幽霊花の咲く頃に ~第四話~

【駅】
駅みたいな数多の人が行き交う場所で見かけたことがあったのか、目の前の女の子に何となく懐かしさを感じた。
「大丈夫?」
「え……あ……大丈夫、です」
「でも此処から離れた方がよさそうだね」
女の子は私越しに女の人の死体を見て顔をしかめた。私の腕を掴んで向かいの襖を開ける。死体に気をとられていてよく見られなかったが、部屋の構造は最初に居たものと大差なかった。
女の子は部屋の真ん中辺りに座り、手招きした。素直に従い、向かい合うようにして座った。
「えっと……はじめまして、でいいんですよね?」
「……敬語使わなくていいよ」
はじめまして、と言った瞬間に女の子は悲しげな表情を浮かべた気がしたが、すぐにやわらかい笑みに戻った。気のせいだったのかと首を傾げていると女の子が口を開いた。
「私はリン。よろしくね」
「私は」
「知ってるよ……リコちゃん」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?