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辟易


 いじめやパワハラ、セクハラモラハラ、過重労働等……最近の暗澹としたニュースを見ていて思う。
 世の中には「認めたくない現実」を生きなくてはならない人間がどれくらいいるのだろう。
 


 最近、毎日のように夢を見る。夢の内容は脈絡がない。

 ある日は螺旋階段を永遠に上り続ける夢、またある日は草原でサイの群れに追いかけられる夢。

 親戚数人と円卓を囲んで中華料理を食べていたら突如としてその内の1人がポケットから小型のピストルを取り出し、自分に向かって発砲してきた夢も見た(胸ポケットに弾力性の高い小籠包をギッシリ詰め込んでいたのでなんとか一命を取り留めた。意味がわからない)。


 私は心理学者ではないので正確な夢分析は出来ないが、恐らく精神的に疲弊しているのだろうということだけはなんとなくわかる。

 夢から覚めると、当たり前だがいつもと変わらない現実が待ち受けている。

 そして毎回「こっちの方が夢であってくれたらなあ」と思う。

 冗談ではなく、親戚のうちの1人から唐突に銃口を突きつけられ、心臓目掛けて飛んでくる銃弾を小籠包でガードしなければならないことよりも理不尽な現実というのが、確かに存在するのだ。

 山積したタスク、回避したい労働、不毛な人間関係、そもそもあまりにも友人がいなさすぎるという悲哀な事実。

 参考にするための知り合いもいないので勝手な憶測だが、健全な20代男性ならば1日に最低1回は友人やgirlfriendとLINEのやり取りを交わすのではないのだろうか(何故か『彼女』とか『恋人』というワードを使いたくなさ過ぎて無理矢理アメリカンネイティブに書いてしまった)。

 私のLINEは終始夕凪の如く静かである。全く通知が来ない。たまに来たとしても職場からの憂鬱な内容の連絡か、アルプロンというプロテインメーカーからの商品セールのお知らせぐらいである(ここで急に筋トレしていることを示唆してくるのは筆者が筋トレを日常的に行っていることを読者にアピールしたかったからではなく、蓄積したストレスを発散するために筋トレせざるを得ない状況まで筆者が追い込まれているということを暗示しているのである。この注釈抜きで読解出来た貴方は素晴らしき現代文の才能の持ち主であることだろう)。

 また不要な脱線をしてしまったので話を戻す。


 
 別に私はしょっちゅうLINEをしたい訳ではないから気に病むこともないのだろうが、あまりにも社交性がなさ過ぎて時折心配になってくる(他人事)。


 今までの人生を振り返ってみても、友人と呼べる存在がいなかった訳ではないが、大体疎遠になっている。


 多分私の性格が卑屈すぎて相手を辟易とさせるのだろう。

 
 こういう陰鬱な文章を書いているとそれに呼応するかのように更にだんだんと気分も落ち込んでいく。

 身体が猫背になっていると精神的にも後ろ向きになってしまうとよく言われるが、それと同じことが文章についても言えるようだ。

 ならば前向きな雰囲気の文章を書けば精神的にも良いのではないかと考えたが、私は猫背を矯正しようとして胸を張るように努めてもすぐに疲れてしまい秒速で猫背に戻ってしまう人間なのでポジティブな文章を書いてもすぐにネガティブな文章に軌道修正される可能性が高い、というような思考回路がもう既にアルティメットネガティブである。


 そして我に返って思う、当初こんな内容の記事を書く予定ではなかったのだ。
 現在蔓延する暗いニュースを社会学的視点から鋭く斬って読者諸賢からの「ふ~ん、実に面白い」という福山雅治的反応を得るはずが、気付いたらただ自身の交友関係の希薄さや人望の薄っぺらさを開示しただけになってしまった。う~ん、実にしょうもない。

 このようなlow qualityなnote記事しか生成出来ない自分の力量の無さというのも、また「認めたくない現実」のうちのひとつである。


おしまい

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