錦織信子_フレンチモンスター

株式会社にしきおり取締役。西麻布で徳島フレンチフレンチモンスターを経営。2020年には…

錦織信子_フレンチモンスター

株式会社にしきおり取締役。西麻布で徳島フレンチフレンチモンスターを経営。2020年には徳島鳴門にお菓子工房「瀬戸内フードアート」オープンしました。癒しのアロママッサージソルト「amour de monstar鳴門の新月」発売中

最近の記事

  • 固定された記事

#1 月へ鳴門へ、はじめの一歩の話

はじめまして。西麻布のフレンチレストラン・フレンチモンスターの、錦織信子と申します。コロナ以前から、通販、お菓子製造、小売り、卸など、いろんなことにチャレンジしてきました。こんな時代なので「どうやって始めたの?」と聞かれることも増えてきたので、少しまとめてみようかな、と思い立ちました。圧倒的「わたし目線」でお届けします 2017年夏の頃、夫が言い出した。 「徳島銘菓、作ろうと思うんだ」 これが、鳴門金時のクリームサンド「月へ鳴門へ」のはじまり。 夫は専門学校時代のともだち

    • #22 デザインイメージは「徳島のお香」

      デザイナーの新保さんを紹介してもらったのは、実は、プロジェクトスタート間もない頃だった。 当時、私は、デザインに予算を贅沢にかけられない。でも、商品ロゴはどなたかにお願いしなきゃな、くらいに考えていたので、新保さんを紹介してくれたプロジェクトメンバーが、「参考にプランと見積もり出してもらったよ」と持ってきてくれたものを見て、ぶったまげた。「これは・・・ごめんなさい。とても贅沢すぎて・・・ごめんなさい」とお返事していた。 でも、新保さんの、「思いを反映し膨らませてくださる力

      • #21 コンセプトがなければ、アロマもへったくれもない訳で。

        開発のきっかけになったバスグッズ は、香りも抜群に素晴らしくて、開発するこの商品も、「アロマ=香り」を売りにしたいと決めていた。 海藻成分も海塩も、調達の道筋が見えて、さあ、アロマをどうするかというテーマで、プロジェクトチーム女3人集まり、ご飯を食べながらブレスト会議をしていた。ゆるーい会議は本音も出やすい。 アロマ担当をしてくれていた女史から、「うーん。コンセプトがないとさあ、香りの調合とか難しいじゃない?」って、渋谷のど真ん中で告げられた。その夜は家に帰ってからも、ア

        • #20 あの日は秋晴れの日曜日だった。

          日曜日は、西麻布のレストランフレンチモンスターは定休日。 でも私は、シェフのオンライン料理教室開催のため、朝10時頃、西麻布に行くことになっていた。 眠い目を擦りながら起きてリビングに行くと、夫が、「また有名人の自殺があったよ」と。驚き、ニュースをチェックしたら、この間みたばかりの映画にも出演した女優さんだった。朝からワイドショーは大騒ぎだ。 気持ちのざわつきを抑え、気持ちを切り替えて、自宅から西麻布のレストランへ徒歩で向かった。すると、自宅から歩いて100メートルくら

        • 固定された記事

        #1 月へ鳴門へ、はじめの一歩の話

          #19 鳴門のわかめ成分を探せ!

          こんな感じの仕上がりでどうでしょうと、テクスチャのサンプルが上がってきた。市場には鳴門のわかめの成分はなかったので、北海道の海藻成分で作ってくださったサンプル。ぬるっとした感じが肌艶にいい感じだ。 私がイメージしていたのは、鳴門の最高級のわかめをレストランでもお世話になっている生産者の皆さんに用意していただき、工場に納品して、いろんな成分と配合して、化粧品として納品してもらう・・・こんな感じ。 でもそれは素人考えだった。 配合する「成分」として完成させたものを、工場に納

          #19 鳴門のわかめ成分を探せ!

          #18  新規事業は「圧倒的クオリティの徳島ご当地コスメ」

          2020年5月末、東京都でも、コロナの緊急事態宣言1回目が解除された。 それをきっかけに、西麻布のレストランをの予約も増えてきた。鳴門の工房も、連日、お客様にお越しいただき、少し気持ちも上向きになってきていた。その日は、コスメの企画会社にお勤めの友達が、ちょっと贅沢な女子会にと、3名様でレストランを予約してくれた。 以前からフレンチモンスターの食事、そしてそのセンスを愛してくれていて、「私、徳島に行ったことないんだけれど、フレンチモンスターのおかげで、徳島は夢のような場所

          #18  新規事業は「圧倒的クオリティの徳島ご当地コスメ」

          #17 お菓子が作れないなら干物を作ればいいじゃない

          きょうは、2021年9月25日。 鳴門はどうやら晴天で、徳島のJ1ヴォルティスも久々の白星と、なかなかご機嫌な土曜日。工房も多くのお客様にお越しいただいたようだ。 空港の土産店や、観光客をメインにした売り場のお取引はまだ復活していなおらず、徳島も観光は苦戦している。おそらくは本日も、徳島の地元の皆さんが、週末のドライブにお立ち寄りいただいたのではないかと予想している。本当にありがとうございます。 2020年2月に操業をスタートしたフレンチモンスター瀬戸内フードアートは、

          #17 お菓子が作れないなら干物を作ればいいじゃない

          #16 私たちがやるべき仕事:レストラン編

          前の記事で、「なんてこと・・・」とつぶやいて締めたが、それは、今、振り返ってみて思うことかもしれないな。投稿した後、思った。 当時はもう全世界そんな感じだったので、諦めにも似た仕方無さを感じつつ、そんな状況を理解することに一生懸命だった。 わたしは、数字に弱いので、「事業運営」に関するストレスは夫が全て担った。お菓子工房、そしてレストランをどう運営していくか。今この時、お客様に何を提供するのか。資金調達から何から何まで。 そして、錦織から出された指針に沿って、錦織が陣頭

          #16 私たちがやるべき仕事:レストラン編

          #15 工房は、コロナと共に

          2020年1月、鳴門のフレンチモンスター瀬戸内フードアートは、工房部分の工事が完了し、あとは客席の仕上げを残すだけとなった。 徳島のお取引先への「卸」と、東京中心の「催事」に向けての製造がメインだから、十分だろう。客席が入る部分の仕上げ工事の進捗マネジメントもしながら、お菓子を作るというミッションを抱え、2020年1月30日に杉山ご夫妻が、2月1日に上原パティシエが、鳴門に着任した。 杉ちゃんは、ギリギリまで我が家に寝泊まりして、お菓子の出荷までの仕事を覚えてくれた。杉ち

          #15 工房は、コロナと共に

          #14 そしてバトンは渡された

          四方見展望台となりの白い物件と同時に、北灘の方の古民家も候補にあがっていた。とっても風情があって、素晴らしい場所だった。錦織と杉ちゃんが2箇所の物件を何度も見て回り、やっぱり展望台の隣の物件がいいという。 杉ちゃんが「ただ、夜は人気がいなくて寂しいので、お化けがいないかだけチェックしてほしい」と言う(こう書くと笑えるのですが、かなり大真面目)。そこで、錦織が度々、深夜1人で展望台へ出かけた。そして「お化けいませんでした。ここ、最高です」と写メで報告してくる。 確かに、古民

          #14 そしてバトンは渡された

          #13 よもみ展望台の物件との出会い

          「月へ鳴門へ」というお菓子の名前の由来は、夫である代表の錦織が子供の頃の思い出にさかのぼる。母子家庭だったので、長い休みは、弟と2人で、鳴門のおばあちゃんのところに預けられた。虫取りや川遊びで田舎の夏休みを楽しむ一方、父親がわりの叔父が勉強にすごく厳しくて、それにはちょと、閉口したらしい。が、徳島に行くことが本当に楽しみだったそうだ。   当時は、東京から徳島に向かう飛行機はプロペラ機で。乗り込む時はまるで、月へ向かうくらいワクワクしたそうだ、 「鳴門に行くのは、月へ行くくら

          #13 よもみ展望台の物件との出会い

          #12 そう、探しているのは物件です。

          よく、徳島県庁にお邪魔していた。 最初は、瀬戸内おみやげコンクールで最優秀賞をいただいたことを報告に伺った。瀬戸内おみやげコンクールは、広島ホームテレビが主催をされていて、テレビでもたくさん紹介されたため、広島の百貨店のイベントに納品させていただくと、2時間で売り切れるほど認知されていた。 しかし徳島は、広島ホームテレビが映らなくて、告知番組を徳島の方に見ていただくことができなかった。それがとても残念だった。なので、主だったところには自分で挨拶に行こうと伺っていた。 みなさ

          #12 そう、探しているのは物件です。

          #11 徳島で本気のデート、どこに行く?

          徳島で若い人に会うと、必ず同じ質問をした。 「徳島で、本気のデートなら、どこに行きますか?」 私が聞いた限りだと、9割以上回答は同じ。 「神戸」 「徳島で」って言ってるのに、神戸って何?????と聞き返すと、「徳島には、何もないから」って、同じくおっしゃる。 じゃあ、神戸に何があるというの? その日は、淡路島のお取引先にお伺いの予定があったので、「そうだ、ついでに神戸に行ってみよう」と、夕暮れ時に車を飛ばした。 しばらく走り、夜の闇が迫ってきた頃、「本気のデート」の

          #11 徳島で本気のデート、どこに行く?

          #10 物語は、誰のためのもの?

          瀬戸内おみやげコンクールで最優秀を受賞したことが徳島新聞で取り上げられると、徳島で唯一「月へ鳴門へ」を取り扱っていただいていた松浦酒造さんに問い合わせが増え、お菓子を求め来てくださるお客様が現れた。 「商品の取り扱いの問い合わせも入りましたよ。マダム、この方に連絡してみてください」と、松浦酒造の若林さんが連絡をくださることも。そうやって、数珠つなぎのように、「月へ鳴門へ」のお取引先が増えていった。 こちらからアプローチをすることもあった。 最優秀賞が効いて、「西麻布で作

          #10 物語は、誰のためのもの?

          #9 お菓子がある風景は、幸せだ。

          最終審査のイベントまでに、通販でどれだけ売り上げを伸ばせるのか。 上原くんが限界まで頑張って作ってくれたお菓子はお友達やフレンチモンスターのお客様が興味を持って買ってくれたあと、少しずつ口コミで広がりを見せて、知らないお名前からのご注文が入るようになっていった。 (手渡しで買っていただける距離のみなさんにもすみませんって事情を話しして、通販を通じて買っていただくよう協力してもらってカウントを伸ばしたっけ・・・思い出しても弱小すぎる) 上原くんが作ってくれたお菓子を、私が

          #9 お菓子がある風景は、幸せだ。

          #8 あなたのその考えは、心配だね。

          錦織のフレンチモンスターが何やら始めたらしいということはメンターのUさんの耳にも入ったらしい。Uさんは錦織のことをとても可愛がって目をかけてくださっていたお客様。 「お嬢。今、麻布十番にいるからお菓子2つ持ってきて。今すぐね」と電話が入った。 Uさんは、暇そうにしてるほうの錦織=わたしを、時々こんなふうに呼び出しては、いろいろ教えてくださる。 私もUさんの豪快な武勇伝を聞くのが大好きで面白がって話を聞くせいか、 贔屓にしてるお料理屋さんにご一緒させていただいたりすること

          #8 あなたのその考えは、心配だね。