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MELは手間がかかる

前回の記事でMELの触りの部分を記事にしました。
もっと踏み込んだ説明をします。

MELに該当する不具合が発生した際は何かと忙しくなります。

以下が全体の流れになります。
(エアラインにより多少異なります)

①不具合を特定
②パイロットに説明、了承を得る
③DEACTIVE
④航空日誌などに記載

①不具合を特定

事の発端は、飛行機の何が壊れているかを特定することから始まります。
システムが壊れるパターンとしては

パターン1
物理的に物が壊れていて、機能が失われている

パターン2
飛行機が「システムが壊れています」と教えてくれる
(コクピットの画面に表示したり、文字のライトが点灯している)

上記の事象をもとに、不具合を特定しどのMELを使うか判断します。



②パイロットに説明、了承を得る

MELを使うには
・整備士
・パイロット
・運航管理者
のそれぞれがOKを出さないと、使えません。

整備士
不具合を特定し、処置をする役目

パイロット
不具合のある状態の飛行機を操縦する役目

運航管理者
飛行ルートや重量制限を管理する役目

いずれも重要な役目なので、全員の納得が必要な訳です。

しかしながらパイロットに関してはMELを使って飛ばすことを渋る人が多いです。
特に日本人乗員に多いです。
「もう片方のシステムがダメになったらどうするのか」
挙げ出すとキリが無い内容で断ったりします。
そして、そういうパイロットは整備士に嫌われます。

逆に外国籍のパイロットはMELに関して寛容です。
聞くと、「不具合を持ってる状態で飛んでこそ腕がなるぜ」
という考え方だそうです。

こればかりは操縦する人の気持ちにならなければ、分からないものです。



③DEACTIVE


承認が得られれば、
不具合をISOLATION(隔離)したり、
他の健全なシステムに影響を及ぼさないようにする為に、
整備処置が行われます。

電源の大元を抜いたり、物理的に動かないようにしたりと、項目によって様々です。


④航空日誌などに記載


飛行機にはそれぞれ1冊の航空日誌という、飛行機の日記のようなものが搭載されています。
その日記に、飛行の記録や不具合の内容等を記録しています。

MELの際も一通りの処置が終わると、処置内容等を記載します。

上記の①〜④の内容を全て行うのに、
最低でも20分程度掛かります。

そのためお客様搭乗中などに不具合が発生すると、
大幅に出発時間が遅れる可能性があるのです。

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