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Apple Watchの罠

 最近のCMで「人里離れたところで遭難しかけたけどApple Watchを持っていたおかげで助かりました、スティーブジョブズ万歳」といったような内容のものがある。

 なるほど確かに意識を失ってもデバイスが身体的な異常を検知し、登録済みの連絡先に自動的にコンタクトを取ってくれるというのは画期的な話である。

 しかしこれは電波が届かないような辺境の地においても有効なのだろうか。おそらくこうした人命救助の効果をApple Watchに期待するならば、電波の届く環境にいることが前提だろう。

 そしてもうひとつ、Apple Watchを装着することによって、歩きスマホならぬ歩きApple Watch現象が起こることも予想される。

 歩きスマホによる前方不注意によって交通事故などが起きているのは現代の由々しき問題であるが、これが歩きApple Watchになった場合「スマホじゃなくて腕時計の画面見るぐらいだしいいか」というような慢心から、惨憺たる悲劇が起こってしまう可能性も否めない。
 Apple Watchのあの小さな画面、そう、小さな画面であるが故に目線はそこに一点的に集中せざるを得ず、他からの情報をシャットダウンしてしまいかねない。そしてApple Watchの画面を見ていたと思ったら急に視界が暗転し、気付けば血の海が形成され、救急車とパトカーのサイレンが鳴り響き、人生の終幕はすぐそこに……ということになるわけである。

 思うにAppleはApple Watchが命を救う可能性のある代物であるということを宣伝すると同時に、Apple Watchが命を奪う悪魔の利器ともなりえるのだということを謳った方が良いだろう。アルコール飲料のCMの下に小さく「※飲酒は20歳になってから」と表示されているように、Apple WatchのCMにも「※Apple Watchはあなたの人生を破壊する可能性があります、油断するなかれ」と但し書きをつけた方が良い。

 と、ここまでがApple Watchのシリーズ7を約3週間ぐらい使用してみた人間の感想である
 いや散々Apple Watchに懐疑的なこと書いといて結局買ってんのかよ、しかも絶対歩いてる途中にApple Watch弄ってたら走行中の車に接触しそうになったという自分の実体験からこの警鐘めいた文章書いただろお前、という読者諸兄の心の中を完璧に読み取ったところでこの記事は終わる。



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