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微分法とは何か?

モチベーション

ニュートンとライプニッツ、それぞれによって発見された微分法は高校数学におけるメインテーマであり、科学の歴史において最も重要な発見と言っても過言ではない。
車をイメージして欲しい。「速度=進んだ距離$${\varDelta x}$$/経過時間$${\varDelta t}$$」という値は経過時間を短く取れば取るほど、今この瞬間の速度として理想的な値になる。ここで$${\varDelta t \rarr 0}$$とした時の、速度の極限値を(位置xの時間tに対する)微分という。
高校生などの初学者が微分に触れるとしばしば錯覚が起きる。またその錯覚を誤魔化すようにマイルールを設け、「こういうもんだ」と自分を無理矢理納得させてしまうことが多い。
発達段階を加味するとそれはそれで全て間違いとは言えないが、この記事ではマイルールを無くすことに着眼点を置く。

定数の微分と変数の微分

やりたいのはここにおける錯覚、ないしマイルールの撤廃である。
記事内でも説明するが、定数と変数が分からない人は

を読むと良い。
さて、aを定数とし、xを変数とする時、
①関数y=xの微分値はなんだろうか?
②関数y=aの微分値はなんだろうか?
ご存じのように①の答えは1であり、②の答えは0であるが、この意味を正確に説明できるだろうか?
変数や定数と言ったところで文字というのは何らかの数値の抽象化であり、知ることは出来ないがある数値が入っていると思うと罠にハマる。つまりaやxの実体が2や3などの数値と考えてしまうと、①であろうが②であろうが微分値は0になる。
実際に数値と思い込めばそうなりますよね?
しかし、我々は微分を習う時にxの場合は、aと取り扱いを変えて微分値を1と思い込むと言うマイルールを決めさせられ、高校卒業まで謎ルールに従ったまま終わり。と言うルートを歩むのがむしろ一般的だと思う。
しかし、思い出してほしい。微分は速度の極限であり定義からして統一的であり、マイルールを取り込む余地などないであろうことに。

関数とは何か?

これが分かるには関数とは何かを正確に理解する必要がある。そして微分とは関数値に作用する演算ではなく、関数そのものに作用する演算であることを知らなければならない。
典型的な関数としてy=2xがあるが、これを抽象化されているものの固定された値xに関する式と思ってはいけない。実はy=2xと言う値関係に関する主題と見ることが大事だ。即ち、「xをinputとして順次値を入れていき、yをoutputとして順次値を観測していく」こと、それ自体を関数と思うことが本質である。その意味でいくと、y=2xと言う書き方ではなく、$${x \mapsto 2x}$$、と言う書き方の方が本質である。xからy=2xを導出する機能そのものを関数と見る必要がある。
そして微分とはxと言う値ではなく上記機能に作用する演算なのである。

定数の微分、変数の微分(再訪)

さて、ここまで分かったら、再び関数y=xとy=aの微分を考えてみる。関数を機能として捉えてみると、この二つは以下のように書き直すことができる。
①$${x \mapsto x}$$
②$${x \mapsto a}$$
こう書き直すと意味の違いは明白だ。即ち、xを順次inputしていった時に、xをoutputするのが①でinputに関わらずaをoutputするのが②だ。
また、この思考の副産物として定数aと変数xの取り扱いの違いの理解が深まっただろうか?即ち、関数という主題を考える前に固定されてしまう数値のことを定数という。しかし、その固定される数値が何でも良い場合に我々は文字を用いてaと書く。
微分作用素は道に作用し、新たな関数
①$${x \mapsto 1}$$
②$${x \mapsto 0}$$
を生む。

微分値の正確な意味

微分は関数がないと考えることは不可能だ。即ち値だけがあっても微分操作は行えない。そして関数という道に対して微分という作用を通して新しい道を生む。
では微分値$${f'(1)}$$はどういう意味だろうか?
これは記法上値x=1における値fに対して微分を行っているように見えるが、違う。正確には少なくともx=1の近傍Dにて定義された関数fに対して、微分という演算を行い、新しく出た近傍D上の関数gのx=1における値を指してこのように書いてるのだ。
分かっているのかいないのか、発達過程上必要無いと思っているからなのか、初学者に対してここを誰も解説してくれないので、我々は都合の良いマイルールを用い数学でも辻褄が合いづらい部分を変えてしまっても良いのだと錯覚する恐れがある。と私は思う。

まとめ

いかなる場合であろうと数学においてはマイルールを設けてはいけない。しかし、ある程度テキトウながら遊んでみる事も実は重要であるので一概に否定は出来ない。
問題はどのタイミングで厳密性を求めるか、「自己に対して嘘偽りを作ってはいけない」と教えるかである。
そこは読者に任せたい。

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最近少ないのでください!;;

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