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就労支援事業所で、アツアツのラーメン、食べたいですか?


高知の田舎なんてどこも一緒やろ?

東京や大阪の人からすると、高知県なんて、どこも同じなんだろうな、と気にしない人が多いかもしれない。確かに外から見ていたらそういう感じは外れてはいないと言えるかもしれないが、実際に現地で「住み比べてみたら」、同じ田舎でもえらい違いがあることに気付くと思う。

そして、高知県内で居所を移動したら、そのことには必ず気付くと思う。なぜなら、自分自身がそんな貴重な経験を今まさにしているからである。

僕は9月まで高知市内にて、就労支援事業所や相談支援事業所の管理職をしていた。現場で支援にあたる職員さんと違い、管理者になると、いわば「売上を伸ばす」ことが求められる。普通の会社管理職と同じである。

障がい者支援という福祉をしているのに、「売上を伸ばすことを目指すなんて、お金しか興味ないのですか?」なんて言われそうだが、売り上げを伸ばす=利用者さんを増やす、という事なので、結果的には、多くの人が「利用したみたい!」と思える事業を展開し、ホワイトな環境を作り上げないといけないので、良いことばかりのように思う。

つまり、普通に他の事業所と差別化を図り、競争に勝つことが管理職は求められるのだ。

ところが、ここに来てみると、そうした状況とは全く違うことに直ぐに気が付いた。

どこが違うかというと、ここには就労支援事業所が一つしかないのでだ。

選べることは「幸せ」なこと

人口規模で言うと、僕の自宅がある高知県香美市よりやや小さめの市だが、香美市には複数の就労支援事業所があるし、お隣の市も選択可能エリアゆえに、利用希望者さんには「いくつもの選択肢がある」のだ。

選択肢があると何が起こるか?

「うちを利用してもらいたい!」と自然とモチベーションが高まるので、事業所さんは「選んでもらえる事業所」になろうと、なるべく高い工賃を払えるようにしたり、職員さんが辞めないように福利厚生にも気を遣うのである。いわば健全な企業活動が起こると言える。

他方、当地の場合は、どうだろうか?

就労希望者さんには「事業所を選ぶ」という他地域では当たり前のことができない。そこを選ぶか、何も選ばないか、という何とも窮屈な現状が待っているのだ。

当然だが、適切な競争原理が働かないので、事業所も必死になって利用者さんを獲得しなくいても良いとも言える(もちろん利用者がいなくなると困るのでそれなりのレベルを保つ必要性はある)

そして最大の問題点は、こうした「特に競争で競り合う必要がない」状態が継続した場合、他の市町村の事業所と比較して「大きな差が生まれてしまう」可能性が高いという事だ。

もちろん「現存する事業所」のことを指しているわけではなく、あくまでも一般論としてそういう傾向に陥りやすい、という事である。

スーパーマーケットが二つしかないところと、4つも5つもあるところを比較してみたら、僕の言いたいことが理解できると思う。つまりそういう事なのだ。

そんな当地で、障がい者就労支援の最先端を走りたいと思い、今ここで過ごしている。

今はネットの普及で、動画等で色んなことを学べるので、情報収集は不可能ではない。しかし「痛い」のは、直に先進事例に触れることができない、という事である。

アツアツのラーメンは、美味いに決まっとる!

そこで大事になるのが、就労支援フォーラムのような「とにかくとんがった事業所が集まる場所」に行き、熱さに触れ、自分の触角を研ぎ澄ます事である。そしてその「アツアツの情報」を冷めないように、持ち帰り、当地で分かりやすく伝える事ではないだろうか?

この「自分だけの宝物」を、事業に落しこみ、利用希望者さんに還元する。
僕に求められているのは、つまりは「これ」なんである。

とにかく、まだまだとんがった50代でありたいなぁ!



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