見出し画像

【映画批評】オオカミの家

去年の夏頃、「オオカミの家」を観ました。自分の悪い癖で、観る予定組んでも直前になるとトレーニングを優先して延期し、公開中止になるパターンが多いんすけど、これはヒットしているらしく気まぐれな自分を待っていてくれました。ありがたい

チリのカルトコミューン、「コロニア・ディグニダ」を表現したものらしいですね。観たあと知ったんですが笑

ここがめちゃ詳しいので読んでみてください。俺は全然知らなかった。↓

https://www.esquire.com/jp/culture/column/a44571862/colonia-dignidad-paul-shaefer-pedo-criminal/

まーそういうの全然知らなくても問題はなさそうです。ヤン・シュヴァンクマイエルに似てると聴いてたので、驚きはなかったんですけど、おどろおどろしい不気味なアニメーションの連続で美しいなあ、と。グロい現代アートが好きな人はツボじゃないのかね。

渋谷のイメージフォーラムって映画館でみましたが、そういえばここは不屈な男アンブロークンとか何とかゴミ映画を観た際に一度利用しました。良い雰囲気ですね〜。街の雰囲気もオシャレで素敵でしたね〜。仕事後、ボルダリング3時間ぐらいやって、映画観る直前に適当に入った店でフレンチに舌鼓をうち、いい気分になって酒も飲んじゃった。なので半分以上は船漕いでたかな。意識も失ってたから殆どストーリーはよくわかんなかったけど。女の子がカルトに支配されるプロセスを描いているようでした。

コロニア・ディグニダの実態を知るにつけ、あーあのシーンはこういう意味だったのか。。などと気がつくところも多かったですね。カルト教祖のシェイファーなるドイツ人が男の子大好きのペド野郎だったため、男の子を惑わす女の子は徹底して冷遇され、狭いコミュニティの中で最小限のものも与えられず奴隷のように働かされていたそうなんです。また、女の子は雌豚と呼ばれていたそうです。つまりこの映画で豚2匹を育ててる女の子って図式は、そういうメタファーなんだね。

コロニア・ディグニダはアウシュビッツ医師のメンゲレが一時滞在していた噂があり、近隣の村で金髪碧眼の双子がいきなり生まれたのでアーリア人の人口を増やそうと狂気の実験を繰り返していたメンゲレの仕業ではないかとの噂があります。流石に噂に過ぎないと思いますが、肌が黒いと馬鹿にされてた2匹の豚がいきなり金髪碧眼に化けるアニメーションがありましたけど、元ネタはここからなんでしょうね。だからなんだって言われたら黙りますけど笑

教祖シェイファーは元ナチ党員だったとかで、ヒトラーそっくりのカルト世界をチリで作ったんだ、と言われています。ただ、シェイファーは身体障害者で兵役を拒否され、SSの入隊試験にも落第し、野戦病院で担架運びをやってただけ。ナチと関係があったかさえ謎。

一つ言えるのは、少年を手当たり次第に貪り食うために、最もその快楽を満たしやすい身分が聖職者であると確信しており、全人生を通してブレることなくその立場を利用して少年を捕食し続けてきたということ。そのために時のチリ軍高官や政府中枢、外国の有力者とも緊密な連携を組み、死の直前までその地位は殆ど揺るがなかったってこと。ほぼ妖怪です。

こうして読んでいて思い出すのは、まあ間違いなくジャニー喜多川です。ジャニー喜多川そっくり過ぎませんか?ジャニーさんもコロニア・ディグニダに一時滞在していたと言われても俺は驚かんね。つうかジャニーもかなり完成されたカルトコミューンを築き上げ、欲望を満たすために生涯に渡ってその城の中に籠り続けたのであり、死してようやく部下たちが裁かれようとしている。彼は死ぬまで権力を維持し続けたのであります。シェイファーよりすごいかもしれん。もちろん褒め言葉ではありません。

あるドイツ人が、ドイツが誇りとする価値観=秩序、規律、勤勉、健康、勤労、奉仕、福祉など一見美しい精神が危険なものを生み出す、その証明がシェイファーだと嘆いたそうです。もちろんナチとか関係なく、って意味だよ。シェイファーの経歴はナチとか関係ないでしょ。

だったら、日本人もその精神性が邪悪なものを生み出す証明がジャニー喜多川でございます、と言える。今回もBBCの記者が暗部を暴いて告発してくれたからこんな流れになっただけで、日本人は社会を自浄する能力が皆無であります。現政権もマイナカードだのインボイスだの原発処理だの万博だのオリンピックだの…一度ぶち上げた目標を修正したり改めたり、失敗を認めてやり直したり、それは全くできない。日本人の明確な弱点なんです。

同時期に「コロニアの子供たち」という似たテーマの映画が公開されています。関連作としてどうぞ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?