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M&Aされた会社の管理部課長として出向し強烈に感じた4つの出来事

いろいろとあって、自分は2021年の9月1日からM&Aした会社に出向することになりました。


与えられたミッションは2つ。
1つは先に経営者として出向していた元上司のサポートをするということ。もう1つは、創業から38年に渡り、経理・人事・総務等などの管理業務を1人で担ってきた方の後を継ぐということ。


前者に関しては、過去にも経験をしているので、ある程度は何とかできるだろうという自信はありました。強いて言うなら部門経営から企業経営に範囲が変わることで、今まで見なくても良かったことを見なければならない点に気を付けることくらい。


しかし、もう1つの管理業務の継承。これは結構な難易度でした。継承=引継ぎ自体はこれまでしてきたこともありましたし、されたこともありましたが、正直次元が違う。


さらにミッション以外に大きく問題が立ちはだかりました。これは一言でM&AにおけるPMI。これも今までにないことだったため、かなり難しい挑戦となりました。


早いもので5か月が経過しましたが、今回はミッション以外の大きな問題となっている「M&AにおけるPMIの壁」。これについて自分が経験したことを出せる範囲で記そうと思います。当時言えなかったことも多少含めて。


2019年には約4,000件のM&A数。2020年もコロナの影響がなければさらに増加していたはず。自分と同じような状況下の方の一助となったら幸いです。


1:自分は歓迎されなかった

これについては正直覚悟はしていました。


なぜなら、自分のお客様先がM&Aをされたときに、M&Aした会社から出向された方を歓迎していなかった姿を見ていたからです。


「うちの業界や会社の何がわかるのか?」
「来るなら下っ端からでしょ?何でいきなり役職つくの?」
いろいろな不満を言っていました。


今回自分は管理部の課長として出向される。状況はお客様のときと全く一緒です。だからきっと多くの人は自分をそう見るだろうと思っていました。


そしてその予感はほぼ的中します。ある程度の心の準備は出きていたので、いざその場に立ったときにショックではないというと、それは嘘になります。別に言葉や行動で何かをされたわけではないのですが、それが逆にしんどかったです。


ただ、そうではない方(歓迎してくれた)が少数派ではあったのですがいたということ。これは本当に救われましたね。


でも基本的には歓迎されない前提で考えたほうがいいでしょう。自分には歓迎会など一切していただけなかったので。


2:自分は警戒されていた

これは後に分かったことなのですが、自分は警戒されていました。自分は社長として出向している方の部下だったという情報が広まっていたことで、何かと使い勝手のいい人が来たのだなという目で見られていました。


この辺りも前述の歓迎されていなかった話にも繋がるのですが、そんな自分に本音で話してくれる人はいませんでしたね。サッカーでいうとアウェイのような状態でした。


表面上の話はするものの、敵であるという目で見られている自分を仲間と思ってくれる方はほぼいなかった。主観的な考えも含まれているため、事実と異なるかもしれませんが、そういう空気は感じました。


こういう状況下になる可能性があることを踏まえたうえで、警戒心をなくさせる努力をし続けなければなりません。まずは人として認めてもらわないといけないと強烈に感じさせられました。


3:引き継ぎにおける微妙な壁

どこまで本当かはわかりませんが、基本的に引継ぎに「3年」はかかると前任や顧問税理士から言われました。特に自分は2021年の9月時点で経理や人事労務含めた管理系のことは全く知らない素人。しかも自分に与えられた時間は5か月。普通に考えたら難しい挑戦です。


結果として、退任する直前になっても新しい引継ぎ業務が出てくる状態。蓋を開けてみないと何ともですが、、現時点では引継ぎとしては大失敗に終わってしまった可能性が極めて高いです。


個人的にはこれは時間的要因だけではないように思います。外部からきた自分に引き継ぐことへの抵抗があったと感じました。そのため、自分は中小企業の管理業務に関する本を複数購入し読み漁りました。代表的なのは以下の2冊です。


これらの本を読みまくっていると、業務における複数の共通項が見えてきました。まずはそれらをやることに努めないといけません。


とにかく自分にだけ降ってくることならよし。絶対に許されないのが納税関係とお金関係。あとはすべてを受け止める覚悟でいく気持ちが必要でしょう。


ただ、これを受け止めすぎずに適度に流す心も必要ですね。そして、時間的、気持ち的・・・十分な引継ぎをされない可能性があるということも視野に入れておく必要もあります。この辺りもM&AにおけるPMI特有の問題なのかもしれませんね。


4:根底にあるのは、M&Aされた側の心理的不安

全くない人もいるのですが、多くの人は大なり小なり不安があるように思いました。その要因となっている会社から来た自分へ向けられる視線は決していいものではないのは仕方がないことなのかもしれませんね。


事実それが原因で退職した方もいました。影響力のある方だったため、周囲への精神的動揺は大きく、表向きには分からない何かがあったようにも思います。このようなケースは決してめずらしいことではないようです。
以下の記事にそのあたりが定量的視点を踏まえて綴られています。



単なる出向ではない。それなりの覚悟と強い気持ちを持つことが大事

出向自体は様々な事情であるかと思いますが、今回の自分のようなM&Aした会社への出向は特殊なことがあります。


それらに適応するのは決して簡単ではありません。自分も今思うとよくやったなあと思います。詳細は控えますが、自分の健康管理不十分で、出向する前の3か月間を病気で休んでいました。社会復帰できるかの不安があるなかでの出向。当時は素直にこうして働かせていただけることへの多方面への感謝の気持ちが強烈に勝っていたため、やってこられたのでしょう。


今回のM&Aに携わった経験豊富なM&Aアドバイザーの方から見ても、当時の状況は難しい壁だったと言っていたくらいですからね。今思うと病気したことは決して無駄ではなかったんだなあと感じます。


ただ、5か月も経過するとその辺りの効果もなくなりつつあり、今は前任から受け取った重いタスキを絶対に次世代に繋ぐんだという強い覚悟を持って日々を過ごしています。


皆が不安を安心に変え、ハッピーなM&Aだったと思ってもらえるように、黒幕ではなく、社長の黒子として徹して、自分ができることを1つずつやっていきたいと思います。




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転職してよかったこと

WEBディレクター5年、WEBプロデューサー3年、WEBアドバイザー(コンサル)3年を経て、現在は自社部門のWEBマスターをしながら、デザイン、ブランディング、動画編集スキルなどを勉強中のゼネラリスト。