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【お知らせ】クリエイションが消費されないために。職人を育てるアトリエができました。

2020年8月。渋谷の事務所に、アトリエとスタジオがついにオープンした。

この状況下で製作の基盤を作るということはとことん内に向きながらも大きな攻めの一手。

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「ものづくり」を仕事にしている人は多いと思う、ただ先の未来を考えてそこにしっかり手を掛ける人や取り組みは本当に少ない。それはそうだ、こんな先行きのわからない時代にリスクしかないだろう。

しかし僕らは今この瞬間を生き抜くことも大事だが、同じくらい続く未来が不安だ。おそらく10年もすれば日本で服を作ることがもっともっと難しくなる。業界を救うとか革命を起こすとかではない。「そもそも僕らが続けていくために」必要なのだ。

今日はこのアトリエについて話したい。
本当にこの時代に「ものづくり」に取り組むのは時間がかかるからこそ難しい。「最速最短で利益をうむ!」とは離れた話。

一人の職人を育てるのは1年,2年の話ではない、使えるようになるまで5年、やっと求めるものができて10年という世界。

目先の売上には繋がらないし、まして弟子を正社員で雇うなんて今のこのご時世じゃ「正気ですか?」と言われてしまいそうな動きだ。

事務所の入っているマンションでは今、5部屋を借りている(近々もう1部屋増える)

一気に増床せず、部屋を増やしているのはステイトオブマインドの伊藤社長の「事業が危うくなったらちょっとずつ減らしていけるから」というなんとも泥臭い(好き)考えからだ。だが部屋ごとに役割があって空気も違う状態はすごく楽しいから好きだ。

その一部屋が今、ステイトオブマインドに雇われた弟子たちと業界歴30年、foufouやteshioniに詳しい方ならご存知、冬頭さんが主に使うアトリエになっている。

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日々、弟子たちが学校では学べないリアルなものづくりを叩き込まれている。実践的なパターン作成、実践的なプレス、、実践的な制作への考え方、向き合い方。

少し拝見させてもらったのだけど、この環境で学べるなんて羨ましいよほんとに。

近い将来、今いる弟子たちが僕らデザイナーの試したいものづくりを手伝ってくれるのだろうな、、、!
例えばさ「この生地でこの表現をしたら現実的なのだろうか」とか実際に試したり逆に彼らから提案をもらったりされたら僕はドキドキがとまらねぇよ。

そしてその服たちがお客さんに届き、循環していく。

服作りをデザイナーだけのクリエイションだと僕は決して思わない。関わる全ての人と作り出す唯一無二の仕組みと製品。

これまで様々に消費されることの多かった職人たちのクリエイションは消費されず、ここで育まれていく。

それは蓄積され肥料となり僕らのようなファッションデザイナーをまた育てる。

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ステイトオブマインドは元縫製職人の伊藤社長が「職人が安心して食べていける社会を」という理念で立ち上がった会社だ。

nutteにはじまり、その出口となるteshioni、更にその火を絶やさないための職人育成。ステイトオブマインドという会社が手がける事業は全て「職人が食べていける社会」に向いている。

僕は「健康的な消費のために」という理念を掲げてファッションメーカーをやっている。

健康的な消費のためには、健康的な生産は不可欠なのでステイトオブマインドの信念に心から賛同するし、その姿勢に深く感銘を受ける。

側からみてもひたすら、本当にとにかくひたすらその姿勢を貫いている。
だから僕も自分にできることを全て捧げて僕は「健康的な消費」に共感してくれるお客さんのために、健康的な生産現場を作る彼らを支えたい。

余談

僕はfoufouを1人で運営していたときにステイトオブマインドの皆さんに窮地を助けてもらった(少し宣伝になってしまうのだけれど9月末に出る本にそのときのことも詳しく書いてあります)

foufouとしてはなによりそのときの御恩はずっと忘れてはいけない。「今更何いってんすか笑」と彼らは絶対いうのだが義理堅く彼らについていく。いや、ときに導いて何倍にもして返していく。

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