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本のこと

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本について考えるための文章をマガジンとしてまとめます。
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町の本屋の本棚

仕事のある平日、昼休みに、本屋にふと立ち寄った。町の本屋さん。売り場は、そんなに広くなくて、レジから一望できていそうなくらい。 雑誌、小説、文庫、新書、なんかが、置いてあるのは当然の生業だからと思う。一方で、なんだか異様に「青土社」の本が多い気がした。この面積で、50冊くらいはあったのが、なんか違和感だった。青土社みたいな出版社の本も周辺にあったかもしれない。 出版社毎に本の雰囲気がある。業界の人ではないから詳しくは知らないが、出版社が本に結構関わってるんだと思う。本が僕

紙の表示と画面の表示

資料を実際に印刷してみたタイミングで、間違いや不自然な箇所に気づくことが多くないだろうか。 全体が見える、客観的な「もの」として見える、気持ちが最終段階で引き締まる、など色々と理由は考えられる。とあるレポートには、紙にすると「レビューモード」に脳が切り替わるという話もあった記憶もある。 理由は定かではないにしろ、同じようなことは、「書籍は紙か電子か」問題についても考えられるのでは、と思い至った。 電子書籍は便利だ。日々Kindleを使いながらそう思う。そこは認めて多用し

著者の年齢を見てしまう癖

大学生のとき、古本屋でバイトした。色々と作業がある中で、目録作りがあった。本の奥付を読んで本のリストを作っていく作業だ。 バイトをしてた頃は、著者の経歴を奥付で見て、色んな人がいるな、と思った。自分もユニークな生き方をしたいな、と思ったりもした。 本を読む時、著者や訳者の経歴を大体最初に読む。いつ頃からだろうか、読み方が少し変わってしまった気がする。 著者の生まれ年から、年齢を計算して自分の年齢と比べてしまうのだ。この人はこの歳でこんなことをして、こんな本を今書いて、一

本の読み方(主に哲学的、詩的な)

本を読みながら、本当に素直な気持ちで、色々と考えたり、感じてみることで有意義な時間を過ごすのが大好きだ。ノートに書き出しもする。もちろん、ページ当たりの進みはすごく遅い。 速さは全く問題にならない。「何かを見つけられること」が本を読むにあたり、自分にとっては最も重要だ。極端なことをいうと、何かを見つけられたら、そこで終わってもいい。流れで次にいって、深めるのもありだ。 「見つける」のは、本の主題、著者が最も言いたいこととは離れたところにあることもある。むしろ、「見つける」

漫画の臭い

つげ義春の漫画や水木しげるの漫画、を見ると、見開き2ページから臭いがする。まず、その臭いが通奏低音として効きながら、具体的なコマ割りの世界へと入っていく。 そこが僕にとって他の漫画と違うところ。漫画は嗅ぐもの、そして、聴くもの。

本の声2

本の声の話の続き。 先日、本から声がするという話を書いたが、日本語の本の場合の体験を書いたつもりだった。 僕の場合、英語の本は記号として処理されるため、本の声は聞こえない。英語でわざわざ読む本は仕事に活かすことを意識している本であることが多い。仕事用であるため、効率的に情報処理をするためには、この無機質な感覚が好都合であったりもする。 英語の本を読むとき、僕はマシンになる。

本の声

5、6年くらい前にちょっと変わった読書会に参加した。大学のサークルをきっかけとして付き合いのある知人が、勉強会を勉強カフェでやってるみたいで、そうしたイベントの一環だった。清水幾太郎の「本はどう読むか」の目次と内容の重要なところを読んで、それから参加者で「本」や「読書」について語るというものだった。 僕にとっては、読書自体は個人的な趣味であり、自己探索の方法と思っているようなところがあるため、「読書会」と名のつくものに参加したことはないし、これからも無いと思う。だから、読書