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大きい不安を消す。小さい不安を消す。

(写真は、今日のうちの大学)
今日は、大学で、2月の国家資格試験に向けての学習について、学生の個別相談にのる日だった。

1時間半の相談から、振り返ってみて、今日の相談相手の彼女とのキーワードは「不安」かな、と思う。

「今から、どうやって勉強したらいいかと思って・・・」
というのが、彼女の主訴だったが、
状況を聞いてみると、
就活がまだ続いており、卒論は見通しは立ったがまだほぼ手付かず。12月に行われる実習経験発表会の準備もまだで、レポートは骨子ができたところ。3週間後の模試に向けての勉強も、彼女の力量からすると全く足りていない。行政一般職が第一志望なので、資格試験はそのためには必須ではないのだが、行政一般職が落ちたら、資格があった方が良い就職先探しとなる。
不安定要素が多すぎる。

一方、日々の授業などの拘束時間は非常に少なく、時間の使い方の自由度が非常に高い

私は、ワークショップなどで、自分に合った学習をしよう!と、「自己調整学習」をうまく進められるような支援を行なっているのだけれど

”挫折やストレス、競合した活動に直面した場合など、多くの生徒は自己調整学習の知識を実行に移すことができない”(Zimmerman, Bandura, &Martinez-Pons, 1992)

『自己調整学習ハンドブック』

という状態だな、と思った。

彼女の言動から考えて、「気分が上がる」ことを基準にしたスケジューリング、学習場所や場所の特質に応じての学習対象を絞るなど、メリハリを一緒につけた後、
さらに、どう学習を進めていくか、決めていった。

「ここまでで何か聞きたいこととか、ある?」
と途中で聞くと、
「勉強している時、知らない用語とか出てくると、不安で、何回も書きたくなってしまうんですけど、それよりは、”課題”(試験勉強に必須な内容)を終わらせることを重視した方がいいですか?」
「そうだね。最終模試までに”課題”が終わっていると、課題を終えたから模試の点数が良かった、課題が終わったのに点数が悪かった、などの判断ができるよね。で、次の一手が打てる。でも、最終模試までに終わっていないと、本番まで自分はこれで大丈夫なのかの不安が常につきまとう。用語を覚えていなくて何度も書きたくなるのも、覚えていないという不安を消すことにつながる。けど、今、どちらの不安を消したほうが落ち着く?と考えると、覚えていない用語は「後で覚えるぞー!」とぐりぐりマークをしておいて、”課題”を終了する、って方の不安を消した方が、勉強している本人としては後々落ち着くんじゃないかと思うんだけど、どうだろう? ”課題”をやっているうちに、その用語を覚えてしまう、ってこともあるしね・・・。」
と聞くと、彼女の顔がぱっと明るくなって「なるほど!」と叫んだ。

不安がたくさんあるとき、不安の強度・大きさはまちまちだと思う。
大きい不安を消して、そのあと落ち着いて小さい不安を消しにかかった方が、全体が前に進むことがある

でも、逆に、すぐに片付けられる小さい不安をさっさと片付けると、大きい不安に立ち向かう元気が出てくることもある

それは状況と不安の中身によりけり。

大小様々な不安に囲まれて、膝を抱えたり、携帯をいじってしまう状態から、
どうやったら次に進めるか。
自分の中の不安の吟味をして、片付ける順位付けをしてみるのもいいかもしれない。

彼女とは、結局、「不安を消して、落ち着いて学習に取り組む」という状態に持っていくために、全体を一緒に交通整理して、立ち向かう元気をつけるための「個別相談」だったかな、と思う。
こういうことが、誰に相談せずともできる人は、いっぱいいる。
でも、できない人、苦手な人もいる。
一人では片付けられないものを、一緒に相談しながら片付けて、過ごしやすくする。
相談て、答えを「あげる」「もらう」じゃなくて、そういう使い方もあるということでもあると思う。



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