最近の記事
生命の起源について今分かっていること The Tangled Tree - A Radical New History of Life by David Quammen
邦訳は「生命の<系統樹>はからみあう」。書評などでよく紹介されているのは、「人の遺伝子のうち8%相当がウィルス由来」という衝撃的な一節だが、本書を読み終えるとこれに違和感が無くなる。コロナ危機の今、ウィルスを打倒すというスローガンを掲げる政治家も居るが、歴史的にみると人類とウィルスは共存してきただけではなく、人の進化の過程ではウィルスの遺伝子を取り込んでバージョンアップをしてきたという説が有力となっている(偶々本日の日経朝刊にも胎盤はウイルス由来との説が紹介されていた)。そも
THE HUMAN SWARM: How our societies arise, thrive and fall by Mark W. Moffett (Introduction)
The Human Swarm、直訳すると「人間の群れ」。「社会」でなく「群れ」という表現を使うところにこの本のエッセンスがある。 冒頭、著者は、人類の歴史を振り返ると、社会に属することで一つの集団としてのイメージを強める一方、集団外の人を違うものとみなし、外国人のことを足で踏みつぶしても構わない虫けらのように蔑んできた("That foreigners might be considered contemptible enough to crush underfoot,
THE IDEA OF THE BRAIN- A HISTORY by Matthew Cobb (Introduction)
冒頭、1669年、デンマークの解剖学者、Niolaus Stenoの引用から始まる。 The Brain being indeed a machine, we must not hope to find its artifice through other ways than those which are used to find the artifice of the other machines. It thus remains to do what we would