見出し画像

テンソル代数と表現論を読んで(~4章)


線形代数から表現論

最近は抽象調和解析に興味があり、何冊か読んでいるのだがその際に表現論との繋がりからフーリエ変換を眺めることが出来るという事で今まで交わることが無かった数学をやる羽目になっている。実はこの「必要に迫られて」シリーズで前回は幾何学の「基本群と被覆空間」の読書感想を書いたのである。今回は代数学の大分野の表現論についてであるが、タイトルにある本を読んだ。

しかし、今回は読んだ上で「表現論は一体何をしたいのか?」という超素朴な疑問を未だ解消できていないので本質的な記事を書ける気がしない。代数って難しいなあ・・・。

本のもくじと使い方

第1章 広義固有空間
第2章 ジョルダン標準形
第3章 行列の指数関数とその応用
第4章 テンソル代数
第5章 群の表現論、主に有限群の場合
第6章 対象群の表現
第7章 シューア・ワイルの双対性
第8章 対象群と一般線形群の既約指標
第9章 リー環の表現論入門

まずお断りとして3章、8章、9章は読んでいない。著者(早稲田理工)的な本の使い方として
(1)1~3章まで
(2)4~7章まで
でいずれも半年間のコース用。卒業研究的なゼミにおいては4~8章をじっくり読むのが良い。という事らしい。
一応私も8章を読もうとしたのだが、入り口の部分で難しくてやめてしまった。7章がひとつの終わり方として素晴らしく綺麗にオチているので、私の目的的に頑張る必要がないのかな、と思ったのがひとつと、もうひとつは9章に関しては現在下記本を読んでいるのでいつか気が向いたら読み直そうといったところにしておいた。

1~3章のヒント

少し上でも述べたが大体2部~3部構成(※勝手にそういう構成と決めつけた)であり
(1)ジョルダン標準形に関する事1~3章
(2)群の表現に関する事5~7章
(3)その後(未読)
と言ったところである。ジョルダン標準形に関しては大体の読者が線形代数でもやったと思われるので殆ど自明の理論の復習の観点であるが、ジョルダン以前の章が無い分、前頁とのしがらみがない(俗っぽい計算に捉われなくて済んでる)からか非常にすっきりまとまっているのでこれだけでも良い復習になるだろう。ここにおける本書の特徴的な部分の1つはヤング図形である。

(2)以降において展開される対象群の表現については、対象群の元(置換)をサイクル分解(例えば$${\lambda=(4,3,2)}$$)し、それをヤング図形(例えば3行のヤング図形1行目が4つの箱、2行目が3つの箱、3行目が2つの箱)と見做す。この時置換はサイクルタイプによって抽象化されるので「置換$${\mapsto}$$サイクルタイプ」の対応は単射では無く、$${k}$$次対象群$${S_k}$$の(サイクルに関する)共役類こそがヤング図形の類の元$${\lambda \in \mathcal{P}_k}$$と一致することになる。即ちこの視点から対象群の表現を眺めるとき、それはヤング図形という簡単そうだが奥深い図形の分析に移る、という事が本質となるのである。
話を戻すが、この観点が本書におけるジョルダン標準形の理論展開の特徴であり、ヤング図形が意味ありげに出てくる。実際的に流し読み勢の私にとっては「何故出てきたのか?」という自然性は不明だったが、それについては著者が参考文献に[堀田良之「線型代数群の基礎」]を読めば分かるよと書いておりまたひとつ積読本が増えた。

第4章テンソル代数について

図式においてもっとも重要なのは普遍写像性質なのだという事を代数学や幾何学を最近学び始めてから初めて知ったと思う。何故そうなのかまだまだ初学者である私にはその本質が分からぬが、直積空間に関して(その双線形写像に関して)何らかの一意性を出した空間がテンソル積空間であり、大体直積だと思っても良いと勝手に思っている。即ち有限次元線形空間$${V, W, U}$$、双線形写像の空間$${\mathcal{L}(V, W;U)}$$に対して$${Hom(T_0, U)\simeq\mathcal{L}(V, W;U)}$$を満たすような構成$${T_0 = V \otimes W}$$をテンソル積空間と呼び、これは一意に存在するのである。直積空間からの構成的本質は$${\Phi \in \mathcal{L}(V, W;U)}$$に対して一意なる$${V \times W}$$の元を出せないとの事実とその後のそれに付随した技術的問題であり、普遍写像性質とは$${\Phi_0: V \times W \rightarrow V \otimes W}$$としてある構造的な割り算を考えているという事である。(※当然だがこの時の$${\Phi_0}$$は何よりも先んじて一意に存在しなければならないだろう$${\exists !\Phi_0 = \Phi_0(V,W,U)}$$)。しかしこうするとテンソル積$${v \otimes w \in V \otimes W}$$は直積空間の元の同値類に過ぎないから、テンソル積の成分が元の直積のindexに還元できるかどうかはやや考える必要があるものの、有理数体を構成した時(※有理数とは整数の対の同値類と思ったとき)同様、殆ど直積と思っていいのではないかと勝手に思っているという事である。
・・・なんか、やたら大変になってきたので記事はこの先大幅に省略します。。
対称テンソル空間$${S^k(V)}$$と交代テンソル空間$${A^k(V)}$$はテンソルから構成されるテンソル積空間$${V^{\otimes k}}$$の代表的な部分空間であるが、解析性に優れる空間になっており、のちに$${V^{\otimes k}}$$の分解をしたときにこの空間達以外の分析が空間的複雑性によるメインの問題と見るために必要になってくる。

難解に書いてしまったが読みやすい本

本質的な意味を伝えたいという思いと、流石に用語多すぎ、自分自身がまだ表現論が何をしたいか本質をつかめていないという都合上、少し難解になってしまったかもしれません。
本はもっと丁寧に書いていて凄く楽しめる本だと思います。本におけるジョルダンはあまり本質じゃないような気がしてます(※多分しっかり読んだり、[堀田良之「線型代数群の基礎」]を読んだりすれば本質と思えるのでしょう)が、線形代数をやってその復習にこの本の1~2章に触れるだけでも価値のある本なのではないでしょうか。
5~7章の感想も本当は書こうと思ったのですが、流石に長く、迷宮入りするかもしれないと思い、分ける事にしました。機会があればまた書くかもしれません。

では!!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?