや、あなた今アメリカにいるよね?)
■「その契約書は少しおかしい。」
■「騙されているかもしれないから警察に行った方がいいよ」
△「ちゃんとした会社だから騙されていることはない」
■「どこに泊っているの?」
△「○○ホテル」(オーチャード通りの近くの有名なホテル)
■「知り合いの警察官がいるからホテルに行かせようか?」←半分はったり
△「お金がないとアメリカに帰れない」
■「お金はない」
△「……わかった」
ここ短めですけど、実際はかなりしつこかったです。
その日以来、ぷっつりと連絡が途絶えましたとさ。
めでたし、めでたし。
あぶなかった~。
それにしても、数ヶ月もかけてなんと気の長いことかと思いました。
◎会ったこともない人にお金を貸しちゃ、だめ!ぜったい!
★親しい間柄でもお金の貸し借りはしないというMy Rule
★疑り深い
★そもそも人に貸すほどお金を持っていない
今回、この3つが幸いして被害にあわずに済みましたが、その後調べてみると国際ロマンス詐欺にあう人はかなり多いことがわかりました。会ったこともない人に大金を貸す人がいる事にも驚いたことを覚えています。近年ますます増加傾向で、コロナ前の40倍にもなっているそうです。
当時WhatsAppというアプリを使うのには理由があったと考えています。
① アメリカではメジャーなアプリだった。
② エンドツーエンド暗号化機能を備えているため、他のどのアプリよりもプライバシーが確保されていると考えられていた。そのため犯罪者にとっても使いやすいアプリだった。
※現在はスパイウェア攻撃なども確認されていて、アメリカではもっと安全性の高いアプリに移行する人が増えているそうです。
私がこの人と友達になるかどうか決める際、一応名前と写真で検索をしました。交流サイトに掲載されていた名前や写真が、他のSNSに掲載されていた人と一致していたのを確かめ、数年にわたり職場の人や友人との交流などが投稿されていることを確認し、実在する人だと安心してしまいました。
しかし、この事件後に検索するとSNSサイトからその人が消えていました。
これは私の想像ですが、詐欺犯は実在の人の写真や名前を使っているのではないかと思います。調べられたときにアカウントが存在し、写真や長年の交流履歴があったら私のように安心して信じてしまう人もいるでしょう。
数か月後に検索しても出てこなくなったのは、アカウントが悪用されていると気づいた人が、何らかの対処をしたのではないかと思っています。
あくまで想像ですが。
Twitter、Instagram、TikTok、LINE etc.etc.…
今や誰しもが何らかのアプリを使っています。
素敵な写真にいいねしたら突然ダイレクトメッセージが来るなんてことは日常茶飯事。
婚活サイトだけがロマンス詐欺のターゲットではないということです。
インターネット上にいるほとんどの人は善良な普通の人だと思いますが、中には人を騙そうとしている悪人もいるということを、改めて実感した出来事でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
みなさまも、くれぐれもご用心下さいませ。
今日という日が、よい一日でありますように。
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