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豊田商事事件

豊田商事事件から35年。
この空前の詐欺事件は1985年、会長の永野一男(享年32)がマスコミの目の前で刺殺されることで終わりを告げる。
今行われているあらゆる詐欺商法の元祖ともいわれる。

同社が摘発される前、全国紙の新聞や求人情報雑誌には毎週景気のいい広告が掲載されていた。学歴不問で実力があれば月収100万円も可能という夢のようなものだった。
学歴がない者が社会で成功するにはこのようなあやしいと思われる会社に就職する以外には道はなかった。

刺殺された永野一男にとっても同じで、彼は中学卒業後にトヨタ自動車の関連会社のデンソー(東証一部上場)に工員として採用された。しかし上司の給料のあまりの安さに驚き、一生ここで働いても報われることはないと思い退職。その後商品先物取引の会社の外務員を経て豊田商事を設立する。

まだネットのない時代。一般の人にとっては豊田商事という社名からトヨタ自動車の子会社という印象を与えた。テレビCMも盛んに放送されていた。その無言の信用が多くの高齢者が騙される結果となる。被害総額は2000億円と史上最大の額が騙し取られた。

結局私は豊田商事に入社することはなかった。もし採用されていたら、詐欺に加担する側に回っていたし塀の向こうでの生活も送ることになったかもしれない。

永野一男ももし十分な学歴があれば、沢山の選択肢から自分の適性にあった仕事で世の中に貢献できて自身も幸せに暮らすことができたかもしれない。

今も豊田商事の残党が、そしてその手法を学んだ新たな悪党が言葉巧みに私やあなたを騙そうとしている。自分だけは騙されないと過信してはならない。相手はプロだ。気をつけよう。



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