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「freee Advisor Day 2023 東京」レポート

freee株式会社は2023年7月26日、同社の認定アドバイザーを対象としたイベント「freee Advisor Day 2023 東京」をベルサール渋谷ファーストで開催しました。福岡と大阪に続き、今年3回目の開催となった同イベントは3会場合わせて818名が来場。大盛況のうちに幕を閉じました。今回は東京会場の模様をレポートします。

freee会計を中核とする統合型経営プラットフォーム

「freeeの中長期戦略と会計事務所とのパートナーシップ」と題したオープニングセッションには、freeeのCEOを務める佐々木大輔が登壇。同社の成り立ちやビジョンなどについて話しました。

「私の実家は祖父の代から続く美容室をしています。戦後の開業当初、美容師は女性の仕事とされる中で、祖父は男性の美容師をそろえ、ちょっと珍しい美容室として注目されたそうです。この話を聞く度に、スモールビジネスというのはユニークなことができて格好いいな、と改めて思います」(佐々木)

この原体験が「スモールビジネスを、世界の主役に。」というfreeeの現在のミッションにつながっている、と佐々木は話します。また佐々木はfreeeが提供する統合型経営プラットフォームについて次のように説明し、その優位性をアピールしました。

「freeeは①会計、②人事労務、③販売管理という3つのサービスを主軸として統合型の経営プラットフォームを提供しています。ここで言う『統合型』とは主に、業務で使うデータがシームレスにつながることを指します。というのも、同じ会社のソフトを使っていても、実はデータがしっかり連携されていないことが多いからです。具体的には、こちらのモジュールからあちらのモジュールにデータを移してきたとします。その操作が正しいかどうかを確認するのにもコストがかかります。間違っていれば両方とも直さなくてはいけません。一方でfreeeの場合、すべてが共通のデータとしてつながるので、確認や修正などをするのが非常に楽で、なおかつ低コストで行えます」(佐々木)

佐々木はまた、freeeの今後について次のように述べました。

「今後に向けて、①統合型の経営プラットフォームをさらに進化させること、②もっと多くの企業に使っていただくこと、という2点を強化していきたいと思っています。特に①については、一般の中小企業だけでなく、会計事務所向けの統合型経営プラットフォームとして、皆様の基幹システムになるべく積極的に投資していきます。freee会計だけではなく、その周辺のサービスも含め、会計事務所のすべての業務を効率化します」(佐々木)


佐々木がセッションの中で重ねて語った「誰もが自由に経営できる環境を創る」という言葉。「誰も」の中には当然ながら会計事務所で働く人も含まれます。佐々木は最後に「会計事務所の皆様が自由に活動できる環境を創ることは、私たちの使命の一つです」と述べ、セッションを締めくくりました。

クラウド時代の会計事務所の組織運営

続いて登壇したのは、ミッドランド経営の古川昂太氏(税理士)。「クラウド時代の会計事務所の組織運営」というテーマで事務所の取り組みについて紹介しました。


具体的には、クラウド会計サービスが出てきたことで、税理士の月次の仕事がどのように変化したのか、その変化をミッドランドではどう捉え、どのように対応したのかという点を、事例を交えて説明しました。

同社は三重県四日市市に所在する会計事務所を母体としたグループで、昭和43年創業の老舗。従業員数はグループ全体で約80名、freee会計を導入したのは平成28年なので今から7年前になります。

昨年のfreee Advisor Dayでは「Advisor of the Year」の第2位に選出されるなど、freeeのスペシャリスト集団でもあります。ただ、そこまでの道のりは平たんではなく、紆余曲折を経てたどり着いたと古川さんは振り返ります。

「社内で業務改善を進めて業務を再構築すると言っても、実行するのに困難を伴うことがあります。そこで弊社では改善を①設計、②交渉、③設定、④保守の4つのプロセスに分類して進めています」(古川氏)

①設計:会計業務のフローを最適化するために全体像を考え、設計図を作成する
②交渉:作成した設計図を社長や現場に提案し、すり合わせる
③設定:設計した内容を実装する(口座を同期したり自動化のルールを作ったりする)
④保守:設計や設定の内容が適切に運用されているかメンテナンスする

こうした言葉の定義を社内で共有し、①~④の各プロセスを誰が担うのかという点を明確にしたことで、社内ではコミュニケーションが円滑になったそうです。

他にもミッドランド経営がどんな取り組みをしているのか、具体例を挙げて説明した古川氏。万雷の拍手の中、セッションを終えました。

変わる時代の新しい税理士のあり方

次に登壇した税理士法人We willの杉浦直樹氏(代表税理士)は、「地方都市で実践する変わる時代の新しい税理士のあり方」というテーマでスピーチをしました。

セッションの冒頭で杉浦氏は、「freeeの登場によって中小企業にもERP(Enterprise Resources Planning。企業経営の基本となる資源要素[ヒト・モノ・カネ・情報]を適切に分配し有効活用する計画)を提供できる時代になった」と述べ、freeeの利点を強調しました。

杉浦氏は新卒として入社した日本オラクルからキャリアをスタートさせています。そんな同氏は「税務に何を掛け合わせて強みを作っていくかが大切です」と述べました。杉浦氏の場合は「税務×IT」を強みとしています。

「税務に何を掛け合わせるか、ということが税理士自身の強みとなり、他事務所との差別化につながります。これはある意味では、税理士としての生き方の問題です。そして何に挑み、どういう社会を作りたい、このお客様を真剣にサポートしたいという熱量を持ち続けることが大切です。そういう姿勢を続けていれば、お客様に心からの『ありがとう』をいただくことができます」(杉浦氏)

会計事務所向け開発のこれまでとこれから

最後のセッションに登壇したのは、freee株式会社で常務執行役員を務める根木公平(パートナープロダクトCEO)。「PRODUCT SESSION~freeeの会計事務所向け開発のこれまでとこれから 2023~」と題した根木のセッションでは、freeeが抱える現状の課題意識と、進化するfreeeのプロダクトが紹介されました。

根木はまず、freeeに対して持っている課題意識として「慣れていない事務所が離れてしまいやすい画面の取っつきにくさ」などを挙げました。

「仕訳の自動化が当たり前になりつつある中で、クラウド会計というだけでfreeeを選ぶことが少なくなってきています。一方で『クラウドはこれからです』という事務所にとってはfreeeの画面に取っつきにくさを感じるという声をよく聞きます。こうした課題をクリアしている会計事務所では、freeeによる月次の早期化やリアルタイム化が当たり前になっています。多くの会計事務所やその顧問先に価値を届けられるよう、伴走していくのが弊社の責任の一つだと思っています」(根木)

根木はその一環として、直近の1年でfreeeがしてきたことを4点挙げました。①従来型の会計ソフトとほぼ同じように使える仕訳入力画面の開発、②ファイルボックス機能の8年ぶりのアップデート、③freeeデータ化サービスの他社会計ソフト対応、④Mikatus社のグループジョインによって実現したfreee申告×A-SaaS税務のパッケージ提供、です。

根木はさらに今後のビジョンについて「デジタル化/自動化による繁閑差の解消を出発点として、リアルタイム化による顧客対応品質の向上と標準化による継続性リスクの低減にも取り組んでいきたい」との認識を示しました。そのうえで今後、プロダクトをより良くするために必要なこととして「直感的な操作性を高めていきたい」と述べました。

その一例を挙げると、freee会計の機能である「自動で経理」については「一覧性を高めつつ、出納帳をイメージできるような画面も開発して、freeeへの慣れに応じて選べるようにしたい」との発言がありました。

「他にも、申告書の半自動作成などの強みを持つfreee申告についても、帳票がまだまだ十分にカバーされていない点なども課題だと認識しています。現状のプロダクトに慣れている方に配慮しながら、改善していくよう計画しているところです」(根木)

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ここでは、メインステージで行われたセッションの様子をご紹介しました。これら以外にもサブステージで行われたマジ価値セッションや、リクルートが提供する「Airレジ」やアマゾンジャパンの「Amazonビジネス」など、freee会計と連携できる各種のプロダクトを見て、聴いて、体験できるコーナーでも活発なやり取りが数多く見られました。

本記事をご覧いただいた皆様、ありがとうございます。来年も会場でお会いしましょう!

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