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未来と文化の交差点#010 〜仮想空間で僕たちができること、したいこと〜

こんにちは。本記事では、音声メディア「FRACTA Future Forecast|未来と文化の交差点」の第10回の様子をお届けします!

今回は、FRACTAと同じフィードフォースグループで、株式会社リワイア代表取締役の加藤さんをお招きして、仮想現実やメタバースの可能性について話しました。

収録の様子

メタバースへの移住

つっちー:これまでメタバースの話をしたり、Meta Quest 2を体験したりしました。その収録の時も、テクノロジーの未来が変わると人間の欲求のあり方も変わるのではないかという仮説があって、その辺りを今日加藤さんとお話ししたいなと思っています。

加藤:ぜひぜひ。

つっちー:メタバースの世界と現実世界において、人の欲求がこう変わるんじゃないかと考えていらっしゃることはありますか?

加藤:メタバースの名前が一人歩きしている感もなくはないなぁと思っていたのと、なんとなくメタバース=実世界じゃ無いところに世界があるんだぐらいの感覚だったと思うのですが、最近になってメタバースの世界が日常になるところまで来ている気がします。
欲求という意味では、3D空間が「どこかのテーマパークに遊びに行く」みたいな感覚になっているのかなと。

チャーリー:そうですね。それこそ休日と平日みたいな違いというか。特別時間を使う場所、みたいな感覚ですね。

加藤:週末田舎に住むみたいな感覚に近くなっているなと思っています。移住に近い感覚になっているなと。もちろんメタバースの世界だけになることは、間違いなくないのですが。ただ、インターネットの中でも「ほとんどSNSに住んでいます」みたいな人もいますよね。

チャーリー:その話はすごくわかりやすいですね。ディズニーはお金を払って過ごす特別な時間だけど、メタバースへの移住はある種二拠点生活しているイメージですよね。

加藤:そうそう。メタバースの方に自分の生活を置く価値を求め始めているなと思います。他にも価値の転換みたいなことが行われている気がしていて……

チャーリー:例えばメタバース側に自分が依存すべきコミュニティがあるみたいなことだったり。

加藤:そうです。自分が所属したいコミュニティがあるとか、自分が何かしら育てたいものがあるとか、所有したいものがあるとか……そういった欲が出てきている気がしますね。じゃあ仮想現実の世界で何を保有しよう?保有するってどういうこと?みたいなのが、多分今のWeb3の考えに繋がっているんじゃないかなと思います。

つっちー:まさにメタバースの世界に住むという感覚はその通りだなと思っています。ただ、メタバースの議論の中や僕の感覚で言うと、フォートナイト的なゲームというエンターテインメントを通しての空間に住むイメージがあります。いわゆる暮らし的なものだったり、リアルの世界で役に立っているみたいなものも今後メタバースの中で生まれてくると思いますか?

加藤:実際にメタバースの空間で歌を歌ったりライブをしている人がいますよね。例えばそれが日常になると、YouTubeのライブに人が集まって見ているのと同じような感覚で、そこに経済圏が生まれるのではないかなと思います。そこからさらに職業が生まれる状態になる気もするし、そこでしか買えないものがあることで所有が生まれたときに、リアルでは持ち得ない価値がそこで生まれる可能性があると思うんですよね。
それはさっき話したWeb3の中で言う、NFTが多分近い存在になっていて、新しい形の所有じゃないかなと。

チャーリー:「メタバースでどういうことをするのか」を、そこにいる人たちが新しい価値として生み出していく感じですね。

加藤:肉体がある世界では無いんですけど、個人の使っている時間の半分をメタバースで使うようになると、欲しいものや行動についてこれまでと違う価値が生まれるでしょうね。

自分の価値を発揮できる場所

つっちー:最近のアルファ世代は、加藤さんのおっしゃるものや所有の価値観が当たり前だなと思うんです。他の世代まで浸透するにはまだ時間がかかるイメージですか?

加藤:どうなんでしょうね。僕は急激にくるとは思っているんですけど、二分化するだろうなと。リアルの世界で価値を発揮するタイプの人と、オンライン・メタバース上で価値を発揮する人とに分かれるのではないかと思います。いわゆる野球とeスポーツに分かれている世界に近いと思っていて、だんだん分かれて、それぞれめちゃくちゃ尖っている状態になるのかなと。多分野球はなくならないと思うし、eスポーツもこれから伸びていくじゃないですか。そんな風にシンプルにメタバースで自分達の生活圏が増えていくんじゃないかな。
火星に行くみたいなものですよ。住んでいる場所が別に増えて、やれることも増えて、そこでしかできないことも出てくる。切り替わるというよりは、増える感じがしています。

チャーリー:選択肢として普及する、みたいな感じですね。普及のポイントについて伺いたいのですが、ある種技術的な特異点を突破して、社会における必要性が一気に高まるイメージでしょうか?

加藤:すごくドライな話をしてしまえば、お金が動くと普及するんですよ。シンプルに経済圏ができる。やっぱりeスポーツでも賞金が出ると、みんな目指すじゃないですか。

チャーリー:一番わかりやすいのはそこですよね。スポンサーがつくみたいなことだったり。

加藤:ただ、一方でデバイスの普及やハードルみたいなのはあると思いますね。

チャーリー:我々も実際にMeta Quest 2を体験した時に、接続のしやすさなどの課題を感じました。

加藤:VRゴーグルがないと接続ができないですし、まぁ2時間装着するときついですよね。

つっちー:肉体的疲労がありますよね。あとは先ほどの仮想現実とリアルの二極化の話で言うと、まだ解像度などハードルがあるのかなと思いました。

メタバース上の「私」をどう捉えるのか

つっちー:ずっとメタバースネイティブの彼らがどうなるのかと疑問思っているのが、要は「分人主義」的な意味で、リアルな自分とのバランスをどう保ちながら生きていくのかと。
僕個人でも仕事やプライベートで、様々な面を持ちながら生きています。それにメタバースが加わることで、変身性がすごく進んでいるんじゃないかなと思っています。メタバースの時代だと顔も体型も、何なら人種という概念もなくなるかもしれないですし。

チャーリー:パーソナリティーをどう捉えていくのかという。

つっちー:そうです。全部本当の自分ではあるんですけど、迷ったり悩んだりするのだろうか。メタバースが私ですとなるのか。メタバース上の私が私になるのか。今後の人たちは自分をどう捉えていくのだろうと気になります。

加藤:多分悩む世代はいると思うのですが、ネイティブの世代は正直リアルとメタバースが分かれていることが当たり前だと思うんですよ。Twitterのアカウントを複数使いこなすのが当たり前みたいな感じですよね。そもそもSNSの種類でキャラが違うじゃないですか。
だからすでに、空間に合わせてTPOを分けないといけないという感覚は既にあると思います。どちらかと言うと、どこで生きていくかを決める感じなのかな。

チャーリー:パーソナリティーもTPOレベルになってくると。メタバースに出ていく時の私みたいな感覚が普及すると、肌の色や容姿を選ぶ感覚も広がっていくのでしょうね。

加藤:さっき話したように、移住するみたいな形で自分の世界を選べるじゃないですか。そうなると、自分が無理をするところに行く人は少なくなると思うんですよ。稼げるから行くパターンだと、もしかしたら無理をする人もいるかもしれませんが、そういう人は割り切って行くという感じじゃないかなと。

チャーリー:ミラー・ワールドみたいな、現実のプロトタイプをメタバース空間で試すこともあるのでしょうか?

加藤:物理的に失敗するかもしれないリスクがあるものを、メタバース上でやるのはありだと思うのですが、個人的にはリアルでできることをメタバースでやる価値はないかなと思っていて。面白くないので。

チャーリー:単純なプロトタイピングするための検証環境ではないと。せっかくメタバースと言う物理法則に囚われない場所があるのだったら、その空間だからこそできることをやった方が良いですよね。

加藤:そうだと思いますよ。例えば見渡す限り360度全部使ってプロジェクションマッピングをするみたいな。そういうことがしたかったら、リアルな世界では相当難しいじゃないですか。リアルに囚われるともうだめだと思うので、メタバース側でのアイデアマンは頑張らないといけないですよね。
だから、いまだにメタバース側で人形(ひとがた)なのが不思議だなと思うんですよ。映画のサマーウォーズとか、全然違うのもいるじゃ無いですか。VRゴーグルをつけて、会議室があって、テーブルがあって、人が座っている世界って現実でもできますよね。真面目だなと思いました。

つっちー:多分僕が先ほど話した、まだ自己の軸の中で生きている状態ですよね。

加藤:そうですね。もちろん人形(ひとがた)であるのは、わかりやすさを優先しているからだとは思うのですが。

チャーリー:もっとファンタジーとかカオスの世界が存在しても良いですよね。

加藤:そうですね。ただ視覚情報ではあるので、それに準じたものじゃないといけないというのもあると思います。ファンタジーの世界を突き詰めた上で会議室などの現実のシーンに持ち込んでしまうと、リアルさが足りないってなるんですよ。

チャーリー:確かに。現実は現実の良さと、現実を足らしめている周辺環境にも現実の良さがあるから、簡単には超えられないと思います。

加藤:そうです。でも一方で、テレビ会議でアメリカの人とシンガポールの人と一緒にミーティングをするとなった時、それってある種感動があるじゃないですか。おそらく別の価値が生まれているんですよね。画面にみんなが映っているという、全然違う価値が生まれている。

ドラえもんから学ぶ

つっちー:メタバースの時代に、現実世界のバイアスを捨ててフラットに考えるにはどうしたら良いのでしょう?

加藤:やっぱりSFから学ぶことは多いですね。こうなったら良いなとか、こうなるとすごいじゃんというものを素直に受け取れるかどうかになってくるかなと。SFを見て「すげー!」「俺にできるかな?」みたいに素直に受け入れられれば、多分フラットに見えてくるのかなと思います。

チャーリー:大体宇宙に興味を持つ人やデジタルに興味を持つ人は、SF映画とか小説とか、あとはガンダムを通りますね。

加藤:ロマンじゃないですか。ドラえもんでも良いんですけどね。このアイテムってどうやって作るんだろうって考えたことありますか?

つっちー:僕ドラえもんがめっちゃ好きで。小さい頃「もしもボックス」を使って、すごくモテたら……とか考えてました。あとは歪んだ妄想ですけど、僕の顔が世界で一番かっこよくなったら……とか。メタバースの世界って自分で世界を作れるから、ある種のもしもボックスですよね。

加藤:そうですよね。基本的に世界線が増える道具なので、かなり近いものがあるなと思います。

チャーリー:「これがあったら自分はどういう使い方をするのだろう」とか、たらればは結構考えますよね。SFネイティブはメタバースネイティブかもしれないですね。

加藤:そうですね。SFと、やっぱり宇宙ですかね。現代の一番のロマンですから。

つっちー:では次回は宇宙の話を!


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